145 / 391
益州
兄の思惑
しおりを挟む
「え?……断ったって、太守への就任をですか?」
陳祗は確認するようにそう尋ねてきたが、許靖としてはそれ以外に取りようのない文脈で話したつもりだった。
陳祗も本当は理解しているはずだ。
しかし、理解できるということと受け入れられるということは違う。そして、受け入れられなければ人の脳は理解することを拒否してしまう。
許靖は今一度伝えた。
「そうだ。せっかく陳祗と兄上が迎えに来てくれたのに申し訳ないが、太守就任の件は断らせてもらった。私にとって、家族と平和に暮らすことが何よりも優先順位が高い。交州での暮らしを続けるよ」
ここまではっきりと言われてしまえば、受け入れたくない現実でも理解する他はない。
陳祗は道の真ん中で立ち止まり、呆然とした。
劉璋との面会を終え、陳祗の家へ行く途中だ。もう家へ行くだけなのでそろそろ伝えてもよかろうと思い、許靖は陳祗へ太守への就任拒否を打ち明けた。
許靖たちは益州全体の治所である成都に着くなり、すぐに劉璋の所へと案内されていた。
本来ならまずは陳祗の家へ行って旅塵を落とし、衣服を整えてから訪問するつもりだった。州の刺史に会うのだ。そのくらいは気を遣うのが普通だろうし、陳祗をまずは家族の元へと送り届けるのが優先だと思った。
しかし許靖が断るつもりだということを護衛の兵から一足早く聞いた劉璋は、とにもかくにも早く会いたがった。
それで順番が少しおかしくなったが、ようやく陳祗の家へと向かっているところだった。
「で、でも……益州は中央の覇権争いとは隔絶されています。交州にいるよりも安全だと思います」
陳祗は何とか許靖を説得しようとしたが、劉璋にはすでに断ってしまっている。子供から何か言われた程度で今更それを撤回などできない。
それでもすがる様な陳祗の様子を見て、許靖は申し訳なく思った。
「益州が安全か、交州が安全かは私も議論の余地があると思う。しかし少なくとも太守になれば、自由な避難すらままならなくなる。本当にすまないが、やはり太守はできない」
「そんな……それでは皆、飢えてしまいます……」
陳祗は絶望的な顔でそうつぶやいた。
許靖はその『飢える』という言葉にぎょっとした。
(巴郡では民が飢えるような状況にあるということか?ここまで益州を旅して来たが、そこまでひどい状況の土地はなかったが……それに劉璋様もそんなことは一言もおっしゃっていなかった)
しかも、益州は基本的に土壌の豊かな地域だ。作物の成りも良い。
ただ、そういえば趙韙の反乱が起きた時に巴郡の辺りまで攻め込んだと言っていた。その影響かもしれない。
「そ、それほどひどい状況なのか?それは数年前の反乱のせいで?」
「はい、それも原因の一つです。とにかくもう大変で……大叔父様が太守になってくださらないと、餓え死にするか身売りするかしかない者がたくさん出ます……」
「……」
許靖は絶句した。
まさか自分の太守就任拒否が、そこまで民へ深刻な被害を産み出すとは思わなかった。
「いや……そんな大変な状況なら私が太守になった所でそう変わらないだろう。別に私でないといけない理由など……」
「だめです!!大叔父様が太守になってくださらないと、だめなんです!!」
陳祗は泣きそうな顔で叫んだ。
その声の大きさに、許靖だけでなく花琳、依依、明明も身をすくめた。明明が母親の依依へしがみつく。
花琳が陳祗を落ち着かせようと、その肩に手を置いた。
「陳祗君、とりあえずあなたのお家に行きましょう。それから落ち着いてゆっくりと話せばいいわ」
半ば花琳に押されるようにして陳祗は歩き始めた。うつむいたまま、少しずつ足を動かす。
祖父を失った上に行き倒れになるような旅をして、早く家に帰りたかろうに、歩みの速度は牛のように遅かった。
むしろ家に帰りたくないようにすら見える。
あまりに打ちのめされているように見えたので、許靖も花琳もそれ以上は声をかけられなかった。とりあえず家に帰してやり、安心させてやることが第一だと思った。
しばらく歩くと、陳祗が無言で一軒の屋敷を指さした。あれが自分の家、ということだろう。
大きな屋敷だが、屋根や塀、壁などがあちこち壊れている。本来なら豪壮な家だろうに、手入れがされてないことでお世辞にも裕福そうな印象は持てなかった。
