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会稽郡
折衝
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「ぐえっ」
情けない声を上げて吹き飛ばされた謝倹は後ろ向きに倒れた。頬を押さえて、信じられないものを見たような顔をした。
「お……親父?」
その言葉が終わらないうちに、次の鉄拳が繰り出される。そうして数発、いや十数発の鉄拳が次々と謝倹の身体に沈んだ。
謝倹の仲間たちは戸惑った。殴っているのが軍の兵なら当然立ち向かうが、やっているのは謝倹の父親であり、当主でもある謝煚なのだ。どうしたらいいか分からず、あたふたするしかなかった。
しかし、その鉄拳も十数発から数十発になるとさすがに謝倹の命が危ぶまれ、止めに入ることにした。
「お、おやめください謝煚様!」
数人がかりで押さえられた謝煚はようやくその拳を止めた。
「……お、親父!?何するんだよ!」
謝倹はかなりの衝撃を受けていた。
拳の痛みにではない。これまで自分にとことん甘く、一度も手を上げられたことのなかった父親から、突然しこたま殴られたのだ。
体の痛みよりも、心の方がよほど堪えた。
謝煚は息子の言葉に目を吊り上げて応じた。
「何をする、だと?お前こそ何をしとるんだ……この大馬鹿者が!」
そう怒鳴ってさらに殴りかかろうとする謝煚を、周囲がまた慌てて止める。
「謝煚様、おやめください!本当に死んでしまいます!」
「こんな馬鹿息子、死んだほうがマシだ!その方がよほど世のためになる!」
謝倹は初めて向けられた父親の怒りに、子供のように小さくなっていく己の心を感じた。反抗できる気がしない。
しかし自分にも矜持というものがあるし、周りには自分を立ててくれる仲間もいる。情けない姿ばかりを見せられはしない。
勇気を振り絞って言い返した。
「た、太守になって世のためになろうとしてんじゃねぇか!なぜいけない!?」
「……お前、本当に太守をやれると思っているのか?」
謝倹は父親の質問の意味が分からなかった。
「だから、親父が許可してくれりゃなれるんだろうが」
謝煚はため息をついた。息子は何も分かっていない。
「なった後に、お前に太守の仕事が勤まると思っているのかと聞いているんだ」
「そりゃあ……やりゃ出来るさ、きっと」
「では聞くが、お前は太守になって何をやりたい?太守として、この会稽郡をどのようにしたいと思う?」
父親の質問に、謝倹は即答できなかった。
謝倹の思う理想の会稽郡が無いわけではない。しかし、それを深く考えてきたわけではないからすぐに言葉に出せなかったのだ。
そういった息子の浅はかさを父親はよく理解していた。
「いいか、倹。政治家、行政官というものは、ただ人の上に立って業務をこなしていればいいというものではない。世がこうあるべきだ、このような世の中であれば人々は幸せなはずだと、それを常に考えながら仕事に向き合わなければならない。でなければ、目先の問題解決に追われて世の中を良くすることなどできないのだ。そういうものを『理念』と言う。お前のように理念なき者には、郡の未来など任せられん」
「お、俺にだってそのぐらい……」
「理念があると言うか。だが、深く考えていないからすぐに言葉にはできん。そういった浅い段階のものは『理念』とは呼ばない。何となくこうだったら良いのにと思うだけの、ただの望みだ」
謝倹は謝煚の説教に二の句が告げなかった。
父の言う通りだ。自分は確かに浅はかな男だろう。太守には向いていないのかもしれない。
だが事ここに来て、今さら引き返すわけにはいかない。もはや取り返しのつかない動き方をしてしまったのだ。
「……親父の言うことは分かった。その通りだと思う。だが、もうどうしようもない所まで来ちまったんだ。何とか協力してくれねえか?」
情けないが、拝むようにして頼み込んだ。
謝煚はまた一つため息をついてから答えた。
「儂が協力しようがしまいが、関係ない。お前が太守になれる目はない」
「な、なんでだよ?」
「ドラ息子で評判なお前が、人望の厚い王朗様より票を取ることなどあり得ないからだ」
謝倹は言葉に詰まった。しかし、なんとか反論を試みた。
「……そ、そこは親父が声を掛けてくれたら」
「もし儂からの声掛けが効果あるとしても、会稽郡で力があるのは儂だけではない。斯氏など他にも豪族と呼ばれる氏族がいるだろう。そういった者たちは謝氏だけが力を持とうとすれば、当然反対票を入れてくる」
謝倹はそれは考えていなかった。父の声望ばかりを期待していたが、確かに謝煚の言う通りだろう。
「よしんば太守になれたとしても、事あるごとに邪魔をされてまともな行政なぞできなくなるぞ。下手をすれば内乱だ」
謝倹はもう父親の言葉を聞くのが嫌になってきた。しかし謝煚はとどめの一言を加えた。
「分かるか?お前がそういった周囲との調整なしに動いてしまった時点で、すでに詰んでおるのだ」
謝倹は力なくうなだれて、地面を見た。そしてもう一生顔を上げたくないと思った。
謝煚はそんな息子の様子を見て、怒りが憐れみへと変わるのを感じた。しかし、今はそれをぐっと堪えなければならない時だと分かっている。
二人の様子に話がついたと思ったのか、王朗が近づいてきた。
「では、三つ目の条件は満たさなかったということで良いかな?」
当然、そういうことになるだろう。
この作戦の発案は許靖だった。謝煚の瞳の奥の「天地」を思い出し、この方法なら戦なしに解決すると思ったのだ。
謝煚の瞳の奥の「天地」では、人々が汗を流して漁労に従事していた。釣り竿を持った人間もいれば、網を投げている人間もいる。漁具の手入れをしている人間もいた。皆が真面目に仕事をしている「天地」だ。
そこから謝煚の誠実な人柄が知れた。また獲れた魚はあまり大きくはなく、数もほどほどだ。謝煚の欲の薄さを表していた。
申し訳ないが、そういった人柄を利用して謝倹を罠にはめることを考えた。真面目な父は、おそらく息子の凶行には加担しないだろうと踏んだのだ。
謝煚は王朗に向かい、地面に手をついて頭を下げた。
「王朗様、息子が大変ご迷惑をおかけいたしました。どうか、どうか……」
謝倹は力を失った瞳で父を眺めていた。
最悪だった。自分の考えなしの行動が、尊敬する父にこんなことをさせている。父は今から息子の命乞いをするのだろう。
(やめてくれ……俺はもう死にたいぐらいだ)
そう思った。
しかし、続く父の言葉は謝倹が予想していたものとは違っていた。
「どうか……息子はどうなろうとも構いませんから、その仲間たちにはご慈悲を賜りください」
謝倹は目を見開いた。父は息子の命を犠牲にして、その仲間たちを助けてくれと言っているのだ。
謝煚は頭を下げたまま言葉を続けた。
「息子はこの通りどうしようもない馬鹿者ですが、仲間思いという点では他の誰よりも良い男です。それだけが取り柄なのです。その息子が、自分の馬鹿のせいで仲間たちの首など飛ぶことになどなれば、死ぬよりも辛い思いをしてしまいます。息子の首が飛ぶのはもはや仕方ありませんが、どうか他の者たちだけは……」
父は涙を流していた。
知らず知らずのうちに、謝倹の目からも涙が溢れていた。
父がここまで自分のことを分かってくれているとは思わなかった。父がここまで本当の意味で自分のために行動してくれるとは思わなかった。
(俺は、大馬鹿者だ)
謝倹は父親と同じ姿勢をとって、王朗へ頭を下げた。
「父の言う通りです。俺の命はどうなっても構いません。どんな残酷な処刑でも受け入れます。だから、仲間たちだけは助けてやってください」
その場にいた謝倹の仲間たちは皆、涙を流した。この人をきちんと支えられなかった自分たちを、恥ずかしいと思った。
情けない声を上げて吹き飛ばされた謝倹は後ろ向きに倒れた。頬を押さえて、信じられないものを見たような顔をした。
「お……親父?」
その言葉が終わらないうちに、次の鉄拳が繰り出される。そうして数発、いや十数発の鉄拳が次々と謝倹の身体に沈んだ。
謝倹の仲間たちは戸惑った。殴っているのが軍の兵なら当然立ち向かうが、やっているのは謝倹の父親であり、当主でもある謝煚なのだ。どうしたらいいか分からず、あたふたするしかなかった。
しかし、その鉄拳も十数発から数十発になるとさすがに謝倹の命が危ぶまれ、止めに入ることにした。
「お、おやめください謝煚様!」
数人がかりで押さえられた謝煚はようやくその拳を止めた。
「……お、親父!?何するんだよ!」
謝倹はかなりの衝撃を受けていた。
拳の痛みにではない。これまで自分にとことん甘く、一度も手を上げられたことのなかった父親から、突然しこたま殴られたのだ。
体の痛みよりも、心の方がよほど堪えた。
謝煚は息子の言葉に目を吊り上げて応じた。
「何をする、だと?お前こそ何をしとるんだ……この大馬鹿者が!」
そう怒鳴ってさらに殴りかかろうとする謝煚を、周囲がまた慌てて止める。
「謝煚様、おやめください!本当に死んでしまいます!」
「こんな馬鹿息子、死んだほうがマシだ!その方がよほど世のためになる!」
謝倹は初めて向けられた父親の怒りに、子供のように小さくなっていく己の心を感じた。反抗できる気がしない。
しかし自分にも矜持というものがあるし、周りには自分を立ててくれる仲間もいる。情けない姿ばかりを見せられはしない。
勇気を振り絞って言い返した。
「た、太守になって世のためになろうとしてんじゃねぇか!なぜいけない!?」
「……お前、本当に太守をやれると思っているのか?」
謝倹は父親の質問の意味が分からなかった。
「だから、親父が許可してくれりゃなれるんだろうが」
謝煚はため息をついた。息子は何も分かっていない。
「なった後に、お前に太守の仕事が勤まると思っているのかと聞いているんだ」
「そりゃあ……やりゃ出来るさ、きっと」
「では聞くが、お前は太守になって何をやりたい?太守として、この会稽郡をどのようにしたいと思う?」
父親の質問に、謝倹は即答できなかった。
謝倹の思う理想の会稽郡が無いわけではない。しかし、それを深く考えてきたわけではないからすぐに言葉に出せなかったのだ。
そういった息子の浅はかさを父親はよく理解していた。
「いいか、倹。政治家、行政官というものは、ただ人の上に立って業務をこなしていればいいというものではない。世がこうあるべきだ、このような世の中であれば人々は幸せなはずだと、それを常に考えながら仕事に向き合わなければならない。でなければ、目先の問題解決に追われて世の中を良くすることなどできないのだ。そういうものを『理念』と言う。お前のように理念なき者には、郡の未来など任せられん」
「お、俺にだってそのぐらい……」
「理念があると言うか。だが、深く考えていないからすぐに言葉にはできん。そういった浅い段階のものは『理念』とは呼ばない。何となくこうだったら良いのにと思うだけの、ただの望みだ」
謝倹は謝煚の説教に二の句が告げなかった。
父の言う通りだ。自分は確かに浅はかな男だろう。太守には向いていないのかもしれない。
だが事ここに来て、今さら引き返すわけにはいかない。もはや取り返しのつかない動き方をしてしまったのだ。
「……親父の言うことは分かった。その通りだと思う。だが、もうどうしようもない所まで来ちまったんだ。何とか協力してくれねえか?」
情けないが、拝むようにして頼み込んだ。
謝煚はまた一つため息をついてから答えた。
「儂が協力しようがしまいが、関係ない。お前が太守になれる目はない」
「な、なんでだよ?」
「ドラ息子で評判なお前が、人望の厚い王朗様より票を取ることなどあり得ないからだ」
謝倹は言葉に詰まった。しかし、なんとか反論を試みた。
「……そ、そこは親父が声を掛けてくれたら」
「もし儂からの声掛けが効果あるとしても、会稽郡で力があるのは儂だけではない。斯氏など他にも豪族と呼ばれる氏族がいるだろう。そういった者たちは謝氏だけが力を持とうとすれば、当然反対票を入れてくる」
謝倹はそれは考えていなかった。父の声望ばかりを期待していたが、確かに謝煚の言う通りだろう。
「よしんば太守になれたとしても、事あるごとに邪魔をされてまともな行政なぞできなくなるぞ。下手をすれば内乱だ」
謝倹はもう父親の言葉を聞くのが嫌になってきた。しかし謝煚はとどめの一言を加えた。
「分かるか?お前がそういった周囲との調整なしに動いてしまった時点で、すでに詰んでおるのだ」
謝倹は力なくうなだれて、地面を見た。そしてもう一生顔を上げたくないと思った。
謝煚はそんな息子の様子を見て、怒りが憐れみへと変わるのを感じた。しかし、今はそれをぐっと堪えなければならない時だと分かっている。
二人の様子に話がついたと思ったのか、王朗が近づいてきた。
「では、三つ目の条件は満たさなかったということで良いかな?」
当然、そういうことになるだろう。
この作戦の発案は許靖だった。謝煚の瞳の奥の「天地」を思い出し、この方法なら戦なしに解決すると思ったのだ。
謝煚の瞳の奥の「天地」では、人々が汗を流して漁労に従事していた。釣り竿を持った人間もいれば、網を投げている人間もいる。漁具の手入れをしている人間もいた。皆が真面目に仕事をしている「天地」だ。
そこから謝煚の誠実な人柄が知れた。また獲れた魚はあまり大きくはなく、数もほどほどだ。謝煚の欲の薄さを表していた。
申し訳ないが、そういった人柄を利用して謝倹を罠にはめることを考えた。真面目な父は、おそらく息子の凶行には加担しないだろうと踏んだのだ。
謝煚は王朗に向かい、地面に手をついて頭を下げた。
「王朗様、息子が大変ご迷惑をおかけいたしました。どうか、どうか……」
謝倹は力を失った瞳で父を眺めていた。
最悪だった。自分の考えなしの行動が、尊敬する父にこんなことをさせている。父は今から息子の命乞いをするのだろう。
(やめてくれ……俺はもう死にたいぐらいだ)
そう思った。
しかし、続く父の言葉は謝倹が予想していたものとは違っていた。
「どうか……息子はどうなろうとも構いませんから、その仲間たちにはご慈悲を賜りください」
謝倹は目を見開いた。父は息子の命を犠牲にして、その仲間たちを助けてくれと言っているのだ。
謝煚は頭を下げたまま言葉を続けた。
「息子はこの通りどうしようもない馬鹿者ですが、仲間思いという点では他の誰よりも良い男です。それだけが取り柄なのです。その息子が、自分の馬鹿のせいで仲間たちの首など飛ぶことになどなれば、死ぬよりも辛い思いをしてしまいます。息子の首が飛ぶのはもはや仕方ありませんが、どうか他の者たちだけは……」
父は涙を流していた。
知らず知らずのうちに、謝倹の目からも涙が溢れていた。
父がここまで自分のことを分かってくれているとは思わなかった。父がここまで本当の意味で自分のために行動してくれるとは思わなかった。
(俺は、大馬鹿者だ)
謝倹は父親と同じ姿勢をとって、王朗へ頭を下げた。
「父の言う通りです。俺の命はどうなっても構いません。どんな残酷な処刑でも受け入れます。だから、仲間たちだけは助けてやってください」
その場にいた謝倹の仲間たちは皆、涙を流した。この人をきちんと支えられなかった自分たちを、恥ずかしいと思った。
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