325 / 391
短編・中編や他の人物を中心にした物語
選ばれた子、選ばれなかった子31
しおりを挟む
「綝!!お前、どういうことだ!!なぜまだ村にいる!?」
夏侯淵は息子を前にして、これまでないほどに声を荒らげていた。
五歳まで育てていた時、どんなイタズラをした時でもこれほど激しく叱りつけたことはない。
「村から避難するよう文を出しておいただろうが!!この周辺はもう戦場になるんだぞ!!」
もし徐林になんの後ろめたさもなかったなら、頭ごなしの叱責に反発もしただろう。
しかし本人も実父の怒りはもっともだと思っているから、気弱な返事しかできなかった。
「いや……俺もそれは分かってるよ……劉備軍はもう遠くないところまで来てるんだろ?」
「遠くないどころか、やつらはすでに定軍山に陣を張り始めている!!」
定軍山は徐林の村からほど近い山だ。村人たちにとっては故郷の景色として思い浮かべる山でもある。
劉備は夏侯淵との決戦に望み、その定軍山に本陣を据える決定をした。
一方の夏侯淵はこれに応じざるを得ない。籠城しようにも、漢中は曹操からの補給・援軍を極めて受けにくい土地なのだ。
「それにうちの軍の本陣も近い!!この村から北に十五里ほどの所だぞ!?今から場所も変えられん!!」
夏侯淵は劉備が定軍山に拠ると分かってから、すぐに徐林へ文を出した。
村がすっぽりと予定戦場に入るため、村ごと避難するよう指示したのだ。
伝令の兵はそれをちゃんと伝え、言われた通り避難するという返事を徐林から得ている。
しかも、少し前にこの村へ送った斥候から『村は無人になっている』という報告を受けていた。
なのに夏侯淵自身が足を運んでみると、なんと徐林がいたのだ。しかも身重の雹華と共に。
「本当にどういうことなんだ?お前たち二人だけで、しかも高台の社に」
徐林たち夫婦がいたのは自宅ではなく、山の神を祀る社だった。
五斗米道では懺悔や自戒をしたためた紙を山・地・水の神々に捧げる。村にはその社があった。
山の神は山上でなければならないから、社は村の中心からそれなりの斜面を登ったところではある。
とはいえ、この周辺一帯が戦場になるのだから安全だなどとは口が裂けても言えない場所だ。
そんなことは百も承知な徐林はうつむき、横目に妻を見た。雹華は寝間着のままで寝具に横たわっている。
その様子で、夏侯淵には今こうしている理由が嫁にあることを察した。
嫁もそれを隠す気はない。すぐに白状した。
「お義父様、私が林に頼んだんです。どうしても避難したくないって」
それは真実だったのだが、夫からするとその言い方は正確性を欠く。
「いや……頼んだっていうか、ほとんど脅してただろ。避難するなら舌噛んで死ぬって」
本当に自死するかどうかは別として、そういうことを言われると徐林としては非常に困る。この男は妻に強く出られると、どうしていいか分からなくなる。
しかも強引に引っ張って避難させることもできない体調なのだ。
「雹華にまた流産の兆候があるんだよ。それで絶対安静を維持したいから、長距離移動になる避難はしたくないって駄々こねられて……」
雹華はうなずいて夫の言うことを補足した。
「お腹が張って痛みもあって、少しですが出血もあります。一回目、二回目の流産の時と全く同じ症状なんです。どうも私は早く子を出そうとしてしまう体みたいで」
現代医学で言うところの、切迫流産・早産のおそれがあるということだ。
雹華の場合は繰り返しているし、子宮頸管無力症など母体側の要因が存在する可能性も否定できない。
「産婆さんにお話を聞いたら、今の妊娠期間だと赤ちゃんが出てきて生きられるかどうか、とても微妙なところらしいんです。だから一日でも長くお腹の中にいてほしい。でもそのためにはとにかく安静にしているしかないらしくて……」
現代であれば子宮の収縮を抑える薬などもあるが、この時代には当然そんなものはない。
生薬の中に筋肉の緊張を和らげるものが無いわけではないが、あくまで補助的なものと言えるだろう。だから安静が最も重要な措置になる。
実際、現代でも切迫早産のおそれがある妊婦は状態に沿った安静の程度を指示される。長期の入院になることも珍しくはない。
「お義父様、三度目の妊娠でようやくここまで来られたんです。自分でもわがままを言っているのは承知していますが、どうかこのままここに居させてください」
それはお願いの形を取った言葉ではあった。
しかし夏侯淵から見ると、何を言ったところで雹華の意志は変わらないだろうと感じられた。
見ていて危うく感じるほど強い気持ちが滲んだ目をしている。もともと気の強い女だとは思っていたが、二度の流産によってさらに精神を追い詰められているようだ。
徐林もそういう妻を説得しきれず、結局は自分たちだけ村に残ることになった。
「この社に上がるのだってかなり揉めたんだ。なんとか頼み込んで荷車に乗ってもらったんだけど……」
(むしろ家にいた方がよかった。それならうちの兵が早めに見つけて、無理矢理にでも避難させたのに)
夏侯淵はそう思ったが、それを言っても後の祭りだ。
だからもう責めるのはやめて、現実的な今後の話をした。
「事情は分かった。ならもう、戦が終わるまでこの社にいろ。今さら避難しようとしたら劉備軍の部隊にぶつかる可能性がある」
すでに両軍とも陣地を敷き始めている。警戒の斥候は出しているだろうし、伏兵を配置しようとしているかもしれない。
特に伏兵などと遭遇したら、まず間違いなく口止めに殺されるだろう。
「ここでしばらく過ごすための物品は持ち込んでいるか?」
徐林は部屋の隅を指さした。
そこには食料や替えの衣類、生活雑貨などが積まれている。
「一月以上いられるようにしてる。裏には井戸もあるし、煙を出さないで煮炊きできるように炭も大量に用意した」
「それなら当面は放置して大丈夫だな。劉備軍が妙な勘繰りを入れないよう、うちの兵にもここに近寄らないよう言っておくぞ」
「分かった。この村で戦闘は起こりそうなのか?」
「実際に戦闘になるかは分からんが、うちの軍はこの村を防御陣地の一つとして使う。今はそのために逆茂木(木の枝を並べた防柵)を設置しているところだ」
夏侯淵はそういった事情で徐林の村に足を運んでいた。陣地構築の視察で現場を回っているのだ。
今いる社は山上なので村の中心からは離れているが、念のため確認しに来た兵が徐林たちを見つけた。
それが夏侯淵に報告され、今に至る。
「すまんが家や田畑を防御設備として使わせてもらうぞ」
徐林は無言でうなずいた。
村を荒らされるのは当然困るが、今から始まるのは殺し合いなのだ。もはや仕方ないと分かっている。
「この社は小さいし、地形的に見ても戦術的な価値はほとんどない。ここで大人しくしていれば、戦が終わるまで何事もなく過ごせるかもしれん」
この発言にはかなり希望的観測が入っている。
実際に夏侯淵の兵はこの社に足を伸ばしているし、劉備側の兵が来て乱暴しないとも限らないだろう。
仮に張飛の関係者だと言ったところで、果たして信じてもらえるか。今は戦の最中で、兵に理性的な反応を期待することはできない。
夏侯淵は構築中の陣地を見下ろし、決意を新たにした。
「要は、ここを劉備軍に取られなければいいということだ。厳重な陣地設営を改めて指示しておく」
雹華は寝具の上で、首だけ動かして謝意を示した。
安静にしないといけないため動きは小さいが、義父へ気持ちを込めて叩頭したつもりだ。
「お義父様、ありがとうございます。ご迷惑をおかけして申し訳ありません」
夏侯淵は礼と謝罪とを受け、うなずいてから小さなため息をついた。
「今回のことは決して褒められることではないが……気持ちは少し理解できるつもりだ」
夏侯淵は雹華とよく話をしたから、その苦しみを知っている。だから単純に責める気にはなれない。
この数年で仲良しと言えるほどの関係になった嫁へ、優しく微笑みかけた。
「子が無事に産まれるかどうかは、ほとんどが天の采配次第だと思う。だからあまり思い詰めず、気持ちを楽に持ちなさい。その方がお腹の子にも良い気がする」
義父の暖かい眼差しに、雹華の目には涙がたまった。
再度、心を込めて頭を下げる。
夏侯淵はそれにうなずき返してから、息子へと向き直った。
その肩を叩くようにしながら手を置き、将特有のどっしりとした声をかけた。
「雹華さんが心安らかにいられるかどうかはお前次第だ。しっかりと妻に尽くすんだぞ」
これまでの徐林なら、実父からこんなふうに訓示をされれば怒って腕を払い除けただろう。
しかし今は不安定な妻の体とお腹の子、そして出産という未知の領域を目の前にしている。正直なところ、不安で押し潰されそうだ。
そんな中、齢を重ねた実父の重みが頼りにすら思えてしまった。
ほとんど無意識にうなずいてから、気恥ずかしげに視線をそらした。
夏侯淵は息子を前にして、これまでないほどに声を荒らげていた。
五歳まで育てていた時、どんなイタズラをした時でもこれほど激しく叱りつけたことはない。
「村から避難するよう文を出しておいただろうが!!この周辺はもう戦場になるんだぞ!!」
もし徐林になんの後ろめたさもなかったなら、頭ごなしの叱責に反発もしただろう。
しかし本人も実父の怒りはもっともだと思っているから、気弱な返事しかできなかった。
「いや……俺もそれは分かってるよ……劉備軍はもう遠くないところまで来てるんだろ?」
「遠くないどころか、やつらはすでに定軍山に陣を張り始めている!!」
定軍山は徐林の村からほど近い山だ。村人たちにとっては故郷の景色として思い浮かべる山でもある。
劉備は夏侯淵との決戦に望み、その定軍山に本陣を据える決定をした。
一方の夏侯淵はこれに応じざるを得ない。籠城しようにも、漢中は曹操からの補給・援軍を極めて受けにくい土地なのだ。
「それにうちの軍の本陣も近い!!この村から北に十五里ほどの所だぞ!?今から場所も変えられん!!」
夏侯淵は劉備が定軍山に拠ると分かってから、すぐに徐林へ文を出した。
村がすっぽりと予定戦場に入るため、村ごと避難するよう指示したのだ。
伝令の兵はそれをちゃんと伝え、言われた通り避難するという返事を徐林から得ている。
しかも、少し前にこの村へ送った斥候から『村は無人になっている』という報告を受けていた。
なのに夏侯淵自身が足を運んでみると、なんと徐林がいたのだ。しかも身重の雹華と共に。
「本当にどういうことなんだ?お前たち二人だけで、しかも高台の社に」
徐林たち夫婦がいたのは自宅ではなく、山の神を祀る社だった。
五斗米道では懺悔や自戒をしたためた紙を山・地・水の神々に捧げる。村にはその社があった。
山の神は山上でなければならないから、社は村の中心からそれなりの斜面を登ったところではある。
とはいえ、この周辺一帯が戦場になるのだから安全だなどとは口が裂けても言えない場所だ。
そんなことは百も承知な徐林はうつむき、横目に妻を見た。雹華は寝間着のままで寝具に横たわっている。
その様子で、夏侯淵には今こうしている理由が嫁にあることを察した。
嫁もそれを隠す気はない。すぐに白状した。
「お義父様、私が林に頼んだんです。どうしても避難したくないって」
それは真実だったのだが、夫からするとその言い方は正確性を欠く。
「いや……頼んだっていうか、ほとんど脅してただろ。避難するなら舌噛んで死ぬって」
本当に自死するかどうかは別として、そういうことを言われると徐林としては非常に困る。この男は妻に強く出られると、どうしていいか分からなくなる。
しかも強引に引っ張って避難させることもできない体調なのだ。
「雹華にまた流産の兆候があるんだよ。それで絶対安静を維持したいから、長距離移動になる避難はしたくないって駄々こねられて……」
雹華はうなずいて夫の言うことを補足した。
「お腹が張って痛みもあって、少しですが出血もあります。一回目、二回目の流産の時と全く同じ症状なんです。どうも私は早く子を出そうとしてしまう体みたいで」
現代医学で言うところの、切迫流産・早産のおそれがあるということだ。
雹華の場合は繰り返しているし、子宮頸管無力症など母体側の要因が存在する可能性も否定できない。
「産婆さんにお話を聞いたら、今の妊娠期間だと赤ちゃんが出てきて生きられるかどうか、とても微妙なところらしいんです。だから一日でも長くお腹の中にいてほしい。でもそのためにはとにかく安静にしているしかないらしくて……」
現代であれば子宮の収縮を抑える薬などもあるが、この時代には当然そんなものはない。
生薬の中に筋肉の緊張を和らげるものが無いわけではないが、あくまで補助的なものと言えるだろう。だから安静が最も重要な措置になる。
実際、現代でも切迫早産のおそれがある妊婦は状態に沿った安静の程度を指示される。長期の入院になることも珍しくはない。
「お義父様、三度目の妊娠でようやくここまで来られたんです。自分でもわがままを言っているのは承知していますが、どうかこのままここに居させてください」
それはお願いの形を取った言葉ではあった。
しかし夏侯淵から見ると、何を言ったところで雹華の意志は変わらないだろうと感じられた。
見ていて危うく感じるほど強い気持ちが滲んだ目をしている。もともと気の強い女だとは思っていたが、二度の流産によってさらに精神を追い詰められているようだ。
徐林もそういう妻を説得しきれず、結局は自分たちだけ村に残ることになった。
「この社に上がるのだってかなり揉めたんだ。なんとか頼み込んで荷車に乗ってもらったんだけど……」
(むしろ家にいた方がよかった。それならうちの兵が早めに見つけて、無理矢理にでも避難させたのに)
夏侯淵はそう思ったが、それを言っても後の祭りだ。
だからもう責めるのはやめて、現実的な今後の話をした。
「事情は分かった。ならもう、戦が終わるまでこの社にいろ。今さら避難しようとしたら劉備軍の部隊にぶつかる可能性がある」
すでに両軍とも陣地を敷き始めている。警戒の斥候は出しているだろうし、伏兵を配置しようとしているかもしれない。
特に伏兵などと遭遇したら、まず間違いなく口止めに殺されるだろう。
「ここでしばらく過ごすための物品は持ち込んでいるか?」
徐林は部屋の隅を指さした。
そこには食料や替えの衣類、生活雑貨などが積まれている。
「一月以上いられるようにしてる。裏には井戸もあるし、煙を出さないで煮炊きできるように炭も大量に用意した」
「それなら当面は放置して大丈夫だな。劉備軍が妙な勘繰りを入れないよう、うちの兵にもここに近寄らないよう言っておくぞ」
「分かった。この村で戦闘は起こりそうなのか?」
「実際に戦闘になるかは分からんが、うちの軍はこの村を防御陣地の一つとして使う。今はそのために逆茂木(木の枝を並べた防柵)を設置しているところだ」
夏侯淵はそういった事情で徐林の村に足を運んでいた。陣地構築の視察で現場を回っているのだ。
今いる社は山上なので村の中心からは離れているが、念のため確認しに来た兵が徐林たちを見つけた。
それが夏侯淵に報告され、今に至る。
「すまんが家や田畑を防御設備として使わせてもらうぞ」
徐林は無言でうなずいた。
村を荒らされるのは当然困るが、今から始まるのは殺し合いなのだ。もはや仕方ないと分かっている。
「この社は小さいし、地形的に見ても戦術的な価値はほとんどない。ここで大人しくしていれば、戦が終わるまで何事もなく過ごせるかもしれん」
この発言にはかなり希望的観測が入っている。
実際に夏侯淵の兵はこの社に足を伸ばしているし、劉備側の兵が来て乱暴しないとも限らないだろう。
仮に張飛の関係者だと言ったところで、果たして信じてもらえるか。今は戦の最中で、兵に理性的な反応を期待することはできない。
夏侯淵は構築中の陣地を見下ろし、決意を新たにした。
「要は、ここを劉備軍に取られなければいいということだ。厳重な陣地設営を改めて指示しておく」
雹華は寝具の上で、首だけ動かして謝意を示した。
安静にしないといけないため動きは小さいが、義父へ気持ちを込めて叩頭したつもりだ。
「お義父様、ありがとうございます。ご迷惑をおかけして申し訳ありません」
夏侯淵は礼と謝罪とを受け、うなずいてから小さなため息をついた。
「今回のことは決して褒められることではないが……気持ちは少し理解できるつもりだ」
夏侯淵は雹華とよく話をしたから、その苦しみを知っている。だから単純に責める気にはなれない。
この数年で仲良しと言えるほどの関係になった嫁へ、優しく微笑みかけた。
「子が無事に産まれるかどうかは、ほとんどが天の采配次第だと思う。だからあまり思い詰めず、気持ちを楽に持ちなさい。その方がお腹の子にも良い気がする」
義父の暖かい眼差しに、雹華の目には涙がたまった。
再度、心を込めて頭を下げる。
夏侯淵はそれにうなずき返してから、息子へと向き直った。
その肩を叩くようにしながら手を置き、将特有のどっしりとした声をかけた。
「雹華さんが心安らかにいられるかどうかはお前次第だ。しっかりと妻に尽くすんだぞ」
これまでの徐林なら、実父からこんなふうに訓示をされれば怒って腕を払い除けただろう。
しかし今は不安定な妻の体とお腹の子、そして出産という未知の領域を目の前にしている。正直なところ、不安で押し潰されそうだ。
そんな中、齢を重ねた実父の重みが頼りにすら思えてしまった。
ほとんど無意識にうなずいてから、気恥ずかしげに視線をそらした。
10
お気に入りに追加
47
あなたにおすすめの小説
永き夜の遠の睡りの皆目醒め
七瀬京
歴史・時代
近藤勇の『首』が消えた……。
新撰組の局長として名を馳せた近藤勇は板橋で罪人として処刑されてから、その首を晒された。
しかし、その首が、ある日忽然と消えたのだった……。
近藤の『首』を巡り、過去と栄光と男たちの愛憎が交錯する。
首はどこにあるのか。
そして激動の時代、男たちはどこへ向かうのか……。
※男性同士の恋愛表現がありますので苦手な方はご注意下さい
if 大坂夏の陣 〜勝ってはならぬ闘い〜
かまぼこのもと
歴史・時代
1615年5月。
徳川家康の天下統一は最終局面に入っていた。
堅固な大坂城を無力化させ、内部崩壊を煽り、ほぼ勝利を手中に入れる……
豊臣家に味方する者はいない。
西国無双と呼ばれた立花宗茂も徳川家康の配下となった。
しかし、ほんの少しの違いにより戦局は全く違うものとなっていくのであった。
全5話……と思ってましたが、終わりそうにないので10話ほどになりそうなので、マルチバース豊臣家と別に連載することにしました。
西涼女侠伝
水城洋臣
歴史・時代
無敵の剣術を会得した男装の女剣士。立ち塞がるは三国志に名を刻む猛将馬超
舞台は三國志のハイライトとも言える時代、建安年間。曹操に敗れ関中を追われた馬超率いる反乱軍が涼州を襲う。正史に残る涼州動乱を、官位無き在野の侠客たちの視点で描く武侠譚。
役人の娘でありながら剣の道を選んだ男装の麗人・趙英。
家族の仇を追っている騎馬民族の少年・呼狐澹。
ふらりと現れた目的の分からぬ胡散臭い道士・緑風子。
荒野で出会った在野の流れ者たちの視点から描く、錦馬超の実態とは……。
主に正史を参考としていますが、随所で意図的に演義要素も残しており、また武侠小説としてのテイストも強く、一見重そうに見えて雰囲気は割とライトです。
三國志好きな人ならニヤニヤ出来る要素は散らしてますが、世界観説明のノリで注釈も多めなので、知らなくても楽しめるかと思います(多分)
涼州動乱と言えば馬超と王異ですが、ゲームやサブカル系でこの2人が好きな人はご注意。何せ基本正史ベースだもんで、2人とも現代人の感覚としちゃアレでして……。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
剣客逓信 ―明治剣戟郵便録―
三條すずしろ
歴史・時代
【第9回歴史・時代小説大賞:痛快! エンタメ剣客賞受賞】
明治6年、警察より早くピストルを装備したのは郵便配達員だった――。
維新の動乱で届くことのなかった手紙や小包。そんな残された思いを配達する「御留郵便御用」の若者と老剣士が、時に不穏な明治の初めをひた走る。
密書や金品を狙う賊を退け大切なものを届ける特命郵便配達人、通称「剣客逓信(けんかくていしん)」。
武装する必要があるほど危険にさらされた初期の郵便時代、二人はやがてさらに大きな動乱に巻き込まれ――。
※エブリスタでも連載中
クロワッサン物語
コダーマ
歴史・時代
1683年、城塞都市ウィーンはオスマン帝国の大軍に包囲されていた。
第二次ウィーン包囲である。
戦況厳しいウィーンからは皇帝も逃げ出し、市壁の中には守備隊の兵士と市民軍、避難できなかった市民ら一万人弱が立て籠もった。
彼らをまとめ、指揮するウィーン防衛司令官、その名をシュターレンベルクという。
敵の数は三十万。
戦況は絶望的に想えるものの、シュターレンベルクには策があった。
ドナウ河の水運に恵まれたウィーンは、ドナウ艦隊を蔵している。
内陸に位置するオーストリア唯一の海軍だ。
彼らをウィーンの切り札とするのだ。
戦闘には参加させず、外界との唯一の道として、連絡も補給も彼等に依る。
そのうち、ウィーンには厳しい冬が訪れる。
オスマン帝国軍は野営には耐えられまい。
そんなシュターレンベルクの元に届いた報は『ドナウ艦隊の全滅』であった。
もはや、市壁の中にこもって救援を待つしかないウィーンだが、敵軍のシャーヒー砲は、連日、市に降り注いだ。
戦闘、策略、裏切り、絶望──。
シュターレンベルクはウィーンを守り抜けるのか。
第二次ウィーン包囲の二か月間を描いた歴史小説です。
滝川家の人びと
卯花月影
歴史・時代
故郷、甲賀で騒動を起こし、国を追われるようにして出奔した
若き日の滝川一益と滝川義太夫、
尾張に流れ着いた二人は織田信長に会い、織田家の一員として
天下布武の一役を担う。二人をとりまく織田家の人々のそれぞれの思惑が
からみ、紆余曲折しながらも一益がたどり着く先はどこなのか。
天竜川で逢いましょう 起きたら関ヶ原の戦い直前の石田三成になっていた 。そもそも現代人が生首とか無理なので平和な世の中を作ろうと思います。
岩 大志
歴史・時代
ごくありふれた高校教師津久見裕太は、ひょんなことから頭を打ち、気を失う。
けたたましい轟音に気付き目を覚ますと多数の軍旗。
髭もじゃの男に「いよいよですな。」と、言われ混乱する津久見。
戦国時代の大きな分かれ道のド真ん中に転生した津久見はどうするのか!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる