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短編・中編や他の人物を中心にした物語
呂布の娘の嫁入り噺14
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その日、玲綺は幸せな気分で床についた。今日も愛しの袁燿に会えたからだ。
「袁燿様の琴、素敵だったな……」
その姿を思い出し、胸を熱くする。
美男子の袁燿が美しい音色を奏でるのだから、そばにいた女としては惚れ直すしかない。
(お家にお呼ばれしたんだから、着実に関係は進展してるわよね)
玲綺は今日、袁燿の自宅で催された音曲の鑑賞会に招待されたのだった。
袁燿の自宅ということは、父である後将軍・袁術の自宅ということになる。そこで催された会というのは当然招待客も多く、自分はその中の一人でしかない。
ただ、それで玲綺は満足だった。袁燿に連れられて、その両親に挨拶できたのだから。
(彼のご両親に紹介……)
それはとても重要なことな気がした。
それに、袁術とその妻は玲綺のことを気に入ってくれていたように見えた。
『ほう、呂布殿の娘がこんなにお美しいとは……燿、お前は良い出会いをしたな』
などと言ってくれたのだ。これはもはや、親公認の仲と言ってもいいのではないだろうか。
袁燿とは先日の晩餐会から、かなりいい感じになっていると思う。今日の演奏会以前にも、何度か食事をしたり、お茶をしたりした。
恋の贔屓目を抜いても袁燿は真面目な男だ。きっと何とも思っていない相手とは、こんな事をしないだろう。
そしてありがたいことに、今の自分は中郎将の娘になっている。成り上がりとはいえ、後将軍の息子と結ばれても立場的にはおかしくないのだ。
(お父様……別に私のために裏切ったわけじゃないだろうけど、ありがとう)
丁原には申し訳ないが、そんなことを思ったりもする。
龐舒などは丁原と一緒に戦ったこともあるから、その死について複雑な思いを抱いているようだった。
しかし自分にとっては『よく知らない父の上司』であり、龐舒ほどの懊悩は感じていない。
もちろん父が苦しんでいることは玲綺も感じているので、それに関しては悲しいと思う。
しかし年頃の娘としては、好きな人との縁談が現実味を増してきていることへの舞い上がりの方が大きいのも仕方がないことだった。
「袁燿様……」
また愛しい人の名前をつぶやき、ため息をつく。
すると、不思議なことが起こった。
ここは自分の家の自分の部屋であるはずなのに、その愛しい人からの返事の声が聞こえたのだ。
「はい」
玲綺は耳を疑った。
しかし幻聴にしてはやけにはっきりと聞こえたように思う。
事実、その返事に続いてさらにはっきりと袁燿が喋ったのだ。
「玲綺さん、私が来たことに気づいたんですか?すごいですね」
その声は窓の外から聞こえてきた。
玲綺が寝台を降りて窓を開けると、そこには月明かりに照らされた愛しい人の顔があった。
「袁燿様……え?な、なんでこんな時間に?」
もうすっかり夜は更けており、ほとんどの人間は寝ている時間だ。
そんな時間に男が女の部屋に忍んで来ている。その意味するところは、恋愛経験の無い玲綺にも容易に理解できた。
(よ、夜這い?どどど……どうしよう?そんないきなり来られても、こっちにも心の準備ってものが……)
玲綺はこの娘らしくないことに、戸惑ってしまった。
度胸一番の自分ではあったが、さすがにそういう未知の領域となると簡単に踏み出せない。
(袁燿様、真面目な方だと思ってたけど意外にやり手?いや、男女ってもしかしてこんなものなのかな……)
そんな思考が一瞬のうちに脳内を駆け巡る。
しかし、やはりこの娘らしく決断は早かった。
自分はこの袁燿と絶対に結婚すると心に決めているのだ。ならば迷うことはない。受け入れなくてはならない。
(袁燿様が次に何を言っても、必ず『はい』って答える)