すぐそばまで来ると、ちょうど一人の女性が門から出てくるところだった。
その女性は陳祗を見るなり目を丸くし、駆け寄って抱きしめた。
「おかえりなさい……よく無事で帰ってきてくれたわね」
「ただいま戻りました、母上」
陳祗は母の胸に顔を埋めて、その匂いを思いきり嗅いだ。世界で一番安心できる匂いだと思った。
「お祖父様のことは、申し訳ありませんでした。私がもっとしっかりしていたら……」
陳祗の祖父、許胤が旅の途上で亡くなったことは一足先に手紙で伝えている。家族はすでに知っているはずだった。
「何言ってるのよ、この子は……あなたが悪いわけじゃないでしょう。そもそもあなたみたいな齢の子が、そんな責任を感じるものじゃないわ」
母はそう笑ったが、意外なほどの息子の成長に驚きと感動を覚えていた。
もともと年齢よりもしっかりした子ではあったが、少年が今はまるで一人の男になったようにも思える。旅とは、ここまで人を成長させるものなのか。
そう感動しながら陳祗の髪を撫でた。
「それにね、お父様のことは家族みんなでもうたくさん泣いたから、心の整理はできているわよ。本当に好きに生きた人生だったし、お父様自身きっと悔いもないでしょう……」
母は優しく言葉をかけたが、その語尾をかき消すように屋敷の方から叫ぶような声が上がった。
「え!?なに!?陳祗帰ってきたの!?おーい皆!!陳祗が帰ってきたよー!!」
その呼びかけに、屋敷のあちこちからバタバタと駆け回るような音が聞こえてきた。まるで建物自体が動き出したような錯覚すら覚える。
その物音が次々に門の方へと集まってきた。
まず数人の女が出てきて、陳祗の母親を押しのけた。そして陳祗を取り合うようにして抱きしめる。
陳祗は女たちに揉みくちゃにされた。
「おかえりなさい!元気だった?」
「途中から一人だったんですって?心配したわよ!」
「でも何だか男らしい顔つきになったような気がするわね。背もちょっと伸びたんじゃない?」
「そんなにすぐには伸びないでしょう」
「でも何だか男っぽくはなってるわよ。特に匂いとか」
「そりゃ旅から帰ってきたばかりなんだから、汗くさくもなるわよ。とりあえず湯を浴びてきなさいな」
「あ、じゃあお姉さんが背中を流してあげるわ」
「ずるい!私が流すわよ!」
「いやいや、私が……」
やかましく騒いでいるうちに、女たちはどんどん増えていく。数人が十数人になり、そのうち二十人を超えた。
「しぃにーちゃーん!!」
ひときわ高い子供の声が響き、皆がそちらを振り向いた。見ると、五、六歳ぐらいの少女が口に手を添えて叫んでいた。その周りにも陳祗より小さな少女たちが何人か立っている。
女たちは子供たちのために道をあけた。そうしなければ、押し潰されるのを恐れた子供たちが陳祗の所へたどり着けないと分かったからだ。
あわや圧死しそうになっていた陳祗はようやく開放された。
が、次は少女たちの容赦ない体当たりを食らわされることとなる。
「ぐふぅっ」
駆け寄って来た一人目の頭が見事にみぞおちに決まり、陳祗は文字にするのが難しいような音を口から漏らした。
だが少女たちはそんなことお構いなしに次々と陳祗へとぶつかっていった。皆、よほど嬉しかったらしい。
許靖と花琳、依依はあまりの人数の女たちに唖然とし、明明はムッとした表情でそれを睨んでいた。
そんな喧騒の中、女たちの中でもっとも齢かさの一人が許靖たちの方へと歩いて来た。
他の女たちは陳祗にまとわりついて許靖たちに気付きもしないようだったが、この女だけは現れてからすぐに許靖たちを認めていた。
許靖もその人物には覚えがある。もうずいぶんと長いこと会っていなかったので当然老けてはいるが、その活き活きした瞳は今も変わらない。
兄が一番初めに結婚した女性だ。
「ご無沙汰しています、朱亞さん」
陳祗は確認するようにそう尋ねてきたが、許靖としてはそれ以外に取りようのない文脈で話したつもりだった。
陳祗も本当は理解しているはずだ。
しかし、理解できるということと受け入れられるということは違う。そして、受け入れられなければ人の脳は理解することを拒否してしまう。
許靖は今一度伝えた。
