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第九章【セントラル】

9-37 一虚一実

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最近、よく気を失うことが多い気がする。
さっきまで感じていた光の温かさはどこへ、今はすっかりと暗闇の中。
だけど、今回は今までと違って"自分"であることを認識している。

魔剣士「……っ」

視界が覚醒し始める。ふと、背中に感じる"物理的"な柔らかさ。
これは…ベッドだろうか。

魔剣士「ん……」

一言声を漏らし、モゾリと動く。
すると、周囲にいた"誰か"が「魔剣士様が目を覚ましました!」と声を上げてどこかへと消えて行ったようだった。

魔剣士(何…だ……?)

何が起きているのか、分からない。
結局、自分は助かったということなのだろうか。

ウィッチ(お主、目が見えないのか?)
魔剣士(……ウィッチ!?)

彼女は無事、自分の中に生きていたらしい。突然の声に驚くが、安堵もした。

魔剣士(お前、意識が……)
ウィッチ(……お蔭さまでの)
魔剣士(だけどなんだ、その口調は……)
ウィッチ(子供のままイメージしおったな、貴様……)
魔剣士(も、文句言うなよな!?)
ウィッチ(別に文句は言っとらんよ。それよりお主、目は?)
魔剣士(いや、こうやってお前と会話するくらいに元気だし、身体も動かせるんだが……)

もぞもぞと身体を動かす。

ウィッチ(……簡単な治癒魔法じゃが)

"ヒール"と唱え、瞳への回復を集中する。

魔剣士(お、なんか気持ちいいぞ……)
ウィッチ(元々、お主の身体に働いていた回復を瞳に集中させた。これで見えるようにはなるじゃろうが……)
魔剣士(……何だ?)
ウィッチ(もしかすると、以前に精神世界で受けた傷が二度目の別次元に突入したことで悪化したのかもしれん)
魔剣士(はい?)
ウィッチ(覚えていないか?アサシンの時も、精神世界でお前は目が見えなかっただろう)
魔剣士(あ…、あぁ……!)

そういえば、あの時は視界を奪われていた。

ウィッチ(気を付けることじゃ。お前の瞳は、闇魔法の覚醒時に傷としてセーブされてしまったのかもしれん)
魔剣士(目が見えなくなるってことなのか……?)
ウィッチ(かもしれんな……)
魔剣士(……そうか。ま、今は見えるようになるんだろうし先のことは考えないようにするぜ)
ウィッチ(やれやれ楽観的な奴じゃのう)
魔剣士(うるせーな!もう後悔してきたぞ!)
ウィッチ(……ハハ、お主は…)
魔剣士(ククッ……!)

心の中で、誰にも分からないよう笑い合った。

ウィッチ(それで、魔剣士)
魔剣士(何だ?)
ウィッチ(視界が見えるまで分からないと思うが、恐らくここは……)
魔剣士(あ、お前…ちゃんと見えてるのか?)
ウィッチ(私はお主の魔力を借りて、"感知"でハッキリと視界は見えている。目が見えなくなる前にあとでやり方も教えるが、それよりここは……)
魔剣士(ん……)

居場所を言いかけたウィッチ、その時ドアが勢いよく開く音がした。

「……ま、魔剣士っ!!!」

そして、どこかで聞いたことがある声。
甲高い女性のものだったが、どこか艶やかさもある、いつか馬鹿にされた覚えもある、彼女の声。

魔剣士「……セージ?」
セージ「魔剣士、気付いたのね…!本当に良かった!!」

………


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
―――数分後。
魔剣士の視界は回復し、すっかり辺りの様子を伺えるほどになっていた。
セージによれば、ここは氷山帝国の特別治療室で、試験的に魔剣士の利用していた黒魔石で描いた陣に結界術の負荷テストを行っていたらしい。

魔剣士「…」

助かったことは何より嬉しい。
だが、それよりも有り得ない事態を聞いたことに、魔剣士の脳が追い付いていなかった。

セージ「全部、本当のことなの……」
魔剣士「嘘だろう……ッ!!」
ウィッチ(…っ)

この時、この瞬間。魔剣士が目を覚ましたのは、氷山帝国に現れてからたった2時間後のことだった。

魔剣士「そ、そんなこと……!有り得ねェよっ!!!」

しかし、セージから聞かされた話では。
どうやら、自分が陣の中に消えてから経った時間は。

セージ「1週間。セントラルが世界に宣戦布告して、1週間は経ってるのよ。既に、リゾート区の南方大地が制圧されて……」

―――1週間以上が経過していた。

魔剣士「……陣の世界じゃ、時間の進み方も違ったのか!?」
セージ「そ、それは分からないけど……」
魔剣士「オッサンや白姫、バンシィはどうなったんだ!!戦争は、騎士団は、王は、ブリレイは!!」
セージ「…王が騎士団を指揮して宣戦布告をしたことしか情報は出ていない。ブリレイや猛竜騎士、白姫ちゃんの情報は出ていないわ……」
魔剣士「何て…、くそっ!!こうしちゃいられねぇ、俺はすぐにでも騎士団を止めに!」

