如月さん、拾いましたっ!

霜月@サブタイ改稿中

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35話(2)義両親へのおもてなし?!見られちゃいけないものを片付けろ?!

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 ピンポーーン。


 来た来た来たぁあぁぁあぁあ!!!!
 急いで玄関まで行き、扉を開ける。


「こんにちわ!!!」
「お邪魔しま~~す」


 如月の母と姉をお出迎え。家の中の準備は完璧。あとは失礼のないようにおもてなしをするのみ!!! 最高の笑顔を浮かべ、部屋の中へ案内する。


「外観は古いけど、中は意外と綺麗なんだね」
「2DKかぁ。意外といいところに住んでるんだな」


 評論家になってる……。大丈夫、大丈夫。綺麗って褒めてる。リビングへ行くと、如月がお盆にコップとお茶を乗せ、持ってきてくれた。ナイスアシスト!!


「どーぞ」
「すっかり自分の家になってるね」
「5ヶ月も住んでれば、まぁ」


 そっか、如月ってうちに来て5ヶ月も居るんだ。もうすぐ半年……。なんかしみじみ。如月の持ってきたコップにお茶を注ぐ。


「ちょっとどんなところに住んでるのか見にきただけだから、堅くならないで」


 義母が俺をみてにっこり笑った。正直、緊張していたため、その言葉と笑顔に、少しだけ、気持ちが解れた。


「卯月ちゃんは?」
「ジュースを買いにコンビニへ行っています」


 小春さんも卯月に会いたいのか。自分の妹と如月の家族が仲良くしてくれるのは素直に嬉しい。ばーちゃんと如月も仲良くなれたらいいのに。


「部屋、少し見てもいい?」


 小春に訊かれ、頷く。見られて困るようなものは特にな……。アレどこに置いたっけ? 病室で使ってから、時々使うようになったピンクなおもちゃ。(※結局自主的に使ってる)


 洋室に置いてある気がする!!! しかも結構堂々と!!! まずい!!! 回収せねば!!!


「ごゆっくりしてくださいね~~ちょっと俺、席外します」
「たらいまぁ!!!」


 ナイスタイミング卯月!!! そのまま小春さんとお義母さんを引きつけてくれ!!!


 ドタドタとリビングへ近づく卯月の足音。その隙に、洋室へ向かう。うん。仲良く3人で話してる。おっけー。今のうちに回収しよう。


 洋室へ入り、見られちゃいけないものを探す。あれ? この辺に置いたと思ったんだけどなぁ。ない。どこ? え? なんでないの?


「何を探してるのかなぁ?」


 洋室の扉が閉まると共に、後ろから如月に抱きしめられた。え、もしかして、今、如月が持ってたりする? 恐る恐る振り返る。


 持ってるーーーー!!!!


「ちょっ!!! 何持ってるの!!! 早くそれ隠さないと!!!」
「隠しちゃうの? 今は誰も見てないよ」


 ズボンのボタンが如月によって外される。ダメだってば。今は如月の家族が来てるのにこんなことしちゃ。なのに、隠れて始まる秘め事に後ろが疼く。


「……するなら如月が受けで」
「やだよ。私に背徳趣味はないです」
「背徳趣味って……俺に背徳趣味があると思ってるのかぁあぁあぁあ!!!!」


 ぽこぽこぽこ。


 如月の胸をぐーで叩く。


「ちょっ叩かないで!! 違うの?! 羞恥嗜好の背徳趣味かと思ってました」
「誰が羞恥嗜好の背徳趣味だ……」


 あながち間違っていない如月の考えに、恥ずかしくて頬が赤く染まる。そう、この状況下は少し燃える気持ちがあるのは事実!!!


「でも約束したし。如月が受けやるって」
「私が受けやるなら、静かなところで、激しくがいいです」


 まさかの激しめ嗜好!!! そ、そんなに俺に激しく攻められたいということなのか!!!!


「…………」
「ちょっと何黙ってるんですか!! 引かないで!!! やめて!! 違う!! 攻められたいわけじゃない!!!」

「へー」
「変な目で見ないで!!!」


 むにむにむに。


 頬が親指と人差し指でつままれる。むー。そういう願望があるなら、素直に認めればいいのに。


「とりあえずリビング戻ろう? それ隠して」
「うん……じゃあキスして? 睦月さんから」


 手を伸ばし、如月の頬を両手で包み、引き寄せる。優しく唇を触れ合わーー。


 バン!!!!


 洋室のドアが開いた。小春さんだ。後少しでキスだったのに……。


「何やってんの? 来客放置して!!!」
「いや、べつに!!! なんも!!」


 サッと手を離し、急いでズボンのチャックを上げる。なんか変なことやってると疑われちゃう!!!


「弥生? 今後ろに何か隠さなかった?」
「いや、べつに……なんも……」


 これはまずい!!! 緊急事態発生!!!! 早くこの部屋から小春さんを連れ出さなければ!!!!


「お、お義姉さぁん!!! あっち行きましょう、あっち!!! あっちで俺とお話ししましょう~~」
「え? やだよ~~お義姉さん呼ぶな」


 小春の背中を無理やり押して、洋室から退散する。チラッと後ろを振り返り、如月に目で合図をする。隠しておいて!!!


「…………(おっけー)」


 なんとか脱出成功。危機は免れた!!! 時計を確認するとなんだかんだ時刻はお昼。2人はお昼どうするのだろうか?