「そうだ。せっかく陳祗と兄上が迎えに来てくれたのに申し訳ないが、太守就任の件は断らせてもらった。私にとって、家族と平和に暮らすことが何よりも優先順位が高い。交州での暮らしを続けるよ」
ここまではっきりと言われてしまえば、受け入れたくない現実でも理解する他はない。
陳祗は道の真ん中で立ち止まり、呆然とした。
劉璋との面会を終え、陳祗の家へ行く途中だ。もう家へ行くだけなのでそろそろ伝えてもよかろうと思い、許靖は陳祗へ太守への就任拒否を打ち明けた。
許靖たちは益州全体の治所である成都に着くなり、すぐに劉璋の所へと案内されていた。
本来ならまずは陳祗の家へ行って旅塵を落とし、衣服を整えてから訪問するつもりだった。州の刺史に会うのだ。そのくらいは気を遣うのが普通だろうし、陳祗をまずは家族の元へと送り届けるのが優先だと思った。
しかし許靖が断るつもりだということを護衛の兵から一足早く聞いた劉璋は、とにもかくにも早く会いたがった。
それで順番が少しおかしくなったが、ようやく陳祗の家へと向かっているところだった。
「で、でも……益州は中央の覇権争いとは隔絶されています。交州にいるよりも安全だと思います」
陳祗は何とか許靖を説得しようとしたが、劉璋にはすでに断ってしまっている。子供から何か言われた程度で今更それを撤回などできない。
それでもすがる様な陳祗の様子を見て、許靖は申し訳なく思った。
「益州が安全か、交州が安全かは私も議論の余地があると思う。しかし少なくとも太守になれば、自由な避難すらままならなくなる。本当にすまないが、やはり太守はできない」
「そんな……それでは皆、飢えてしまいます……」
陳祗は絶望的な顔でそうつぶやいた。
許靖はその『飢える』という言葉にぎょっとした。
(巴郡では民が飢えるような状況にあるということか?ここまで益州を旅して来たが、そこまでひどい状況の土地はなかったが……それに劉璋様もそんなことは一言もおっしゃっていなかった)
しかも、益州は基本的に土壌の豊かな地域だ。作物の成りも良い。
ただ、そういえば趙韙の反乱が起きた時に巴郡の辺りまで攻め込んだと言っていた。その影響かもしれない。
「そ、それほどひどい状況なのか?それは数年前の反乱のせいで?」
「はい、それも原因の一つです。とにかくもう大変で……大叔父様が太守になってくださらないと、餓え死にするか身売りするかしかない者がたくさん出ます……」
「……」
許靖は絶句した。
まさか自分の太守就任拒否が、そこまで民へ深刻な被害を産み出すとは思わなかった。
「いや……そんな大変な状況なら私が太守になった所でそう変わらないだろう。別に私でないといけない理由など……」
「だめです!!大叔父様が太守になってくださらないと、だめなんです!!」
陳祗は泣きそうな顔で叫んだ。
その声の大きさに、許靖だけでなく花琳、依依、明明も身をすくめた。明明が母親の依依へしがみつく。
花琳が陳祗を落ち着かせようと、その肩に手を置いた。
「陳祗君、とりあえずあなたのお家に行きましょう。それから落ち着いてゆっくりと話せばいいわ」
半ば花琳に押されるようにして陳祗は歩き始めた。うつむいたまま、少しずつ足を動かす。
祖父を失った上に行き倒れになるような旅をして、早く家に帰りたかろうに、歩みの速度は牛のように遅かった。
むしろ家に帰りたくないようにすら見える。
あまりに打ちのめされているように見えたので、許靖も花琳もそれ以上は声をかけられなかった。とりあえず家に帰してやり、安心させてやることが第一だと思った。
しばらく歩くと、陳祗が無言で一軒の屋敷を指さした。あれが自分の家、ということだろう。
大きな屋敷だが、屋根や塀、壁などがあちこち壊れている。本来なら豪壮な家だろうに、手入れがされてないことでお世辞にも裕福そうな印象は持てなかった。
すぐそばまで来ると、ちょうど一人の女性が門から出てくるところだった。
その女性は陳祗を見るなり目を丸くし、駆け寄って抱きしめた。
「おかえりなさい……よく無事で帰ってきてくれたわね」
「ただいま戻りました、母上」
陳祗は母の胸に顔を埋めて、その匂いを思いきり嗅いだ。世界で一番安心できる匂いだと思った。
「お祖父様のことは、申し訳ありませんでした。私がもっとしっかりしていたら……」
