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26話(2) #

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「……氷が……な……い……」絶望。


 昨日、帰ってきてから製氷機にたっぷり水を入れ、今日のかき氷パのために準備しておいたはずの氷がひとつもない!!! 買い物に行く前はパーティをするには十分過ぎるくらいの量があったはずなのに!!! 

 歯磨き粉とハバネロのために氷を全て使ったの?

 どんだけーー……。

 どんだけーー……。

 どんだけーーーー……。


 睦月は床に手と膝をつき、うなだれた。


「えっと……ご、ごめんね……?」如月が背中を撫でてくる。
「……わるいと思うならキスして」顔を上げ、如月を見つめる。

「そんなんでいいの?」ちゅ。優しく頬に手が添えられ、口付けされた。
「べつに」


 内心、少しおこ。折角一緒に楽しもうと思い、買い物まで行って準備したのに、氷を全部使われたとか。台無しにされた気分。


「怒ってる」如月にじぃっと見つめられ、目を逸らす。
「べつに」ぷい。目だけじゃなくて顔も逸らす。

「怒ってる。こっちおいで」如月は睦月の隣に座り、抱きしめた。
「怒ってないし」そっと如月の背中に腕を回す。ぎゅう。

「あつ……こんなに暑いといちゃいちゃする気も失せますね~~……」え?
「エアコンが壊れてるから……?」扇子で扇ぎ始める如月を見る。

「エアコンの効いてない部屋で汗だくになってまでいちゃいちゃしたいとは思いませんよ~~はぁ…あつ」扇子で送られてるくる風は生暖かい。


 エアコンがないと如月といちゃいちゃ出来ない?!?! ってことはえっちも?!?! なければないで別にいい主義の如月相手じゃ、このままではレスになる!!! これは一大事!!!


「エアコン、買おう」拳を握りしめ、立ち上がる。
「かき氷パーティは?」
「氷もないし一旦中止!! 今から家電量販店へ行く!!!」如月の腕を持ち、立ち上がらせた。


 製氷機に水を入れ、出かける準備をする。帰ってきたら、かき氷パーティにしよう。ボーナスも出たし、新しいエアコンに買い換えだぁ!!!


「お兄ちゃんエアコン買うの?!」卯月が嬉しそうに訊く。
「買う!!! 今から行ってくる!!」


 決めたら即行動。如月と一緒に家電量販店へ向かった。


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 ーーーーーーーー
 ーーーー


 ーー家電量販店


 こ、これは!! 家電量販店デート!! なんか新婚(?)みたい!! 白物家電を一緒に見ることに、テンションが上がる。


「家電って揃えると相当高そうですね」洗濯機を開けたり、冷蔵庫を開けたり、特に意味もなく、ひとつずつ、家電を見ていく。

「うん、まぁ、そうだね」今はエアコンの費用のことで頭がいっぱいだ。


 如月はボソッと小さな声で呟いた。


「いつか私たちも揃える時がくるのでしょうか」

「ーーえ?」よそ事を考えていたせいで、全てを聞き取れず、訊き返す。如月はニコッと笑い、答えた。

「なんでもありませんよ。さ、行きましょう」


 大切な問いかけだった気がするのだけど。最初と最後しか聞き取れなかった。なんだか誤魔化されたみたいで、悔しい。飾られたエアコンを見つめた。


「小さくて安いのでオーケーかな」高性能は要らない。
「まぁ、そうですね」


 部屋に合うサイズのエアコンを選び、契約していく。取り付けまで3日かかるのかぁ。それまではレスだな。寂しい。今日は確実に出来ない。いちゃいちゃ出来ないって鬼!!!


 せめて、デートしてる間だけでもいちゃいちゃしたい!!!


 契約を終わらせ、すぐに如月の手を握る。そういえば今日のデート、まだ手を繋いでいなかった。初繋ぎ。


「む、睦月さん?」急に手を繋がれ、頬が赤くなっている。かわいい。
「んー? 如月、いちゃいちゃしたい」ストレート過ぎたかな。

「へ? えっと…それはどういう……」恥ずかしそうに、毛先を指に絡めている。なんかいいな~~。むらむら。

「……言わせるの? そういう意味だけど?」もっと赤くなっちゃった。可愛い。今日は俺からいきたいかも。気分が乗ってくる。


 如月の手を引き、家電量販店を後にする。次の目的地は如月の家。2~3時間遅れて帰るぐらいなら、卯月も許容範囲だろう。高揚する気持ちを抑え、足早に向かった。


 ーーーーーーーーーーーー
 ーーーーーーーー
 ーーーー
 *


「睦月さん、提案があります」


 家へ着き、睦月と一緒にソファに腰掛ける。真面目に提案したくて、正座をし、睦月の方へ体を向けた。


「何……?」訝し気に見つめてくる。
「私、一生懸命考えたのですが、睦月さんが私に対してどこに萌えるポイントがあるか、分かりませんでした!!」


 そう、25話(4)あれからずっと考えているが、萌えポイントが全く分からない。これではにゃんにゃんねこみみプレイが出来ない。私はどうしても睦月さんにねこみみを付けて、えっちがしたいのに。むー。


「あーー……そっかぁ……」目が濁っている。

「でも私は睦月さんに、ねこみみを付けて欲しい!! だから、睦月さんが私に対して萌えるポイントが知りたい!!!」胸に手を当て熱弁する。伝われ、私の想い!