「お義母さんとお義姉さんは……うちでお昼食べますか?」
「作ってくれるの? 頂いていこうかしらね」
「ぜひ!!!」


 ふふふ。食べていく前提に既にもう仕込み済み!!! キッチンへ向かい、お昼ご飯の準備をする。コンロに火をつけ、温める。


「弥生には勿体ないくらい、いい嫁だな。睦月ちゃんは」
「え? そうですね。もうね、毎日可愛くて可愛くて仕方ないです」
「自分の母と姉に惚気るな」
「ただの事実です。ちょっとキッチン行ってきます」


 家族で話してる。可愛くて仕方ないって。照れる!!! え? キッチン?! こっち来る!!! 顔赤いかも!!! どどどどどうしよう!!!!


「睦月さん、何か手伝いますか?」
「ぇえ?! だ、大丈夫?!」
「どうしたの? 頬、赤いよ?」


 もぉ!!! 家族の居る前で抱きしめないで!!!


「小春さん、勉強見て~~」
「いいよ~~」


 こっちは見てないか。でも堂々といちゃいちゃは恥ずかしいんですけど。


「えっ? ちょっと!! 押さないで!!!」
「ん~~?」


 如月に押され、キッチンの奥へ進み、壁に背が付く。ここは、リビングからだと死角になって見えない。何するつもり。


「背徳趣味ですか、如月さん」
「それは貴方でしょ」


 壁に如月の両手が付く。逃げられない。そっと、唇が重なる。口唇を少し開けると、如月の舌が入ってきた。舌を迎え包み、ゆっくり絡め合う。


「ん……んん……っん…ん…ふ……んはぁっ」


 離れた舌に少し寂しさを感じる。もっとキスして欲しくて、如月の頬に手を触れ、じぃっと見つめた。


 俺にキスして? 如月。


「そんな甘えた顔してもしないよ?」
「……けち」
「だって今からお昼ご飯にするんでしょ」


 沸騰する味噌汁。フライパンの中の鯖の味噌煮は煮詰まり、暑さで溺れ、助けを求めている。誘ったのは如月のくせに。


「焦げちゃうよ……ん」
「ん……っん……ん……ん……っ」


 再び重なり合う唇に身体の中が熱くなる。頬に触れた手を掴まれ、指が絡まると、壁へ押しつけられた。


「はぁっ……ちょっ……ん……んん…はぁっあっ…だめだめっんっ」


 ズボンの中に手が入り、優しく幹が撫でられる。柔らかな手つきに身体がビクッと震える。


「シたいけど、今はだめ!!!」
「シたかったの? まぁ、貴方が鯨さんになってから、一度もえっちしてないですもんね~~」
「鯨言うな」


 なんだかんだいつも卯月の目を盗んで(?)この家でも身体を重ねることがあったが、今週はタイミング合わず、シてない。そのせいか、ちょっと触られるだけでむらむらする。


「はいはい、お昼にしましょ」
「もぉ……」


 コンロの火を消し、鯖の味噌煮を取り分けていく。来客仕様で、今日は少し豪華なお昼ご飯だ。


 リビングにあるローテーブルに、炊き込みご飯、鯖の味噌煮、味噌汁、自家製きゅうりの浅漬けを並べる。


「夕飯並だね」


 義母が感心するように料理を見つめている。そりゃ、来るって分かっていましたから、腕を奮いましたよ。


 テーブルを5人で囲い、床に座る。普段は3人で囲うローテーブルも5人で囲うと少し狭く感じた。


「頂きまぁす!!!」


 美味しそうに如月の家族が食べている姿をみて、ホッとする。鯖の味噌煮を食べながら卯月が口を開いた。


「小春さんにもっと勉強教えて欲しい」
「いいよ? 別に」
「お兄ちゃん、如月の実家に泊まっていい?」


 三連休だし? 別に泊まってもいいけど!!! むしろ泊まってくれた方がありがたい!!! 俺と如月の時間が作れる!!!


 それに小春さんは才色兼備。俺たちが教えるよりは、お願いした方が卯月のためにもなるのかもしれない。


「どうぞ。1日1回だけ連絡入れてくれれば」
「やったぁ~~今日このまま一緒に如月家行っちゃうね!」


 今日、えっちできるかも。チラッと如月を見る。クスッと妖しく笑われた。ふん、笑っていられるのも今のうちだ。今日は俺が攻めをやる!!!


「ごちそうさまでした」
「美味しかったです、ありがとう」
「それは良かったです」


 食事を食べ終わり、義母と小春が帰る準備を始めた。少しは楽しんでもらえたかな? 卯月もこのまま一緒に出るらしく、3人を玄関まで見送りにいく。


「ありがとうね、お邪魔しました。うちの息子をよろしくね」
「いえいえ、そんな……こちらこそよろしくお願いします。あ、卯月のこともよろしくお願いします。」
「じゃあまたね~~睦月ちゃん」


 バタン。


 帰った。なんか疲れた。でもまだやることがある。5人分の食器を片付けなければ。リビングへ戻り、食器を流しに運ぶ。
 


 いつもより量の多い食器。



 食べ残しはない。家族の時間という幸せの残りあと。寂しさを感じながら、ひとつずつ洗っていく。



「洗うの手伝おうか?」
「手伝ってくれるの~~?」



 寂しいけど、1人じゃない。



 俺のそばには如月が居る。



 隣に並び、慣れない手つきで食器を洗う如月を見て、口元に笑みが溢れた。



 
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