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短編・中編や他の人物を中心にした物語
呂布の娘の嫁入り噺10
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兵たちの昼食が終わり、午後の演習が始まろうとしていた。
午前中の演習は特に何事もなく、平常通りに終わっている。龐舒はその中で有意義な時間を過ごし、軍というものをよく学んだ。
(なるほど。集団での戦いというのは、個人での戦いとはまるで違うんだな)
そんなことを感じていた。
集団で動くというのはとても難しい。
というか、集団を思った通りに動かすのが難しいのだ。集団にはそれを指揮する頭がいるわけだが、頭の思った通りに動いてくれなどしない。
龐舒は動かす側の呂布のそばに付いていたから、そのことがよく分かった。
(呂布様の指揮する騎馬隊はすごく滑らかなのに、他の人に指揮が変わった途端、ガタガタになるもんな)
まるで固い地面から砂利道か泥道にでも移ったかのようだった。それくらい違う。指揮は複数人に変わったが、誰でもそうなった。
呂布は何をどう感じているのか、さして周囲を見ずとも隊全体の状態が分かっているようだった。現在の陣形、隊列の伸び、馬の状態、兵の体力、そんなことを全て見通したかのような指揮をする。
(こういう所はどれだけ鍛錬を積んでも追いつけないんだろうな)
努力ではどうにもならない天才の領域がある。
龐舒はそういう永遠の敗北を知りながらも、悔しさや羨ましさは感じなかった。
それほど自分の師は偉大なのだ。それはむしろ、誇らしいことだった。
(午後からも頑張ろう)
気合を入れ直しながら、偉大で誇らしい師の背中を眺める。
今のところ鍛錬の成果もあり、騎馬隊の動きにはついていけていた。呂布もいつぞやのように不満を言ってくることはない。
それでも真面目な龐舒はさらに良くやろうと、改善すべき点を頭の中に並べた。
が、その対応策を考える前に、その思考を止めることになった。
視界の中の師の背中から、ゆらりとした煙のようなものが立ち昇ったように見えたからだ。
(……何だ?)
龐舒にはその正体は分からなかったが、何やらただ事ではないような感覚を覚えた。
その揺らめくものと共に、師の背中が大きさを増したように思えたからだ。
「龐舒、よく見ておけ」
呂布は肩越しに朝と同じ言葉を口にしてから、一人馬を進めて軍の前面へ出て行った。
そこには午後の演習開始前に、兵たちへ演説をしようとしていた丁原がいた。
ひときわ体格の良い馬にまたがり、皆の視線を受けている。
その正面へ進み出た呂布は、静かな声を発した。
「一騎打ちを、所望します」
この台詞は、普通に聞けば『演習前に兵たちへ一騎打ちの模擬戦を見せたい』という意味に取れるだろう。実際、幾人かの鈍感な兵たちはそう思った。
しかし丁原を含め、一部の優秀な兵たちは別の意味として受け取った。なぜなら呂布の全身から、毛が逆立つほどの殺気があふれていたからだ。
それを正面から浴びて、丁原の片眉がピクリと上がった。
そして呂布の頭から爪先まで視線を流し、笑った。
「董卓か」
その確認に、呂布は一切の反応を見せなかった。
ただじっと、丁原の目を見つめている。
丁原もしばらくの間それを見返した。そして、やはり笑った。
「……いいだろう。どうなるにせよ、これからの世が分かりやすくなる事だけは確かだ」
それから丁原は兵たちの方を向いた。
「儂は今から、この呂布と一騎打ちを行う!演習ではない!本気の殺し合いだ!」
その言葉に、兵たちの間からざわめきが起こった。
その中にいた龐舒の心もざわめいた。
いや、ざわめいたどころではない。まるで心に嵐が吹き荒れたかのように、様々な思考と感情が千切れ飛んだ。
(え……殺し合いって……呂布様と、丁原様が?)
聞き間違いであってほしいと思う一方、自分でもこれからそれが起こるのだということをよく理解していた。
なぜなら先ほど師の背中から立ち昇ったものは、そういうものだと感じたからだ。
丁原は朗々と兵たちへ言葉を続けた。
「呂布は董卓の意を受けて儂に挑んできている!もし儂が負けたなら、呂布と共に全軍を上げて董卓に従え!それでこの一連の権力闘争には終止符が打たれる!国にとって、悪いことではなかろう!」
丁原の軍が董卓の下につくなら、董卓はこの洛陽で唯一軍事力を持つ者となる。
董卓の世が来るのだ。
「しかしもし儂が勝ったなら、当然董卓に落とし前をつけさせる!このまま奴の所へ攻め込み、その首を上げるぞ!」
そうなれば、今度は丁原が軍事力を手中に収めることになる。天下の覇権はこの一戦によって行方が決められるのだ。
が、龐舒にとっては天下の覇権よりも、目の前で大切な人たちが殺し合いをすることの方がよほど重大だった。
(呂布様と丁原様が殺し合いって……そんな、止めなきゃ……)
龐舒が一歩踏み出そうとした時、呂布が肩越しにこちらを睨んだ。
その横目の一瞥だけで、龐舒の足はすくんで動かなくなった。その一瞥に、本物の殺気を感じたからだ。
(駄目だ……この二人を止められるだけの力が、僕には無い……)
視線と空気だけでそれがよく分かった。
もし本気で止めに入ったとしたら、師の本気の一撃でいとも簡単に昏倒させられるだけだろう。下手に抵抗などしようものなら、本当に殺されるかもしれない。
「……そ、そうだ!張遼様!あの、張遼様は今どちらに!?」
龐舒はその人を思い出して、近場にいた兵の腕を取って尋ねた。
あの化け物なら、この化け物たちを止められるかもしれない。というか、他に止められる人間などいはしないだろう。
しかし、問われた兵は首を横に振った。
「張遼様は募兵のため、今は河北を回られている。帰って来られるのはもうしばらく先だ」
その言葉に、龐舒は絶望した。
ということは、自分はもう見ていることしかできないのか。
確かに師は自分に『よく見ておけ』と言っていた。
しかし師の言いつけとはいえ、龐舒にとってそれはあまりに辛いことだった。
(だって呂布様は、丁原様のことが好きなのに)
だからもし師が勝ったとしても、師は傷つくことになる。龐舒にはそれが辛かった。
(呂布様……やめてください、呂布様……)
龐舒がそう願い続ける中、呂布と丁原は互いに背を向けた。
馬を進ませていったん距離を取り、振り返る。
呂布は戟を、丁原は二本の鉞を構え、馬を走らせ始めた。
そして二匹の化け物が交わる時、大気が震えた。
武器と武器とがぶつかり合い、この世のものとは思えないような音が鳴り響いた。
「…………っ!!」
その場の全ての兵たちは声も上げられなかった。
目の前で天変地異でも起こったようなものだ。別に自分に害がないことが分かっていたとしても、身をすくませてしまう。
呂布と丁原は馬をすれ違えさせて、再び距離を取った。そして大きく旋回し、また馳せてぶつかる。
数合そんなぶつかり合いを繰り返した後、戟と双鉞との鍔迫り合いになった。互いの巨躯と馬の体重をかけて、刃と刃が押し合う。
その至近距離で、丁原は呂布へと笑いかけた。
「呂布よ、儂は裏切られたとは思っておらんぞ。お前がこういう男であるということは知っていた。儂はこういう飢えた虎のようなお前のことも好きだったのだ」
「…………」
呂布は応えず、ただ戟を押した。
しかし、丁原は構わない。むしろそんな呂布の憮然とした顔を、いっそう好ましいと思った。
「楽しいなぁ、呂布よ。儂は若い頃から戦に明け暮れてきたが、心から満足できるほどの相手にはついぞ出会わなんだ。しかし今、儂は満足している。最高の戦いだ。儂はお前に、感謝しているぞ!!」
丁原はその怪力でもって、呂布の戟を弾き飛ばした。
直後に鉞の一本が呂布の首へと襲いかかる。
呂布は戟を回してそれを打ち上げ、さらに反撃へと繋げた。今度は呂布の刃が丁原の首を刈ろうとする。
しかし丁原はもう一本の鉞でそれを受け、同時に馬の腹を蹴った。
馬は主の意を受けて駆け、二人の距離は再び離れた。
しかしそれは次のぶつかり合いのための予備動作でしかない。二人は示し合わせたように同時に振り返り、また死線に向かって突き進んだ。
二匹の化け物を乗せた馬が馳せ違うたび、この時代の最高峰の武技が繰り広げられる。
兵たちはそれを酔うような気持ちで凝視していた。とても目を離せるような代物ではない。
龐舒も二人の美技に見惚れていた。
どう転んでも傷つくことになる師の心を思い、涙を流しながら見惚れていた。
午前中の演習は特に何事もなく、平常通りに終わっている。龐舒はその中で有意義な時間を過ごし、軍というものをよく学んだ。
(なるほど。集団での戦いというのは、個人での戦いとはまるで違うんだな)
そんなことを感じていた。
集団で動くというのはとても難しい。
というか、集団を思った通りに動かすのが難しいのだ。集団にはそれを指揮する頭がいるわけだが、頭の思った通りに動いてくれなどしない。
龐舒は動かす側の呂布のそばに付いていたから、そのことがよく分かった。
(呂布様の指揮する騎馬隊はすごく滑らかなのに、他の人に指揮が変わった途端、ガタガタになるもんな)
まるで固い地面から砂利道か泥道にでも移ったかのようだった。それくらい違う。指揮は複数人に変わったが、誰でもそうなった。
呂布は何をどう感じているのか、さして周囲を見ずとも隊全体の状態が分かっているようだった。現在の陣形、隊列の伸び、馬の状態、兵の体力、そんなことを全て見通したかのような指揮をする。
(こういう所はどれだけ鍛錬を積んでも追いつけないんだろうな)
努力ではどうにもならない天才の領域がある。
龐舒はそういう永遠の敗北を知りながらも、悔しさや羨ましさは感じなかった。
それほど自分の師は偉大なのだ。それはむしろ、誇らしいことだった。
(午後からも頑張ろう)
気合を入れ直しながら、偉大で誇らしい師の背中を眺める。
今のところ鍛錬の成果もあり、騎馬隊の動きにはついていけていた。呂布もいつぞやのように不満を言ってくることはない。
それでも真面目な龐舒はさらに良くやろうと、改善すべき点を頭の中に並べた。
が、その対応策を考える前に、その思考を止めることになった。
視界の中の師の背中から、ゆらりとした煙のようなものが立ち昇ったように見えたからだ。
(……何だ?)
龐舒にはその正体は分からなかったが、何やらただ事ではないような感覚を覚えた。
その揺らめくものと共に、師の背中が大きさを増したように思えたからだ。
「龐舒、よく見ておけ」
呂布は肩越しに朝と同じ言葉を口にしてから、一人馬を進めて軍の前面へ出て行った。
そこには午後の演習開始前に、兵たちへ演説をしようとしていた丁原がいた。
ひときわ体格の良い馬にまたがり、皆の視線を受けている。
その正面へ進み出た呂布は、静かな声を発した。
「一騎打ちを、所望します」
この台詞は、普通に聞けば『演習前に兵たちへ一騎打ちの模擬戦を見せたい』という意味に取れるだろう。実際、幾人かの鈍感な兵たちはそう思った。
しかし丁原を含め、一部の優秀な兵たちは別の意味として受け取った。なぜなら呂布の全身から、毛が逆立つほどの殺気があふれていたからだ。
それを正面から浴びて、丁原の片眉がピクリと上がった。
そして呂布の頭から爪先まで視線を流し、笑った。
「董卓か」
その確認に、呂布は一切の反応を見せなかった。
ただじっと、丁原の目を見つめている。
丁原もしばらくの間それを見返した。そして、やはり笑った。
「……いいだろう。どうなるにせよ、これからの世が分かりやすくなる事だけは確かだ」
それから丁原は兵たちの方を向いた。
「儂は今から、この呂布と一騎打ちを行う!演習ではない!本気の殺し合いだ!」
その言葉に、兵たちの間からざわめきが起こった。
その中にいた龐舒の心もざわめいた。
いや、ざわめいたどころではない。まるで心に嵐が吹き荒れたかのように、様々な思考と感情が千切れ飛んだ。
(え……殺し合いって……呂布様と、丁原様が?)
聞き間違いであってほしいと思う一方、自分でもこれからそれが起こるのだということをよく理解していた。
なぜなら先ほど師の背中から立ち昇ったものは、そういうものだと感じたからだ。
丁原は朗々と兵たちへ言葉を続けた。
「呂布は董卓の意を受けて儂に挑んできている!もし儂が負けたなら、呂布と共に全軍を上げて董卓に従え!それでこの一連の権力闘争には終止符が打たれる!国にとって、悪いことではなかろう!」
丁原の軍が董卓の下につくなら、董卓はこの洛陽で唯一軍事力を持つ者となる。
董卓の世が来るのだ。
「しかしもし儂が勝ったなら、当然董卓に落とし前をつけさせる!このまま奴の所へ攻め込み、その首を上げるぞ!」
そうなれば、今度は丁原が軍事力を手中に収めることになる。天下の覇権はこの一戦によって行方が決められるのだ。
が、龐舒にとっては天下の覇権よりも、目の前で大切な人たちが殺し合いをすることの方がよほど重大だった。
(呂布様と丁原様が殺し合いって……そんな、止めなきゃ……)
龐舒が一歩踏み出そうとした時、呂布が肩越しにこちらを睨んだ。
その横目の一瞥だけで、龐舒の足はすくんで動かなくなった。その一瞥に、本物の殺気を感じたからだ。
(駄目だ……この二人を止められるだけの力が、僕には無い……)
視線と空気だけでそれがよく分かった。
もし本気で止めに入ったとしたら、師の本気の一撃でいとも簡単に昏倒させられるだけだろう。下手に抵抗などしようものなら、本当に殺されるかもしれない。
「……そ、そうだ!張遼様!あの、張遼様は今どちらに!?」
龐舒はその人を思い出して、近場にいた兵の腕を取って尋ねた。
あの化け物なら、この化け物たちを止められるかもしれない。というか、他に止められる人間などいはしないだろう。
しかし、問われた兵は首を横に振った。
「張遼様は募兵のため、今は河北を回られている。帰って来られるのはもうしばらく先だ」
その言葉に、龐舒は絶望した。
ということは、自分はもう見ていることしかできないのか。
確かに師は自分に『よく見ておけ』と言っていた。
しかし師の言いつけとはいえ、龐舒にとってそれはあまりに辛いことだった。
(だって呂布様は、丁原様のことが好きなのに)
だからもし師が勝ったとしても、師は傷つくことになる。龐舒にはそれが辛かった。
(呂布様……やめてください、呂布様……)
龐舒がそう願い続ける中、呂布と丁原は互いに背を向けた。
馬を進ませていったん距離を取り、振り返る。
呂布は戟を、丁原は二本の鉞を構え、馬を走らせ始めた。
そして二匹の化け物が交わる時、大気が震えた。
武器と武器とがぶつかり合い、この世のものとは思えないような音が鳴り響いた。
「…………っ!!」
その場の全ての兵たちは声も上げられなかった。
目の前で天変地異でも起こったようなものだ。別に自分に害がないことが分かっていたとしても、身をすくませてしまう。
呂布と丁原は馬をすれ違えさせて、再び距離を取った。そして大きく旋回し、また馳せてぶつかる。
数合そんなぶつかり合いを繰り返した後、戟と双鉞との鍔迫り合いになった。互いの巨躯と馬の体重をかけて、刃と刃が押し合う。
その至近距離で、丁原は呂布へと笑いかけた。
「呂布よ、儂は裏切られたとは思っておらんぞ。お前がこういう男であるということは知っていた。儂はこういう飢えた虎のようなお前のことも好きだったのだ」
「…………」
呂布は応えず、ただ戟を押した。
しかし、丁原は構わない。むしろそんな呂布の憮然とした顔を、いっそう好ましいと思った。
「楽しいなぁ、呂布よ。儂は若い頃から戦に明け暮れてきたが、心から満足できるほどの相手にはついぞ出会わなんだ。しかし今、儂は満足している。最高の戦いだ。儂はお前に、感謝しているぞ!!」
丁原はその怪力でもって、呂布の戟を弾き飛ばした。
直後に鉞の一本が呂布の首へと襲いかかる。
呂布は戟を回してそれを打ち上げ、さらに反撃へと繋げた。今度は呂布の刃が丁原の首を刈ろうとする。
しかし丁原はもう一本の鉞でそれを受け、同時に馬の腹を蹴った。
馬は主の意を受けて駆け、二人の距離は再び離れた。
しかしそれは次のぶつかり合いのための予備動作でしかない。二人は示し合わせたように同時に振り返り、また死線に向かって突き進んだ。
二匹の化け物を乗せた馬が馳せ違うたび、この時代の最高峰の武技が繰り広げられる。
兵たちはそれを酔うような気持ちで凝視していた。とても目を離せるような代物ではない。
龐舒も二人の美技に見惚れていた。
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