 言うことを躊躇っているのか、頭を掻いたり、顔を横に向けたりして、中々言ってくれない。じーーっと見つめ、言葉を促す。


「……如月が頬を赤く染めて、乱れた姿で誘うとか燃えるよね……」


 え? どういうこと? 私の理解が足りないのか?!?! なんかえっちな漫画とかイラストみたいな萌えの要求!! それはつまりアレか?! 乱れた姿ってコスプレとか女装的な?!?!


「……乱れた姿というのは具体的にどういった……」想像するだけで恥ずかしくて頬が熱くなる。

「分かるでしょ、フツーに。普段そんな格好しないくせに、そういう姿で顔赤くして、目トロンとさせて、気持ち良さそうにされたら、燃えしかない!!!」拳を握って熱く語っている。


 普段しない格好?!? え? これって、もしかして、男の娘でマスターベーションして誘う的な萌えポイント?!?! 難易度高っっ!!! どういう萌え?!?!

 でもこれ承諾しないとにゃんにゃんねこみみプレイは出来ない?!?! いやいやいや、男の娘になってマスターベーション見せるってどうなの!!!!


「む、睦月さん、流石に、これは萌えさせ辛いというか……」
「出来ないなら、にゃんにゃんねこみみプレイはしないぃ~~。あと、喘ぎ声は我慢ナシで」要求ハード!!!!

「わ……分かりました。私がう、受け? やります……。で、でも、お、女の子の服とか持ってないですし……あ、あの……1人で出来るかも分からないというか……」恥ずかしくて恥ずかしくて、顔が赤くなってしまう。

「え? なんの話? え? え?」


 睦月は考えた。なんの話か分からないが、如月が受けをやってくれる上にマスターベーションが見れるなら、ねこみみを付ける価値はある。そして挿れるチャンスもあるかもしれない。これは未だ、かつてない好機である!!!


「大丈夫だから」何かスイッチでも入ったように妖しい笑みを浮かべる睦月に少し焦る。

「わ、私には挿れないでね。あと睦月さんが受けになる時はねこみみ猫語で……」念の為、釘を刺す。

「まぁいいよ。ねこみみはあるの? ねぇ、抱っこしていい?」私の返答を訊く前に担がれてしまう。
「ねこみみはありますけど……っん」担がれながら、背中に手が入ってくる。

「挿れないし、俺が受けになったら、ねこみみ付けて猫語で受けするから、喘ぎ声は我慢しないこと。そしてちゃんと自分の言ったことは守ってね、如月」


 なんか……こわい。私、何か間違えた?!?!


「まずはシャワー浴びちゃおっか」


 あぁ、どうしよう。大丈夫かなぁ。楽しそうに私を担ぎ、浴室へ向かう睦月を見て、今更ながら、受けをすることを後悔した。


 ーーーーーーーーーーーー
 ーーーーーーーー
 ーーーー
 *


 入浴を済ませ、身なりを整えて、如月と寝室へ。ベッドに一緒に腰掛けた。ドキドキする。今日は良いものがいっぱい見れそう。


「あの……服はどうしますか……女の子の服ないですけど……」恥ずかしそうにこちらを見てくる。


 女の子の服? コンセプトがよく分からないが、ここで、否定すると、全てが台無しになりそうだ。とりあえず話を合わせておこう。


「大きめな白シャツ一枚とかでもいいよ(?)」
「大きめな白シャツですか……」如月は少し考え、部屋を出て行った。着替えるのかな。


 ーー数分後



「こ、これで良いですか……」


 恥ずかしそうに現れた如月をみる。長袖白シャツ。少しぶかぶか。下着のみ。シャツから出る脚がめっちゃ色っぽくてえっち!!!

「さ、サイズ間違えて買ったやつで……わ、私より睦月さんが着た方が絶対かわいいと思いますけど……」可愛いじゃない!! もはやせくしー!!

「はぁ……良いと思います……はぁ…」

 やばい、結構ツボる。照れ顔も可愛い。抑制出来なくなる前に次へ行かねば!!!


「如月……1人でシて?」


 手を引いて、ベッドの真ん中へ座らせる。やばいやばいやばいやばい!!! ドキドキする!!!


「え……うん……出来るか…分からないですからね……」

 シャツから出る白い脚が開かれた。手にローションを付けている。あ…後ろでやるんだ。えっち過ぎ。目が離せない。


「っ……ぁっ……っん…あ……はぁ……んっ…」

 突如目の前で始まる如月のマスターベーション。自分で慣らすかのように、指先を挿れている。恥ずかしそうにこちらに視線を送る表情に下半身に熱が籠る。


「んっ…睦月さ……あっ…はぁ…これは…イクまで……?…んっあ……睦月さんもおっきくなってるといいなぁ…ぁっ…はぁ」

 肩をビクビクさせながら、頬を染めて見つめてくる姿を見て気持ちは既に限界寸前。自分の下半身は膨れ上がっている。


「本当に挿れちゃだめ?」如月の肩に手をかけ、押し倒す。
「だーめ……んっはぁ……もうこれやめていい?…はぁ」

「俺、こんなにも挿れたいのに。今日は頑張ってたからやめてもいいよ。その代わり、いっぱい喘ぎ声聴かせてね」如月の手首を掴み、そっと抜き、優しく笑いかける。


 この前は愛情たっぷり攻めてもらったから、今日は俺の番。多分、あんまり上手じゃないけど、荒さのない愛情のある攻めをしたい。


「俺、今日、頑張るね」


 両手で如月の頬を包み、顔を近づける。唇から、はぁ、はぁ、と、浅い息が吐き出されているのを感じ、塞ぐように口付けした。


 ちゅ。


 



 
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