掴めない雲/エゴイズム

槊灼大地

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エゴイズム

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「な、お前も気持ち良くなりたいよな?」


涙と唾液と俺の精液でぐちゃぐちゃになってしまった顔を上げて俺を見つめた
口内から自身を引き抜きこれから俺を受け入れるソコへゆっくりと指を忍ばせれば唇を噛み締めて必死に堪える。


「よかったなぁ、アイツにも可愛がってもらえたんだろ?」


指を奥へ奥へと突き進めれば漸く声を漏らす



「おっと、自分のは自分でやれよ?」


中を攻める俺と自身を攻める自分に泣き声にも似た声で俺の名を呼ぶ
心臓が痛いくらいに締め付けられてんのに優しくなんて出来ない


指で中の壁を掻き出すように動かせば自然と愁弥の手つきも早くなる。




「なぁ?もうイきたいよな?」




そう確認を取るのも全ては自分がイきたいから


でも

こんなにも余裕がなくなるのはお前だからなんだ




「ぁ、りょ、―」



後ろから覆いかぶさったまま、腰を押し進めた。




好きなんだ
ほんとうに、好きすぎて


お前はいつか言ってた
『俺ばっかりが振り回されてるな』って
苦い笑顔を浮かべながら



違う、違うんだ
ほんとうはいつだって俺はお前の手の中なんだ
逃げられないのは俺の方なんだ


この場合、どっちがズルイんだろうな






「あ、はっ―、りょ、綾―!」


必死に俺を呼ぶ声が好きなんだ
お前が俺だけを感じてくれてるって分かるから
だからもっと



「、しゅう、俺の事―、好き?」



腰を揺らして愁弥の中を泳いで
俺なんて溺れてしまえばいい


「す、き…好き、綾―!」



その言葉に至極安心して
俺の顔が見られる心配がない事にも安心した。

だってすげぇ情けない顔してる


俺が何をしてても誰と過ごしても
お前が俺を好きでいてくれなかったら
お前からの愛がなかったら





「もっと、もっと言って、しゅう」



手を前に回して、愁弥のソレを握り締めた
もっとさ、こうしてたいんだよ
今だけはこうして―


切ない気持ちも、こんなエゴイズムな俺も
全てこの気持ちよさに飲み込まれて消えてしまえばいいのに



「綾、ぁん、は―、イ、かせ…!」


苦しそうに愁弥が大きく息を吐く。
愁弥自身を強く擦り、腰の振りを激しくした




「ぁあ!綾っ、ん、イく、イく―!」

「はっ、―」







俺が愁弥の中に吐き出して、
それから少したってから俺の手の中に愁弥が吐き出した

お互いの精液の熱さにしばらく浸っていたくてただ目を瞑った



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