上 下
9 / 176
第二章【強者と弱者】

2-2 緊張

しおりを挟む

……
…………
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 主人の部屋 】

魔剣士「……以上だ。」
魔剣士「それで、俺は白姫の家出に付き合うことになったわけで……」

白姫「…」

宿屋の主人「…」
宿屋の主人「…」
宿屋の主人「お、おい…っ」プルプル

魔剣士(ダメか…!?)

宿屋の主人「ば、馬鹿じゃねぇのかっ!?」
宿屋の主人「ハッハッハッハッ!!そんな理由で、大罪人扱いになったのかっ!?」ハハハハ!!!

魔剣士「へっ…」キョトン
白姫「…」キョトン

宿屋の主人「えっと、白姫様だったか!」
宿屋の主人「その美しい顔、よく見せてくれないか…!」ハハハ!
宿屋の主人「俺みてぇな一般人に、姫様みたいな人とお近づきになる事なんて滅多にねぇしなぁ!!」

白姫「は、はいっ」

宿屋の主人「くくくっ…。」
宿屋の主人「ははっ、姫様って分かったら益々可愛く見えてきたよ」ハハッ!

魔剣士「!」
白姫「か、可愛いだなんて!」
魔剣士「はは…」
白姫「そんな…」テレッ

宿屋の主人「…ははは!」
宿屋の主人「照れちゃって本当に可愛いですなぁ!」
宿屋の主人「ところで、姫様はおいくつなんですかね?」

白姫「今年で16…、今は15ですっ」

魔剣士(…15か)

宿屋の主人「ほぉ~、15か…。」
宿屋の主人「ふはは、確かに世界を見てみたくなるお年頃かもなぁ…!」

魔剣士「…主人、笑いすぎじゃないか」
魔剣士「そんなことより、俺らの宿泊について……」

宿屋の主人「あぁ、すまんすまん…」ハハッ
宿屋の主人「今晩の宿泊についてたが、それはー……」

魔剣士「…」

宿屋の主人「…ノー、だ。宿泊部屋を貸すことはできん」
魔剣士「!」
白姫「ダメなんだ…」シュン
魔剣士「そうか…。さすがに大罪人を置くわけにはいかない…か」
白姫「うぅ……」
 
宿屋の主人「最後まで話を聞け。」
宿屋の主人「確かに、部屋は貸せないと言ったが……」
宿屋の主人「あくまで、宿泊部屋は…な?」

魔剣士「へっ…」

宿屋の主人「今晩は、たまたま24時間の受付日でなぁ…。」
宿屋の主人「今、お前たちがいる"俺の部屋"は空いてるんだが…どうする?」ニヤッ

魔剣士「…それって!」
白姫「もしかしてっ!」

宿屋の主人「さすがに何かあったりして、他の客に迷惑はかけられんからな」
宿屋の主人「あくまでも、一般客室が並ぶ宿泊部屋はダメだってことさ」

魔剣士「じゃあ、ここに泊まっていいのか!?」
宿屋の主人「金貨は2枚。話しを聞いた分で1枚、合計3枚だ。」
魔剣士「は、払うっ!それで今日の休みを得られるなら、安いもんだ!」
…チャリチャリンッ!!
宿屋の主人「…へい、確かに。」チャリンッ
宿屋の主人「風呂はそこのドアで、晩飯はあとで持ってくる。」
宿屋の主人「俺は受付にいるから、何かあったら来い」

魔剣士「…で、でも本当にいいのかよ!?」
宿屋の主人「クク…。宿をしてると色々な客と会ってな、バカな夢も見るモンなんだよ」
魔剣士「あん…?」

宿屋の主人「冒険者も多くて、話を聞くと、俺も若ければなと思うこともある。」
宿屋の主人「そんな思いを描いていた日々の中で…」
宿屋の主人「まさか、お姫様とお近づきになれる日が来るなんて思ってもみなかった。」
宿屋の主人「お姫様を泊めた宿屋の主人、いいじゃねえか!」
宿屋の主人「お前は主人公とすれば、お前を泊めて、俺は"いいヤツ"って思われたいからな!」

魔剣士「はっ?俺が主人公?」

宿屋の主人「俺から見たら、賊だろうがなんだろうが、お姫様を守る立派な剣士サマだよ。」
宿屋の主人「それを主人公って呼べず、どう呼べばいいんだ」ハハハ

魔剣士「俺が…主人公……」

宿屋の主人「ま、そういうワケだ。」
宿屋の主人「あとはゆっくりしてくんな。何かあったら声かけてくれ、それじゃあな」
ガチャッ……バタンッ……!!

魔剣士「…俺が、主人公って」
魔剣士「んなわけあるかよ……。何言ってるんだか、あのオヤジは……」

白姫「ふふっ、面白い人だったね」
魔剣士「全くだ。何が姫様を守る剣士サマだっての」ククク
白姫「…でも、守ってくれるし、そんな感じなんじゃないかなぁ?」
魔剣士「む…」
白姫「えへへっ、頼りにしてるからね魔剣士♪」
…ツンッ
魔剣士「…」

白姫「なんかね、昨日から色々不思議で、色々あって、なんか現実味がなくて…。」
白姫「だけど、現実なんだねーって思うっ。」

魔剣士「…なんだそりゃ」
白姫「…なんだろうね?」
魔剣士「はは……」
白姫「えへへっ…」

魔剣士「くくくっ…。」
魔剣士「……お前さ、眼を見て俺は悪者じゃないって言ったけど」
魔剣士「もしそれがハズれてて、俺が本当に悪者だったらどうするつもりだったんだよ?」

白姫「んっ?」

魔剣士「今頃、酷い目にあってたかもしれねぇのに…。」
魔剣士「俺が言うのもなんだが、あまり好奇心があっても、そうそう行動するもんじゃねぇー……」

白姫「…でも、魔剣士は良い人だよね?」
魔剣士「ぬ…」
白姫「やっぱり、私の見る目があったってことだから♪」
魔剣士「い、いやいや。良い人とかとは違うだろ」
白姫「…違うの?私から見たら、良い人だよ~?」キョトン

魔剣士「そ、それはそれでいいんだけどよ……。」
魔剣士「…そういうことじゃなくてな。」
魔剣士「お前、15っつったか。大事に育てられて、この世がどんなに怖いモノがあるか知らないんだ」
魔剣士「笑顔を振りまくのもいいし、信じる信じないも自由だ。」
魔剣士「だけど、お前を見てると少し心配になる。誰にでも笑顔を振りまくことが正解だとは思わないほうが……」

白姫「…そこを守ってくれるのが魔剣士でしょっ?」
魔剣士「!」
白姫「…ねっ!」
魔剣士「…」
白姫「我がままかなぁ…」
魔剣士「…いや」
白姫「…」ニコー

魔剣士「従者で旅するっつった約束したのは俺だ。」
魔剣士「そうだったな。俺は従者として、お前を守ってやるんだった……。」
魔剣士「……守るさ」

白姫「うむっ!よきにはからえ~っ!」
魔剣士「…」
白姫「へへっ♪」

魔剣士「…」
魔剣士「……はぁ。どうしてそこまで、知り合ったばっかの男に信頼よせられるかねぇ」

白姫「…今は、魔剣士が優しい目をしてるからだよ。今も、優しい目をしてるよ」ジィッ
魔剣士「優しい目…」
白姫「うん」ジー
魔剣士「…」
白姫「…」ニコニコ

魔剣士(お前にとっては夢の運び人かもしれないが……)
魔剣士(優しい目って言ってもな、俺は所詮…世間から見たら大罪人なんだぞ……)

白姫「…」

魔剣士(……しかし、姫様か。)フゥ
魔剣士(姫とはいえ、女の子。こうして二人きりで話たりするのは、考えたら生まれて初めてなんだよな……)チラッ

白姫「…」

魔剣士(…女の子、か)

白姫「…」

魔剣士(……女の子)トクン…

白姫「…♪」

魔剣士「…っ」

コチ…コチ……

魔剣士(あ……)ドクン…
魔剣士(や、やべ……。急に…この…気持ちは……)ドクン…
魔剣士(二人きりで、可愛い女の子がいて、ベッドがあって……。)ドクンドクン…

白姫「…」

魔剣士(意識してなかったのに、静かになった途端…意識を……)
魔剣士(やべぇ…かも……。)ドクンドクン
魔剣士(いかん、どんどん……!)ドクッドクッ……
魔剣士(……い、いやっ!バカ野郎、相手は姫様だぞ!何を…!)ブンブン
魔剣士(だけど……)ジー…

白姫「…うん?」ピクッ
白姫「……ふぇ、どうしたの?」
白姫「私の顔に…何かついてるかな?」

魔剣士「い、いや!?」ビクッ!

白姫「…って、魔剣士!」
魔剣士「ん、ん?」
白姫「走って来たからかな、魔剣士の顔に泥ついてる…。とってあげるから動かないでっ!」
ソッ……
魔剣士「いっ…!」
魔剣士(な、なんでこのタイミングで!近っ……!)

白姫「…これで大丈夫っ♪」
 
魔剣士「…っ」ゴクッ
魔剣士「し、白姫っ……!」バッ!!
ドサッ…!!
白姫「ひゃっ…!?」

魔剣士「…さ、さっき言っただろ!」
魔剣士「もしかしたら、俺が悪者だったかもしれないってな…!」
魔剣士「そうさ、目が優しいからって何もないわけじゃないかもしれないんだぜ…!」

白姫「え、えっ……?」

魔剣士「…っ!」ドクン…ドクン…!

白姫「ま、魔剣士…?」

魔剣士(やべぇ、こ、こんな状況も初めてで……!)
魔剣士(抑え…きれねぇかも………っ!)

白姫「…?」

魔剣士(白透き通る首筋、広がる程に柔らかい髪の毛……!!)ドクッ…!
魔剣士(近く感じられる吐息、温もり、匂いっ…!!)
魔剣士(くっ……!)ドクンドクン…!
魔剣士(…ッ)
魔剣士(…)

魔剣士(……そうだ、待てよ)

魔剣士(この姫様は、何も知らないんだ……)
魔剣士(この世が、姫様が思う以上に残酷だということは、俺の言葉でしか知らない…っ)
魔剣士(だから、この姫に俺がその残酷さを教えるのも……!)ドクンドクンドクンッ!!!
……ドクンッ!!!……

白姫「……魔剣士」ボソッ
魔剣士「っ!」ハッ!
白姫「……寂しくなったの?」ソッ
魔剣士「へっ?」
グイッ!…ギュウッ…!
魔剣士「!」

白姫「私は魔剣士のお母さんとは違うかもしれないけど…っ」
白姫「寂しいなら、こうやって抱きしめることはできるから……」
ギュウッ…
魔剣士「…っ!?」
白姫「…」
魔剣士「…ッ!!」カァァッ
…バッ!!!
魔剣士「ば、バカッ!そういうことじゃねえよ!!離せっ!!」ババッ!
白姫「あっ…!」 
魔剣士「ふ、ふざけんなよっ!」
白姫「ご、ごめんね!嫌だった…よね……」

魔剣士「~…ッ!」
魔剣士「…お、お前は節操がなさすぎる!!すぐに行動にうつすな、バカッ!!!」

白姫「…っ」シュン…

魔剣士「あのな、俺じゃなかったら襲われても文句いえねぇんだからな!!」
魔剣士「俺が俺で良かったと思えよっ!!」

白姫「え…?」

魔剣士「……っ」
魔剣士「…ありがとよ、危なく間違うところだった……」ボソッ

白姫「…間違う?」
魔剣士「な、何でもねぇよっ!!抱きしめてくれたおかげで色々助かったっつーかっ!!」
白姫「そ、そっか。じゃあ抱きしめたのは、嫌じゃなかったんだ…ね」ホッ
魔剣士「…アンタみてぇな可愛い姫様に抱きしめられて、近づかれて、嫌な人はいねぇよ安心しとけっ!!」
白姫「えっ!」
魔剣士「…って、何言わせるんだオラァァッ!」ブンブンッ!!