ベッドから飛び上がり、支度を整える。白姫たちの安否が、何よりも心配だった。

セージ「気持ちは分かるけど、落ち着きなさい!」
魔剣士「落ち着いていられるわけねぇだろうが!!」
セージ「……東方、西方、北方大地は戦争に伴って海上閉鎖に乗り出しているの。今向かっても、船は動いていないのよ!」
魔剣士「ンだと!?それじゃ、俺はセントラルに行けないのか!?」

彼女に迫り、胸倉を掴む。

セージ「……そういうことよ。どうしてあなたが陣から出てきたのか分からないけど、それも含めてまずは落ち着いて説明をしてほしい」
魔剣士「う、うぐっ…!」
セージ「まずは情報を教えて。そこから力になれることを見出すから、まずは落ち着いて……」
魔剣士「何で、こんなこと……!」

手を離し、ベッドへと座り込む。

魔剣士「……どうすりゃいいんだよ」
セージ「まずは落ち着くことが大事だと思うの。それと魔剣士、いつも装備していた剣は……」
魔剣士「んあ…、そういや…ちっとセントラルに落としてきちまったか……。忘れてたよ…」

母から買ってもらった大事な剣を、いつの間にか落していた。

セージ「それじゃあ恰好も着かないでしょう。私の護身用に持ってたものだけど、これをあげるから」
魔剣士「あ、あぁ……」

セージは使用感のない新品の片手剣を、鞘に仕舞った状態で魔剣士に手渡す。
だが、本来「俺の剣はあれだけだ!」と暴れるだろうは、気持ちは沈む一方で、それを気にする様子もない。

魔剣士「…」

あれから1週間。騎士団が動いているということは、猛竜騎士たちはブリレイを止めることに失敗したということだ。
闇魔法を相手にすることが、どれほどの脅威か分かっていても、きっと最期まで諦めることはなかっただろう。
うつむき、肩を落とす魔剣士に、ウィッチは語りかけた。

ウィッチ(……魔剣士、私が出る。具現化できるか?)
魔剣士(何だ…?何がだ……?)
ウィッチ(魔力をイメージしてほしいんじゃ。お前は今、考えるところが多すぎる。だから、ここは私に任せてほしいんじゃ)
魔剣士(何を言ってる…?)
ウィッチ(私を強くイメージして、鏡の世界の感覚を思い出せ。完全な生成は無理じゃが、意識として表には出れる気がするんじゃ)
魔剣士(あー…?)

取り敢えず、言われたようにイメージする。エルフ族の美しい容姿、いつか見た彼女の美貌を。

魔剣士「……へっ?」

"ピカッ…!"
その瞬間、魔剣士の身体から放たれた黄金の輝きが部屋いっぱいに広がり、目を眩ませて一度深い瞬きを終えた頃には、部屋に"彼女"が立っていた。

ウィッチ「……裸をイメージするとは、良い度胸をしているわね」

決して、蘇ったわけではない。実際、彼女の姿はまだ薄く陰りがあり、向こう側が透き通っていた。

魔剣士「ウィッチ!?」
ウィッチ「イメージのまま何だから、裸は止めてほしいんだけど……」
セージ「な、何これ!?」

魔剣士とセージはパニックになるが、ウィッチは裸を気にしつつも魔剣士の隣に腰を下ろす。

魔剣士「ど、どうして現実世界に出てきたんだ!?」
ウィッチ「別に出てきたわけじゃなくて、魔力の具現化。意識の共有を行っていたから、私は一つの魔法の存在ってことよ」
魔剣士「……触れるのか?」
ウィッチ「ただの魔力だから、それは無理。こうやって座ってるように見せかけてるけど、実際はただ浮いてるだけだから」
魔剣士「そ、そうなのか……」

じろじろとウィッチの身体を見つめる。ウィッチはため息をついて、髪を手でなびかせて「共に生きることを選んだのだから、満足したいなら付き合うけど?」とクールに言った。

魔剣士「ば、馬鹿っ!!違うわッ!!!」

大人の余裕に、魔剣士は赤くなって部屋から飛び出そうとする。

ウィッチ「あ、ちょっと…。あまり遠くに行かないでね、私は貴方の魔力なんだから遠くにいったら貴方に引かれて消えちゃうから」
魔剣士「うるせーっ!!」
ウィッチ「あと、私が聞いたことはそのままリンクして伝わるはずだから……」
魔剣士「分かったよ!!」

"バタンッ!!"
魔剣士は勢いよくドアを閉めて、外へと出て行った。

ウィッチ「……あら」

すると、ウィッチの身体に輝き白い布でできた服がサラリと着せられ身体を隠し、ウィッチは微笑んだ。

ウィッチ「魔剣士ったら……」

笑うウィッチだったが、それより気が気ではないのはセージのほう。
猛竜騎士から聞いていたエルフ族の女性、ウィッチという名、具現化した身体、あらゆる考えがグルグルと目まぐるしくセージの脳を痛めつける。

ウィッチ「貴方も落ち着いてくれる?私はウィッチ、猛竜騎士から話を聞いていたと思うけど……」
セージ「え、えぇ勿論!だけど、その…身体が具現化とか何がどうなって……!」
ウィッチ「貴方は知らないと思うけど、私は貴方のことを知っている。魔剣士の中からよく見ていたから」
セージ「さ、察することは出来ているわよ!だけど信じられないっていうか!」

慌てるセージに、ウィッチは落ち着かせようと"落ち着いて"と口にしようとした。
ところが、何故か―――…。

ウィッチ「……そうだと思うけど、まずは信じてほしいのじゃ!」

どうしてか、幼女フォルムの口調が出てしまった。

セージ「え……」
ウィッチ「……っ!」

魔剣士のイメージが中途半端で、完全に大人になり切れていなかったらしい。

ウィッチ(ま、魔剣士ぃぃっ…!!)
魔剣士(……へんっ!!)

心の会話でそれを知った魔剣士は、鼻で笑った。

セージ「い、今のは……」
ウィッチ「と…、とにかく落ち着いてほしいってこと。全てを話すから、貴方も今の情報を教えてくれるかしら」
セージ「……分かった」
ウィッチ「陣の世界や、魔法について。きっと、有益な情報もあるはずだから」
セージ「ウィッチ……さん…」
ウィッチ「うん、さすがに研究者のエキスパートだけあるのね。有難う、話を聞いてくれて」
セージ「え、えぇ……だけど……」
ウィッチ「どうしたの?」
セージ「魔剣士が外に出て行っちゃって、話を言いそびれてしまったことがあって……」
ウィッチ「言いそびれたこと?」

困ったように、セージは言った。

セージ「実は、魔剣士の他に陣から出てきた子がいて……」
ウィッチ「……出てきた子!?」

それは有り得ない話だったが、ウィッチの顔が一瞬で青くなった。
まさか、陣の世界に眠っていた過去のバーサーカーが、何らかの繋がりで現世へ蘇ってしまったのかもしれないと、そう思ったからだ。

セージ「えぇ、なんか魔剣士くらいと同い年くらいの男の子だったんだけど、あっちの子は衰弱が激しくて……」
ウィッチ「ちょっと詳しく教えてくれるかしら。その子は今、どこに?」
セージ「治療は終えたけど、まだ意識がないから別の部屋…集中治療棟の治療室にいるわ」
ウィッチ「集中治療室…、その子は一体どんな感じだったの?」
セージ「"全身の火傷が凄くて"酷いものだったから、すぐに治療を。魔剣士の仲間かと思ったけど……」
ウィッチ「ま、まさか……!」

……


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
―――集中治療棟、治療室。
この治療棟は、生死に著しく関わる者が緊急治療を受けるべく設置された特別な治療院の一つである。
セージの意向で、魔剣士と共に現れた謎の青年は、見るも無残なほどの火傷を負い、少しでも遅れれば死んでいただろうと話をした。

「…」

しかし、人ひとりの命が救われたことに対してウィッチは頭を抱えた。

「…」

何故ならば、彼は魔剣士が全身全霊を持って倒したはずの、騎士団の"象徴者"だったからだ。

「…」

それを知った同時刻、彼は目を覚ます。

「……こ、ここ…は…」

酷い全身の痛みを感じつつも何とか起き上がるが、彼は包帯に巻かれる身体に驚きを隠せないようだった。

「い、痛い……!ぼ、僕は…、ここは……!?」

だが、驚くのは彼だけではないはず。

「……あれ?」

それを見た魔剣士とウィッチも、それ以上に驚くはずだから。

ブレイダー「ぼ、僕って…?名前も…何も…………!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

………


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