玲綺は覚悟と決心をもって、そう思い定めた。
そして袁燿が口を開く。
「私は今から洛陽を出ていくことになったので、お別れを言いに来ました」
「はいっ…………はいぃ?」
あまりに想定外の話だったので、思わず声を裏返してしまった。
「え?え?……洛陽を出て行くって、ちょっとしたお出かけとかじゃなくてですか?」
言ってから、玲綺も自分で馬鹿なことを聞いたと思った。そんなことでこんな挨拶になるわけがない。
当たり前だが、袁燿は否定した。
「残念ながら、旅行などではありません。父が董卓の元を去ることに決めたのです。すでに袁紹おじ様や曹操様など、多くの士大夫が現政権を見限って洛陽を出奔されています。遅ればせながら、我が袁術家もそれに習うのです」
「そんな……いきなりそんな事を言われても……」
「私も驚きました。この事は私自身も今日、陽が沈んでから初めて知らされたのです。どうやら父とその側近だけの秘事になっていたらしくて……」
玲綺は愕然とした。
つい今日の昼間まで無邪気に客を呼んで音曲を楽しんだりしていたのに、その晩に出奔するのか。
(……いや、むしろそのために演奏会を催したんだわ。ごく自然な日常を演じて監視を油断させるために)
明敏な玲綺はすぐにそう気がついた。
袁燿の言った通り、すでに何人もの有力者が洛陽を脱出して董卓の権力下から逃れている。だから董卓はこれ以上の名士流出を避けるため、監視を置いているという噂だった。
(じゃあ……もう袁燿様とはこれで最後なの?)
事情を理解すると、今度はそういう結論まで付いてきてしまう。その事実に、玲綺は床が抜けてしまったような衝撃を受けていた。
今の今まで想い人との幸せな未来を疑っていなかったのに、突然その未来が足元から崩されたのだ。
しかし未来への期待が大きかっただけに、簡単に諦めきれはしない。
「わ、私も袁燿様と一緒に……行ったりは……」
玲綺は言いながら、自分でも自分がどれほど本気なのか分からなくなっていた。もしそうするなら、家族を置いて行くということになる。
そこまでの覚悟があるかと問われると、即答はできない。
そして袁燿もそんなことをさせるつもりはなかった。
「それは駄目です。実は董卓の独裁に反対する軍事連合のようなものが結成されるという話があり、父はそれに参加するつもりでいます。そして呂布様は董卓政権の要職にいますから、私たちは完全に敵同士ということになります」
「敵……」
「そうです。ついて来てもらっても、玲綺さんは憎い敵の娘という立場になってしまうのです。そして私の力では、父や周囲の人間たちから玲綺さんを守ることはできない……」
それに、そういう立場の人間が結婚など許してもらえるはずもないだろう。
せっかく父が出世して立場が良くなったと思ったら、その立場のせいで今度は結ばれないのだ。
どうしようもない現実を前にして、玲綺の目に涙が浮かんだ。
それは悲しみによって浮かんだ涙ではあったのだが、袁燿は心の底から美しいと思った。
「……最後に会いに来て良かった。私は玲綺さんのことを忘れません」
玲綺はその言葉にハッとした。
袁燿は恐らく今、かなり無理をして会いに来てくれているのだ。これほど直前まで秘匿されていたほどの周到な脱出なのだから、予定外の行動が許されるはずがない。
どんな言い訳をして出てきたのか分からなかったが、きっと酷く叱られるだろう。
玲綺はそれでも来てくれた袁燿を愛おしく思い、その分だけ別れの切なさが増した。
だから窓の外へ手を出して、袁燿に触れようとした。
袁燿も同じことを望み、玲綺の手を取り、握りしめ、頬で擦ってから、優しく口づけをした。
そしてほんの短い唇の感触の後、袁燿はその手から離れていった。
「時間がないので、もう行かなければなりません。さようなら」
一歩下がった袁燿に、玲綺はなんと言うべきか考えた。そしてつい今しがた、自分が言われて嬉しかったことを口にした。
「私も、袁燿様のことを忘れません」
その言葉はやはり男にとっても嬉しいもので、袁燿は月明かりに映える一際美しい笑顔を見せてくれた。
「袁燿様の琴、素敵だったな……」
その姿を思い出し、胸を熱くする。
美男子の袁燿が美しい音色を奏でるのだから、そばにいた女としては惚れ直すしかない。
(お家にお呼ばれしたんだから、着実に関係は進展してるわよね)
玲綺は今日、袁燿の自宅で催された音曲の鑑賞会に招待されたのだった。
袁燿の自宅ということは、父である後将軍・袁術の自宅ということになる。そこで催された会というのは当然招待客も多く、自分はその中の一人でしかない。
ただ、それで玲綺は満足だった。袁燿に連れられて、その両親に挨拶できたのだから。
(彼のご両親に紹介……)
それはとても重要なことな気がした。
それに、袁術とその妻は玲綺のことを気に入ってくれていたように見えた。
『ほう、呂布殿の娘がこんなにお美しいとは……燿、お前は良い出会いをしたな』
などと言ってくれたのだ。これはもはや、親公認の仲と言ってもいいのではないだろうか。
袁燿とは先日の晩餐会から、かなりいい感じになっていると思う。今日の演奏会以前にも、何度か食事をしたり、お茶をしたりした。
恋の贔屓目を抜いても袁燿は真面目な男だ。きっと何とも思っていない相手とは、こんな事をしないだろう。
そしてありがたいことに、今の自分は中郎将の娘になっている。成り上がりとはいえ、後将軍の息子と結ばれても立場的にはおかしくないのだ。
(お父様……別に私のために裏切ったわけじゃないだろうけど、ありがとう)
丁原には申し訳ないが、そんなことを思ったりもする。
龐舒などは丁原と一緒に戦ったこともあるから、その死について複雑な思いを抱いているようだった。
しかし自分にとっては『よく知らない父の上司』であり、龐舒ほどの懊悩は感じていない。
もちろん父が苦しんでいることは玲綺も感じているので、それに関しては悲しいと思う。
しかし年頃の娘としては、好きな人との縁談が現実味を増してきていることへの舞い上がりの方が大きいのも仕方がないことだった。
「袁燿様……」
また愛しい人の名前をつぶやき、ため息をつく。
すると、不思議なことが起こった。
ここは自分の家の自分の部屋であるはずなのに、その愛しい人からの返事の声が聞こえたのだ。
「はい」
玲綺は耳を疑った。
しかし幻聴にしてはやけにはっきりと聞こえたように思う。
事実、その返事に続いてさらにはっきりと袁燿が喋ったのだ。
「玲綺さん、私が来たことに気づいたんですか?すごいですね」
その声は窓の外から聞こえてきた。
玲綺が寝台を降りて窓を開けると、そこには月明かりに照らされた愛しい人の顔があった。
「袁燿様……え?な、なんでこんな時間に?」
もうすっかり夜は更けており、ほとんどの人間は寝ている時間だ。
そんな時間に男が女の部屋に忍んで来ている。その意味するところは、恋愛経験の無い玲綺にも容易に理解できた。
(よ、夜這い?どどど……どうしよう?そんないきなり来られても、こっちにも心の準備ってものが……)
玲綺はこの娘らしくないことに、戸惑ってしまった。
度胸一番の自分ではあったが、さすがにそういう未知の領域となると簡単に踏み出せない。
(袁燿様、真面目な方だと思ってたけど意外にやり手?いや、男女ってもしかしてこんなものなのかな……)
そんな思考が一瞬のうちに脳内を駆け巡る。
しかし、やはりこの娘らしく決断は早かった。
自分はこの袁燿と絶対に結婚すると心に決めているのだ。ならば迷うことはない。受け入れなくてはならない。
(袁燿様が次に何を言っても、必ず『はい』って答える)
玲綺は覚悟と決心をもって、そう思い定めた。
そして袁燿が口を開く。
「私は今から洛陽を出ていくことになったので、お別れを言いに来ました」
「はいっ…………はいぃ?」
あまりに想定外の話だったので、思わず声を裏返してしまった。
「え?え?……洛陽を出て行くって、ちょっとしたお出かけとかじゃなくてですか?」
言ってから、玲綺も自分で馬鹿なことを聞いたと思った。そんなことでこんな挨拶になるわけがない。
当たり前だが、袁燿は否定した。
「残念ながら、旅行などではありません。父が董卓の元を去ることに決めたのです。すでに袁紹おじ様や曹操様など、多くの士大夫が現政権を見限って洛陽を出奔されています。遅ればせながら、我が袁術家もそれに習うのです」
「そんな……いきなりそんな事を言われても……」
「私も驚きました。この事は私自身も今日、陽が沈んでから初めて知らされたのです。どうやら父とその側近だけの秘事になっていたらしくて……」
玲綺は愕然とした。
つい今日の昼間まで無邪気に客を呼んで音曲を楽しんだりしていたのに、その晩に出奔するのか。
(……いや、むしろそのために演奏会を催したんだわ。ごく自然な日常を演じて監視を油断させるために)
明敏な玲綺はすぐにそう気がついた。
袁燿の言った通り、すでに何人もの有力者が洛陽を脱出して董卓の権力下から逃れている。だから董卓はこれ以上の名士流出を避けるため、監視を置いているという噂だった。
(じゃあ……もう袁燿様とはこれで最後なの?)
事情を理解すると、今度はそういう結論まで付いてきてしまう。その事実に、玲綺は床が抜けてしまったような衝撃を受けていた。
今の今まで想い人との幸せな未来を疑っていなかったのに、突然その未来が足元から崩されたのだ。
しかし未来への期待が大きかっただけに、簡単に諦めきれはしない。
「わ、私も袁燿様と一緒に……行ったりは……」
玲綺は言いながら、自分でも自分がどれほど本気なのか分からなくなっていた。もしそうするなら、家族を置いて行くということになる。
そこまでの覚悟があるかと問われると、即答はできない。
そして袁燿もそんなことをさせるつもりはなかった。
「それは駄目です。実は董卓の独裁に反対する軍事連合のようなものが結成されるという話があり、父はそれに参加するつもりでいます。そして呂布様は董卓政権の要職にいますから、私たちは完全に敵同士ということになります」
「敵……」
「そうです。ついて来てもらっても、玲綺さんは憎い敵の娘という立場になってしまうのです。そして私の力では、父や周囲の人間たちから玲綺さんを守ることはできない……」
それに、そういう立場の人間が結婚など許してもらえるはずもないだろう。
せっかく父が出世して立場が良くなったと思ったら、その立場のせいで今度は結ばれないのだ。
どうしようもない現実を前にして、玲綺の目に涙が浮かんだ。
それは悲しみによって浮かんだ涙ではあったのだが、袁燿は心の底から美しいと思った。
「……最後に会いに来て良かった。私は玲綺さんのことを忘れません」
玲綺はその言葉にハッとした。
袁燿は恐らく今、かなり無理をして会いに来てくれているのだ。これほど直前まで秘匿されていたほどの周到な脱出なのだから、予定外の行動が許されるはずがない。
どんな言い訳をして出てきたのか分からなかったが、きっと酷く叱られるだろう。
玲綺はそれでも来てくれた袁燿を愛おしく思い、その分だけ別れの切なさが増した。
だから窓の外へ手を出して、袁燿に触れようとした。
袁燿も同じことを望み、玲綺の手を取り、握りしめ、頬で擦ってから、優しく口づけをした。
そしてほんの短い唇の感触の後、袁燿はその手から離れていった。
「時間がないので、もう行かなければなりません。さようなら」
一歩下がった袁燿に、玲綺はなんと言うべきか考えた。そしてつい今しがた、自分が言われて嬉しかったことを口にした。
「私も、袁燿様のことを忘れません」
その言葉はやはり男にとっても嬉しいもので、袁燿は月明かりに映える一際美しい笑顔を見せてくれた。
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