白姫「お、落ち着いて魔剣士っ!」
白姫「…」
白姫「っていうか、そ…それ、どうしたのっ!?大丈夫っ!?」

魔剣士「それってなんだよ!」
白姫「それ…」スッ
魔剣士「あぁん!?」
白姫「…」ジッ

魔剣士「…」
魔剣士「……っ!?」ビクッ!

白姫「棍棒でもポケットに入れてたの…?」

魔剣士「…う、うおおおっ!!」
魔剣士「さ、先に風呂入ってくるっ!落ち着いてくるっ!!」
ダダダダッ、ガチャッ!!バタンッ!!!

白姫「ま、魔剣士っ……!」
白姫「…」
白姫「ど、どーしたんだろ……?」
白姫「…」
白姫「……う~ん?」

…………
……



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 風 呂 】

カポーン……

魔剣士「…ッ!」ドキドキ…


……
・・・・・・・・・・・・・・・・・・

白姫「…魔剣士っ」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・
……


魔剣士「……ッ!!」
魔剣士「…くっそがっ!水ん中で心頭滅却だっ!!」
…ザボォンッ!!ブクブクッ…!!

魔剣士(なんなんだよ、あの姫様っ!)

魔剣士(マジで馬鹿じゃねぇのか……!)

魔剣士(世間知らずってレベルじゃねぇよ、愛嬌ふりまきすぎだっ!)

魔剣士(外に出しちゃいけないだろ、あんなの……っ!)

魔剣士(…か、可愛らしいとは思うけど!いや、可愛いとは思うっ!)

魔剣士(だから、余計にまずいんだよ…!)

魔剣士(人付き合いも少なくて、だから無垢で、まるで人見知りの知らない子供のようで……)
…ブクブクッ…
魔剣士(人付き合いが少ないのは俺と一緒だが…。俺とは全く違う…。)

魔剣士(そうだ、俺は特に人を信用しない。嫌いな奴も多い……。)

魔剣士(だけどあいつは、誰でも理解しようとし、好意を持とうとするタイプなんだろう……。)

魔剣士(……くそっ!)

魔剣士(…ッ)

…ブクッ…

魔剣士(…と、息が……っ!)

…ザバァンッ!!!

魔剣士「ぶはぁっ、はぁっ……!」
魔剣士「はぁ…」
魔剣士「は…」

白姫「…あっ、魔剣士」チョコン

魔剣士「は…?」

白姫「…宿の主人さんに寝る時用の着替えを貰ったから、ここで着替えようかなって♪」
魔剣士「…なんでここで?」
白姫「普通、着替えるのは浴場でかなぁって」
魔剣士「浴場でって…」
白姫「…よいしょっ」パサッ

魔剣士「!?!?」
魔剣士「ばばばば、ばか野郎っ!!」
魔剣士「ナンデ!イマッ!!ココデ!!脱ぎ始めるっ!?」

白姫「うん?」
魔剣士「浴場で欲情させる気かオメェは、ふざけんなっ!!」
白姫「よくじょう?浴場だけど…」
魔剣士「そ、そういうことじゃねぇよ!!」
白姫「ん~?」
魔剣士「世間知らず、おてんば、天然入りかお前はっ!!信用し過ぎもいいところだっ!!」
白姫「あっ、それ言い過ぎ……」ブスーッ
魔剣士「おまっ、マジで今はここで着替えとかやめ……!」

白姫「…」
白姫「…そうだ!」
白姫「私の今の服、主人さんがついでに洗濯してくれるらしいし、どうせ…ぬれちゃうよね?」

魔剣士「ん?」
白姫「だったら、ついでに今日の疲れとってあげるよっ!」
魔剣士「な、何!?」
白姫「…そこ座ってっ!」
魔剣士「へ」
白姫「…今日のお礼っ!」
魔剣士「お礼って…」
白姫「ずっと運んできてくれたし、優しさには優しさで返さないとダメって教えられてきたからっ」
魔剣士「や、優しさっ!?風呂場で何をする気だっ!?」
白姫「いいからいいから、座ってよ~!」
グイグイッ…!!
魔剣士「おまっ、せっかく人が心頭滅却して心を鎮めようと……!」
白姫「お礼したいのっ!早く座ってってば!」
魔剣士「お、おいっ!」
白姫「えっと、アレはどこかな~」キョロキョロ
魔剣士「おま、話を聞け…!」
白姫「あった♪」スッ
魔剣士「お、おい何が……」
白姫「いっくよ~!」
…グイッ!
魔剣士「うおっ…!?」

………



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ゴシゴシッ……

魔剣士「…背中を洗いたかったのね」
白姫「うんっ!」
魔剣士「お、俺はてっきり……」
白姫「…てっきり?」
魔剣士「…な、なんでもねぇよっ!」
白姫「…?」
魔剣士「…ま、まぁなんだ。ありがとよ」
ゴシゴシッ…!!
白姫「うんっ」
魔剣士「…」

ワシャワシャッ……

白姫「…魔剣士、背中大きいね」
魔剣士「そうか?」
白姫「それに、凄い傷…。なんでこんなに……」
魔剣士「…一人の鍛練とか、実践で獣につけられたのがほとんどだな」
白姫「…痛かったよね、きっと」
魔剣士「…まぁな。だけど俺は…この傷だけ成長したと思ってる」
白姫「…」
魔剣士「鍛錬もなかったら、城内に忍び込んで兵士からお前を誘拐することもできなかったしな」
白姫「そういえば、そうだよね」クスッ
魔剣士「…だがな、それを抜きにしてもセントラル兵士は弱すぎだ」ククク
白姫「そうなの?」

魔剣士「…平和に重んじて、鍛錬を怠ってたんじゃねえのか?」
魔剣士「あの兵士長だって、俺に負けてたら王城の兵士長として失格だろ……。」

白姫「…兵士長は私を守ってくれるって言ったのになぁ。」
白姫「だけど、それはそれでよかったのかも…って少し思ってるよ」

魔剣士「お前を守るための兵士長が弱くて、何がいいのか」
白姫「魔剣士と出会えたから♪」
魔剣士「!」

白姫「もしかしたら、明日捕まっちゃうかもしれないけど…」
白姫「それでも、足が痛くなるほど走ったり、誰かの背中にギュってしたり……。」
白姫「何もかも新鮮で、凄く楽しかった」

魔剣士「…」

白姫「……よしっ♪」
白姫「背中は洗えたから、次は前ねっ!」バッ!

魔剣士「いっ!?」

白姫「ほらほら、こっち向いてよっ!」
魔剣士「さすがにそれはダメだっつうーの!」
白姫「お礼をしたいのっ!」
魔剣士「…ッ!」
白姫「遠慮なんてしなくていいってばっ!」

魔剣士「…こ、このっ!」
魔剣士「今度、そういうこと教育してやるから、浴室から出てろーーーっ!!」グイッ!!

白姫「きゃ、きゃあーっ!?」
…ポイッ!!!ドシャッ!
魔剣士「…すぐあがるから、大人しくしてろっ!」
……バタンッ!!!
 
白姫「…」
白姫「……むぅ~」

……………
……



・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・
・・



妙に不満が残った白姫だったが、
白姫も風呂へ浸かった時に改めて浴場の天井を見つめると、
「今は自由なんだな」と頭に浮かび、自然と笑みがこぼれた。

その後、他の客より遅れて用意された晩御飯を食べると、
二人はその日の疲れから夢も見ぬような深い深い眠りへと落ちていった……。

そして、次の日――……。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】7年待った婚約者に「年増とは結婚できない」と婚約破棄されましたが、結果的に若いツバメと縁が結ばれたので平気です

岡崎 剛柔
恋愛
「伯爵令嬢マリアンヌ・ランドルフ。今日この場にて、この僕――グルドン・シルフィードは君との婚約を破棄する。理由は君が25歳の年増になったからだ」  私は7年間も諸外国の旅行に行っていたグルドンにそう言われて婚約破棄された。  しかも貴族たちを大勢集めたパーティーの中で。  しかも私を年増呼ばわり。  はあ?  あなたが勝手に旅行に出て帰って来なかったから、私はこの年までずっと結婚できずにいたんですけど!  などと私の怒りが爆発しようだったとき、グルドンは新たな人間と婚約すると言い出した。  その新たな婚約者は何とタキシードを着た、6、7歳ぐらいの貴族子息で……。

婚約者に消えろと言われたので湖に飛び込んだら、気づけば三年が経っていました。

束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢シャロンは、王太子オリバーの婚約者に選ばれてから、厳しい王妃教育に耐えていた。 だが、十六歳になり貴族学園に入学すると、オリバーはすでに子爵令嬢エミリアと浮気をしていた。 そしてある冬のこと。オリバーに「私の為に消えろ」というような意味のことを告げられる。 全てを諦めたシャロンは、精霊の湖と呼ばれている学園の裏庭にある湖に飛び込んだ。 気づくと、見知らぬ場所に寝かされていた。 そこにはかつて、病弱で体の小さかった辺境伯家の息子アダムがいた。 すっかり立派になったアダムは「あれから三年、君は目覚めなかった」と言った――。

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

愛することをやめたら、怒る必要もなくなりました。今さら私を愛する振りなんて、していただかなくても大丈夫です。

石河 翠
恋愛
貴族令嬢でありながら、家族に虐げられて育ったアイビー。彼女は社交界でも人気者の恋多き侯爵エリックに望まれて、彼の妻となった。 ひとなみに愛される生活を夢見たものの、彼が欲していたのは、夫に従順で、家の中を取り仕切る女主人のみ。先妻の子どもと仲良くできない彼女をエリックは疎み、なじる。 それでもエリックを愛し、結婚生活にしがみついていたアイビーだが、彼の子どもに言われたたった一言で心が折れてしまう。ところが、愛することを止めてしまえばその生活は以前よりも穏やかで心地いいものになっていて……。 愛することをやめた途端に愛を囁くようになったヒーローと、その愛をやんわりと拒むヒロインのお話。 この作品は他サイトにも投稿しております。 扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID 179331)をお借りしております。

婚約をなかったことにしてみたら…

宵闇 月
恋愛
忘れ物を取りに音楽室に行くと婚約者とその義妹が睦み合ってました。 この婚約をなかったことにしてみましょう。 ※ 更新はかなりゆっくりです。

貧乏男爵家の末っ子が眠り姫になるまでとその後

空月
恋愛
貧乏男爵家の末っ子・アルティアの婚約者は、何故か公爵家嫡男で非の打ち所のない男・キースである。 魔術学院の二年生に進学して少し経った頃、「君と俺とでは釣り合わないと思わないか」と言われる。 そのときは曖昧な笑みで流したアルティアだったが、その数日後、倒れて眠ったままの状態になってしまう。 すると、キースの態度が豹変して……?

高貴な血筋の正妻の私より、どうしてもあの子が欲しいなら、私と離婚しましょうよ!

ヘロディア
恋愛
主人公・リュエル・エルンは身分の高い貴族のエルン家の二女。そして年ごろになり、嫁いだ家の夫・ラズ・ファルセットは彼女よりも他の女性に夢中になり続けるという日々を過ごしていた。 しかし彼女にも、本当に愛する人・ジャックが現れ、夫と過ごす夜に、とうとう離婚を切り出す。

私が公爵の本当の娘ではないことを知った婚約者は、騙されたと激怒し婚約破棄を告げました。

Mayoi
恋愛
ウェスリーは婚約者のオリビアの出自を調べ、公爵の実の娘ではないことを知った。 そのようなことは婚約前に伝えられておらず、騙されたと激怒しオリビアに婚約破棄を告げた。 二人の婚約は大公が認めたものであり、一方的に非難し婚約破棄したウェスリーが無事でいられるはずがない。 自分の正しさを信じて疑わないウェスリーは自滅の道を歩む。

処理中です...