陳祗の祖父、許胤が旅の途上で亡くなったことは一足先に手紙で伝えている。家族はすでに知っているはずだった。
「何言ってるのよ、この子は……あなたが悪いわけじゃないでしょう。そもそもあなたみたいな齢の子が、そんな責任を感じるものじゃないわ」
母はそう笑ったが、意外なほどの息子の成長に驚きと感動を覚えていた。
もともと年齢よりもしっかりした子ではあったが、少年が今はまるで一人の男になったようにも思える。旅とは、ここまで人を成長させるものなのか。
そう感動しながら陳祗の髪を撫でた。
「それにね、お父様のことは家族みんなでもうたくさん泣いたから、心の整理はできているわよ。本当に好きに生きた人生だったし、お父様自身きっと悔いもないでしょう……」
母は優しく言葉をかけたが、その語尾をかき消すように屋敷の方から叫ぶような声が上がった。
「え!?なに!?陳祗帰ってきたの!?おーい皆!!陳祗が帰ってきたよー!!」
その呼びかけに、屋敷のあちこちからバタバタと駆け回るような音が聞こえてきた。まるで建物自体が動き出したような錯覚すら覚える。
その物音が次々に門の方へと集まってきた。
まず数人の女が出てきて、陳祗の母親を押しのけた。そして陳祗を取り合うようにして抱きしめる。
陳祗は女たちに揉みくちゃにされた。
「おかえりなさい!元気だった?」
「途中から一人だったんですって?心配したわよ!」
「でも何だか男らしい顔つきになったような気がするわね。背もちょっと伸びたんじゃない?」
「そんなにすぐには伸びないでしょう」
「でも何だか男っぽくはなってるわよ。特に匂いとか」
「そりゃ旅から帰ってきたばかりなんだから、汗くさくもなるわよ。とりあえず湯を浴びてきなさいな」
「あ、じゃあお姉さんが背中を流してあげるわ」
「ずるい!私が流すわよ!」
「いやいや、私が……」
やかましく騒いでいるうちに、女たちはどんどん増えていく。数人が十数人になり、そのうち二十人を超えた。
「しぃにーちゃーん!!」
ひときわ高い子供の声が響き、皆がそちらを振り向いた。見ると、五、六歳ぐらいの少女が口に手を添えて叫んでいた。その周りにも陳祗より小さな少女たちが何人か立っている。
女たちは子供たちのために道をあけた。そうしなければ、押し潰されるのを恐れた子供たちが陳祗の所へたどり着けないと分かったからだ。
あわや圧死しそうになっていた陳祗はようやく開放された。
が、次は少女たちの容赦ない体当たりを食らわされることとなる。
「ぐふぅっ」
駆け寄って来た一人目の頭が見事にみぞおちに決まり、陳祗は文字にするのが難しいような音を口から漏らした。
だが少女たちはそんなことお構いなしに次々と陳祗へとぶつかっていった。皆、よほど嬉しかったらしい。
許靖と花琳、依依はあまりの人数の女たちに唖然とし、明明はムッとした表情でそれを睨んでいた。
そんな喧騒の中、女たちの中でもっとも齢かさの一人が許靖たちの方へと歩いて来た。
他の女たちは陳祗にまとわりついて許靖たちに気付きもしないようだったが、この女だけは現れてからすぐに許靖たちを認めていた。
許靖もその人物には覚えがある。もうずいぶんと長いこと会っていなかったので当然老けてはいるが、その活き活きした瞳は今も変わらない。
兄が一番初めに結婚した女性だ。
「ご無沙汰しています、朱亞さん」
0
お気に入りに追加
45
あなたにおすすめの小説
櫻雨-ゆすらあめ-
弓束しげる
歴史・時代
新選組隊士・斎藤一の生涯を、自分なりにもぐもぐ咀嚼して書きたかったお話。
※史実を基にしたフィクションです。実在の人物、団体、事件とは関わりありません。
※敢えて時代考証を無視しているところが多数あります。
※歴史小説、ではなく、オリジナルキャラを交えた歴史キャラ文芸小説です。
筆者の商業デビュー前に自サイトで連載していた同人作です。
色々思うところはありますが、今読み返しても普通に自分が好きだな、と思ったのでちまちま移行・連載していきます。
現在は1週間ごとくらいで更新していけたらと思っています(毎週土曜18:50更新)
めちゃくちゃ長い大河小説です。
※カクヨム・小説家になろうでも連載しています。
