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短編・中編や他の人物を中心にした物語

選ばれた子、選ばれなかった子6

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「やり方の上手い部隊がいるな……」

 夏侯淵カコウエンは敵兵を貫いた槍を引き抜きながら、そうつぶやいた。

 周囲を見回すと、戦況は乱戦の体をなし始めている。

 先ほどまではこちらが一方的に蹂躙しているようなものだった。

 奇襲と逆落としの勢いを利用し、敵を完全に打ち砕いていたのだ。

 しかも本陣は一目散に逃げている。それに釣られて多くの部隊が背を見せて逃げ始めた。

 足止めのために立ちはだかった部隊も少数いたが、勢いで突き崩した。

 そうして引く敵を背から討っていたのだが、それを一部隊の横槍で足止めさせられたのだ。

(いったん戦場から離れ、頃合いを見て横合いから突撃か……)

 夏侯淵の隊はそういう攻撃を受けていた。

 一部隊だけ妙な方向に逃げているとは思ったが、このための離脱だったらしい。

(なかなか選択できる作戦ではない。本陣が危ないのにいったん離れるわけだし、頃合いが来るまで味方がやられるのを見ていなくてはならない)

 横槍は夏侯淵の勢いがおさまってきた絶妙な時を狙って実行された。

 冷徹で、機を見るに敏な将がいるのだろう。

(もともと本陣まで獲れるとは思っていなかったが……)

 あまりに順調過ぎたため、もしやと欲も湧いていた。

 しかし欲を捨てねば足元をすくわれかねない。

 と、思いながら前のめりに突きを繰り出した。

「はぁっ!!」

 気合とともに放たれた槍の穂先は敵の剣を弾き、さらに鎧を貫いて胸を貫き通した。

「夏侯淵様、出過ぎです!大将はもう少しお下がりください!」

 副官が馬を駆ってそばについた。

 しかし夏侯淵はそれを置いていくつもりでさらに馬を進める。

「私が前に出ねば兵たちは進めないだろう!士気を上げ、限界を超えて戦ってもらわねば!」

 夏侯淵の兵たちは無茶な速度で行軍した上に、ろくな休憩も取らずに戦闘を開始した。

 普通なら戦える状態ではないのだ。

 そんな中でも奮戦しているのは、夏侯淵自身が先頭に立っているからだ。

 兵たちは嫌でも奮い立つし、将を討たせまいと必死になる。

「ですが、曹操様もそういうところを抑えろといつも戒められて……」

「ハッハッハ!耳にタコだが、墓場でもその説教を聞くのが私の夢だ!」

 夏侯淵は嬉しげに槍を振った。

 その軌道上にあった二つの首が裂け、血しぶきが上がる。

 その赤にいっそう心を燃やしながら凄惨な笑みを浮かべた。

 夏侯淵自身の体も限界に来ているのだ。それを動かしているのは、間違いなく曹操という天才への気持ちだった。

(あの人は神仙のような能力を持ちながら、心に子供のようなところがある。そんな人間が創る世は、言ってみれば夢だな)

 その夢を叶えるため、本陣は突けずとも可能な限り戦果を拡大したい。

 そうすれば前面に展開した曹操の本軍も攻めやすくなり、相手を一気呵成に叩けるだろう。

 しかし、横槍を入れてきた部隊がそれを邪魔するのだ。

 勢いを殺されただけではない。夏侯淵は自軍に亀裂が入るような感覚を覚えて横を向いた。

「……あれは?あの少年兵が使っているのは何だ?」

 視線の先で、一人の敵兵が夏侯淵に背を向けて駆けている。

 戦場に出るにはまだ小柄で、後ろ姿からも少年兵であることが察せられた。

 その少年兵が夏侯淵の部隊を割るように駆けながら、次々に兵を止めていた。

 いや、兵を止めているというよりも、馬を止めているのだ。

 少年の進む周囲で馬が次々と棹立さおだちになっていた。

(駆けながら馬に何かをぶつけているな。紐の先に重り……流星錘りゅうせいすいか!!)

 どうやら少年兵は武器として流星錘を使っているらしい。

 こういうまともな戦場ではまずお目にかかれない武器だ。

 しかも流星錘は『中距離』を間合いとする珍しい得物だから兵たちも意表を突かれているのだろう。

 戦場では近距離の剣か槍、遠距離なら矢を想定するのが普通だ。

 それが中距離から、しかも馬だけを狙われることで見事なまでに撹乱されてしまっている。

(どうやら子供のようだが手練の大人よりもよほど厄介だ。不憫だが、戦場では情けをかけられんぞ!!)

 夏侯淵は非情だと思いながらも、少年兵を殺す決意をした。

 馬の腹を蹴り、そちらへ向けて駆けさせる。

 小さな背を追いながら、夏侯淵は少年兵の武器捌きに舌を巻いた。

 錘と紐とが時に蛇のように、時に流星のように変じながら次々と馬を打つ。

 まるで洗練された芸を見ているようだとさえ思った。

 しかも少年はかなり鍛えているらしく、足も速い。翔ぶように兵たちの間を縫いながら軍の足を止めていく。

 夏侯淵の馬はかなりの距離を走ってようやく追いついた。

「そこまでだ!!」

 その一言は余計だったかもしれない。

 背後から突き出した槍の穂先は紙一重でかわされ、服を裂くだけに終わった。

 そのかわす動作で少年兵の頭に一筋の白髪が見え、夏侯淵は少年兵が少年ではなかったのかと思った。

(……いや、顔は少年だな)

 ある意味どうでもいい認識をあらためながら、二突き目を構える。

 が、突けなかった。

 その少年兵の顔が、今朝自分が思い浮かべた顔に重なったからだ。

 もちろん七年経っているから全く同じではない。

 しかし七年経ったら間違いなくこうなるだろうという顔が目の前にあった。

「……リン!!」

 夏侯淵はその名を叫びながら、顔面めがけて飛んできた錘をかわした。

 かわせたのは奇跡だったろう。

 それほど自分は驚愕していたし、無意識に動いてくれる鍛え上げた首がなければ死んでいた。

 夏侯淵はあまりのことに二撃目を出せなかったわけだが、それは徐林ジョリンも同じだった。

 何度も夢に見た一番初めの記憶。

 赤子だけ連れて逃げた父の顔が目の前にあったのだ。

 そのハッとした表情を見た夏侯淵は、息子も自分の顔を覚えているのだと確信した。

「綝!綝!分かるんだな!?」

「あんたは……」

 徐林は夢を見ているようなつぶやきを返した。戦場であるにも関わらず、心が飛んで行ってしまったかのようだ。

 一方の夏侯淵は天にも昇るような興奮で言葉を重ねた。

「そうだ!父さんだぞ!お前の父さんだ!」

 その台詞を聞いた徐林の顔は歪んだ。

 鼻筋にしわを寄せ、眉を逆立つほどに吊り上げる。

 しかし夏侯淵は喜びのあまり、そんなことには頓着せずに喋り続けた。

 死んだはずの息子と言葉を交わせているのだ。ただただ嬉しさに舞い上がっていた。

「やはり生きていたんだな!この七年、私はずっとお前のことを考えて……」

「ふざけるなぁっ!!」

 と、徐林は怒声でもって夏侯淵に応じた。

 叫びながら再び流星錘を飛ばす。

 錘は夏侯淵の耳をかすめ、重い音とともに肉が千切れた。

 息子の思わぬ反応に、夏侯淵は耳の痛みすら感じなかった。

「り……綝?」

「父さんだと……?俺の父さんはちゃんと別にいる!俺のことを捨てたくせに、あの赤ん坊の方を選んだくせに……今さら父親づらするな!!」

 徐林は全身から殺気を放ちながら流星錘を高速回転させた。

 腰を落とし、必殺の間合いと機をうかがいながら、五歳までの父親を睨めつける。

 夏侯淵はその隙のない構えを前にして、息子の七年間の苦労を垣間見た気がした。

 まだ少年であるにも関わらず、武人としては大人顔負けなほどに練り上げられているのだ。

 この齢でこれだけの武技を身に着けているということは、幼い頃から相当な鍛錬を積まされたということだろう。

 普通の子たちが無邪気に遊び回っている年頃に、この子は苦痛に塗れた戦闘訓練を強いられてきたのだ。

(そして、私のことを恨んでいる)

 そのことに気づいて愕然とした。

 夏侯淵自身も酷いことをしたと思っているから、恨みは受け入れなければならないと思う。

 しかし心のどこかで息子はずっと自分を求めており、自分に会えたことを喜んでくれるのではないかと思っていた。

「綝、聞いてくれ。私はそんなつもりでは……」

「うるさい!今だって俺や父さんを殺しに来てるじゃないか!」

(……ということは、綝を育てた今の父親はやはり黄巾の兵か)

 それは分かったが、その父親は幼い綝を戦力として育てたようだ。流星錘の扱いを見れば分かる。

 そのことを思うと夏侯淵はその男に腹が立ったし、そちらの方を父親と言う息子にやるせない気持ちになった。

「綝!聞いてくれ!戦は立場上仕方ないが、私はお前のことを大切に思って……」

「夏侯淵様!お離れください!」

 と、そこへ夏侯淵の兵が馬を駆って横合いから突っ込んできた。

 三騎が並んで槍を構えており、その先端は徐林に向かっている。

 兵たちは将の身を案じて来たわけだが、息子を殺しに来られた夏侯淵は焦った。

「お、おい!ちょっと待て!」

「少年兵とて情けは無用で……」

 三騎のうち、右端の兵の言葉はそこで途切れた。

 錘がまさに流星となり、その喉を潰したからだ。

 徐林は紐を引いて錘を戻しつつ、その兵の馬に隠れるよう動いた。それで他の二騎からは攻撃を受けなくて済む。

「……こいつ!!」

 真ん中の兵が手綱を引いて方向転換しようとした。

 その頬を二撃目の錘がかすめる。

(あ、危なかった……)

 そう思ったのは、頬をかすめられた真ん中の兵だけだ。

 その後ろにいた左側の兵は額に衝撃を受け、何が起こったのか分からないまま頭蓋を割られた。

 味方の体すれすれを錘が飛んだので、当たるまで察知出来なかったのだ。

 徐林は投げた錘を今度は戻さなかった。

 むしろ自ら投げた方へと向かい、最後の一騎の方へ駆ける。

 その馬の下をくぐって錘を拾うと、駆けた勢いと体重をかけて紐を引いた。

「うおっ!?」

 紐は馬の脚にかかっている。それを引かれた馬は転倒してしまった。

 兵は落馬し、起き上がろうとしたところへ錘が降ってくる。

 かわしようのない金属塊は兵の意識をきれいに奪った。

(三騎を同時に相手にしてこれか……)

 夏侯淵は息子の絶技に再び驚愕せざるを得なかった。

 十二の少年が騎兵三つをまたたく間に無力化したのだ。

 我が息子ながら大したものだという気持ちがある一方で、綝はこれが出来るようになるほど追い込まれたわけだ。

 子供にやらせてよい鍛錬ではない。

(やはり、今の父親は許せん)

 そうは思ったが、まずは落ち着いて話すために綝を拘束せねばならないと思った。

(しかしこの強さ、押さえ込むのも簡単ではないな……まずはどうにかして流星錘の紐を掴むところからだが)

 夏侯淵が戦い方を組み立てているところへ、他の部下たちも集まってきた。

 そもそも戦況としてはこちらが押しまくっているし、乱戦にされたとはいえ周囲には味方の方が多い。

(囲めばなんとかなるか)

 夏侯淵は綝を生け捕りにすべく、部下たちに命令を出そうとした。

 しかしその声が発せられる直前、別の声が場に響いた。

「林!!大丈夫か!?」

 声の方を振り向くと、一騎の騎馬兵がこちらに向かって駆けて来る。

 その両手から何かが放たれた。

 すると先ほど徐林がそうしていたように、味方の馬が棹立ちになった。しかも二頭同時にだ。

「……双流星か!!」

 夏侯淵はその騎兵が使う武器名を叫んだ。

 流星錘は片端にしか錘が付いていないものを単流星と呼び、両端に付いているものを双流星と呼ぶ。

 徐林の得物は単流星だが、駆けてきた騎兵は双流星を使っていた。

 しかも両手で同時に繰り出せるらしい。恐るべき器用さだ。

(もしや、この男が綝に流星錘を教えたのか?ならばこの男が……)

「父さん!!」

 徐林は夏侯淵の推察を肯定する声を上げ、騎兵の方へ走り出した。

 そして二人は手を取り、夏侯淵が見ていて腹立たしいほどの軽やかな身ごなしで馬に引き上げられた。

 それから背を向けて去って行く。

 夏侯淵は二人の背中を追った。

「待て!貴様、綝を返せ!」

 徐和ジョカはその言葉に振り返り、夏侯淵の顔をじっと見つめてから流星錘を放った。

 夏侯淵は顔に飛んできた錘を槍で弾いたが、その時にはもう一方の錘が馬を襲っていた。

 夏侯淵の乗騎は喉元を撃たれて驚き、他の馬と同じように竿立になって暴れ始めた。

「こら、こいつ落ち着け!」

 手綱を押さえつけてなんとか落馬をこらえたが、その間に二人とはかなりの距離が離れてしまった。

 徐和と徐林は三つの錘で敵を乱しながら進んでいく。

 その様はまるで一つの体から三本の蛇が伸びているようだった。

「父さん、来てくれたんだね。合流するのはさっき話してた山かと思ってたけど」

「ああ。そのつもりだったが、思ったより早く敵の勢いを殺せたからな」

「早めに引く?」

「そのつもりであと少ししたら引き鐘を打つよう命じている。しかしお前が深く入り過ぎていたのが見えたのだ。置いてけぼりを食わせかねないから、私が迎えに来た」

 徐林はその言葉に頬を紅潮させ、満面の笑みで錘を放った。

(この人は俺のことを置いて行ったりはしない。俺はちゃんと働けてるし、捨てられはしないんだ)

 嬉しげに繰り出された攻撃ではあったが、寸分違わず弓を構えた敵の手に当たった。

「やっぱり俺の父さんは、父さんしかいないや」

 言われた徐和の方は、それが嬉しい言葉であっても違和感を覚えた。

「さっき対峙していた敵は?お前を返せと言っていたようだが」

「……さぁ?俺が結構戦えるのを見て、部下に欲しくなったんじゃない?」

 徐和には息子が嘘を言っているのが分かったが、あえてそれ以上は聞かなかった。

(『リン』という名を呼んでいたな……)

 しかし暗殺者として育て上げた息子が戦場でわざわざ名乗るとは思えない。

(ということは……まさか林の本当の父親か?)

 それならば、敵と林の発言も理解できる。

 徐和も林の実父の顔は七年前に見ているのだが、さすがにはっきり覚えてはいない。

 だが、言われてみればあんな顔だった気もする。それに目元が林によく似ていた。

(しかも、あれはこの軍の将のように見えた。ならば林は夏侯淵の息子ということになるが……)

 徐和はふたつの流星を操りながら、まさかと思える結論に達した。

 が、さらにその先の結論を得る。

(……いや、誰がなんと言おうと林は私の息子だ。この子には辛い運命を背負わせてしまったが、その分私が父として愛してやるのだ)

 心の中ではそれが自分自身のためでもあると知りながら、徐和はそう思うことにした。

 この子はすでに大切な家族だ。暗殺とは関係なく、徐和自身が必要としてしまっている。

「林……お前は私の息子だ」

 徐和が漏らしたそのつぶやきは、はるか後方の夏侯淵が漏らしたものと全く同じだった。
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