▼参考文献(敬称略/順不同)
『新選組展2022 図録』京都府京都文化博物館・福島県立博物館
『新撰組顛末記』著・永倉新八(新人物往来社)
『新人物往来社編 新選組史料集コンパクト版』(新人物往来社)
『定本 新撰組史録』著・平尾道雄(新人物往来社)
『新選組流山顛末記』著・松下英治(新人物往来社)
『新選組戦場日記 永倉新八「浪士文久報国記事」を読む』著・木村幸比古(PHP研究所)
『新選組日記 永倉新八日記・島田魁日記を読む』著・木村幸比古(PHP研究所)
『新選組全史 天誅VS.志士狩りの幕末』著・木村幸比古(講談社)
『会津戦争全史』著・星亮一(講談社)
『会津落城 戊辰戦争最大の悲劇』著・星亮一(中央公論新社)
『新選組全隊士徹底ガイド』著・前田政記(河出書房新社)
『新選組 敗者の歴史はどう歪められたのか』著・大野敏明(実業之日本社)
『孝明天皇と「一会桑」』著・家近良樹(文藝春秋)
『新訂 会津歴史年表』会津史学会
『幕末維新新選組』新選社
『週刊 真説歴史の道 2010年12/7号 土方歳三 蝦夷共和国への道』小学館
『週刊 真説歴史の道 2010年12/14号 松平容保 会津戦争と下北移封』小学館
『新選組組長 斎藤一』著・菊地明(PHP研究所)
『新選組副長助勤 斎藤一』著・赤間倭子(学習研究社)
『燃えよ剣』著・司馬遼太郎(新潮社)
『壬生義士伝』著・浅田次郎(文藝春秋)
独り剣客 山辺久弥 おやこ見習い帖
笹目いく子
歴史・時代
旧題:調べ、かき鳴らせ
第8回歴史·時代小説大賞、大賞受賞作品。本所松坂町の三味線師匠である岡安久弥は、三味線名手として名を馳せる一方で、一刀流の使い手でもある謎めいた浪人だった。
文政の己丑火事の最中、とある大名家の内紛の助太刀を頼まれた久弥は、神田で焼け出された少年を拾う。
出自に秘密を抱え、孤独に生きてきた久弥は、青馬と名付けた少年を育てはじめ、やがて彼に天賦の三味線の才能があることに気付く。
青馬に三味線を教え、密かに思いを寄せる柳橋芸者の真澄や、友人の医師橋倉らと青馬の成長を見守りながら、久弥は幸福な日々を過ごすのだが……
ある日その平穏な生活は暗転する。生家に政変が生じ、久弥は青馬や真澄から引き離され、後嗣争いの渦へと巻き込まれていく。彼は愛する人々の元へ戻れるのだろうか?(性描写はありませんが、暴力場面あり)
法隆寺燃ゆ
hiro75
歴史・時代
奴婢として、一生平凡に暮らしていくのだと思っていた………………上宮王家の奴婢として生まれた弟成だったが、時代がそれを許さなかった。上宮王家の滅亡、乙巳の変、白村江の戦………………推古天皇、山背大兄皇子、蘇我入鹿、中臣鎌足、中大兄皇子、大海人皇子、皇極天皇、孝徳天皇、有間皇子………………為政者たちの権力争いに巻き込まれていくのだが………………
正史の裏に隠れた奴婢たちの悲哀、そして権力者たちの愛憎劇、飛鳥を舞台にした大河小説がいまはじまる!!
【完結】絵師の嫁取り
かずえ
歴史・時代
長屋シリーズ二作目。
第八回歴史・時代小説大賞で奨励賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。
小鉢料理の店の看板娘、おふくは、背は低めで少しふくふくとした体格の十六歳。元気で明るい人気者。
ある日、昼も夜もご飯を食べに来ていた常連の客が、三日も姿を見せないことを心配して住んでいると聞いた長屋に様子を見に行ってみれば……?
日本国を支配しようとした者の末路
kudamonokozou
歴史・時代
平治の乱で捕まった源頼朝は不思議なことに命を助けられ、伊豆の流人として34歳まで悠々自適に暮らす。
その後、数百騎で挙兵して初戦を大敗した頼朝だが、上総広常の2万人の大軍を得て関東に勢力を得る。
その後は、反平家の御家人たちが続々と頼朝の下に集まり、源範頼と源義経の働きにより平家は滅亡する。
自らは戦わず日本の支配者となった頼朝は、奥州の金を手中に納めようとする。
頼朝は奥州に戦を仕掛け、黄金の都市と呼ばれた平泉を奥州藤原氏もろとも滅ぼしてしまう。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる