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恋をはばむ者
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ラスタルに入ったとたん、急に視界が悪くなった。パラパラと、細かい砂が顔に当たり、まともに目も開けられない。下を見れば、ぬかるみがあって、そのぬかるみがカチコチに乾燥して、そこへ猛烈な風が吹きつけるものだから、細かい土が舞い上がって、町は茶色くかすんで見えた。
ホアキンがボロ布を口に当てて、
「市長が変わって、このありさまだ」
町の人たちは、けれども平気な顔をして 通りを歩いていた。ときおりハットを取って、サーっと砂を落として、またそれをかぶった。
「駅前でいいのかい?」
ホアキンが御者台からふり返る。
「そうね、ここまで来ればもういいわ、ありがとう」
シエラはショルダーバックを手に、中腰になる。
「嫌な町ね。せっかくの服が台無し」
ハンカチを口に当て、軽蔑するような薄目を見せるドーラ。
「わしはな、正面に見えるバーナバスという雑貨屋にいるから。ほら、あそこに見える二つの倉庫だ」
馬車を降りて、シエラは遠くを指差す。
「あの大きな屋根ね、分かったわ」
ドーラも続いて馬車を降りる。
「一時間くらいしたら戻るから、ゆっくりしておいで」
ちょこんと帽子を上げて、ホアキンは再び馬車を走らせた。その背中に向かってシエラが手を振る。
「ねえシエラ、(馬車に)待っていてもらった方が良かったんじゃない?」
「なんで」
長らくじっとしていた体を、うーんと言って動かすシエラ。
「だって、彼に手紙を渡せなかったら、すぐに帰るのでしょう」
シエラがふり返ると、もじもじしたドーラがいた。
「またそんな事を言って。大丈夫よ、きっとうまく行くって。未来はいつでも明るいのだ! さ、行こ行こ」
「行くって、もう?」
「そ。善は急げ」
シエラとドーラ、二人は手をつないで大通りの方へと歩いて行った。
「ところで、何屋さんなの?」
「え?」
「ルドヴィックの働いているお店」
ドーラはあごに指を置いて、
「ああ、言ってなかったっけ? 麦屋さんよ」と言った所で、ドーラの顔色が悪くなった。
「あーやだ、また緊張してきた。彼の名前を聞いただけで、もう胸がドキドキする」
通りには、カジノやバーの看板、ビールやたばこのバナーなど、それらがずらりと軒をつらねていて、中には、投げキッスをする女性まで描かれていた。
「麦屋さん、麦屋さん、と。なんなの? ここ。ルドヴィックってたいへん治安のいい所で働いているのね」
「違うわ、ここは夜のお店が並ぶ通り」
近くの遊技場から、興奮した男たちの声がもれていた。その店先に、つなぎを着た製靴労働者らが、モクモクとたばこを吸っている。前を通ると、男らは急に黙って、二人の事をジロジロと眺めていた。
「早く行こ」
そう耳打ちして、ドーラはシエラの手を引っ張って行った。
そして次の通りは、にぎやかな商売の声がする、卸売市場に出た。
「まあ 人がいっぱい」
青菜や魚など、色々な食材を見て歩くシエラ、キョロキョロとよそ見をして、ドンと人にぶつかって、見上げると、背広を着た男の仏頂面があった。
「あら、ごめんなさい」
男はムッツリとしたまま、そのまま歩き去って行った。
「気を付けなさいよシエラ、怖い人だったわよ」
ドーラが小声で注意する。
「ねえ、どこなの? その麦屋って」
くだもの屋、乾物屋、珈琲豆屋など、ひと通り商売の様子を見て回った後、シエラは腰に手を当てて振り返った。
「おかしいわ。前に来た時、こんな感じの所にお店があったんだけど、もう一本、隣の通りかな」
その時、フレンチブレイドという 流行の髪型をした エレガントな女性が、二人の間を通り抜けて行った。その女性は 商店の売り物など まったく見向きもせず、颯爽と町の中を歩いて行った。そして目当ての店の前で立ち止まる。
「?」
二人は顔を合わせて、なんとなく その女性の後を追った。フレンチブレイドは、一人「うん」とうなずいてから、目の前のガラス戸を開けた。
後から来たドーラが、その店舗を見上げて、あっと声をもらす。
「このお店よ、このお店。彼が働いているのは。ペンキが塗り替えてあって分からなかった」
麦屋は、周囲の店と比較しても ずいぶん小さく、麦の販売をメインにコンパクトにつくられていた。その分、後ろにある倉庫が大きく、自然と二人は顔を上げた。
「麦って、そんなに大量に売れるのかしら」
シエラは店の周囲を見て回った。テラスには麦の入った樽が置いてあって、その中に小さなスコップがさしてあった。どうやらここは、自由に客が麦を取って、その重さを量って、お金を支払う仕組みのようだった。見た所、今の時間の店は空いている。
「どこ? ルドヴィックって、どこにいるの?」
キョロキョロしながら、ガラス張りのドアへと近づくシエラ、その手をドーラがあわててつかむ。
「もう! 何やってんの! 見つかっちゃうじゃない!」
そのまま向かいの店まで引きずられて行って、シエラはくつ屋と家具屋の狭いすき間に押し込まれた。
「ちょっとドーラ、手紙 渡さないの?」
「バカ言わないで、タイミングってものがあるのよ!」
小さくなって、二人は木箱のかげから店の様子をうかがった。
ルドヴィックの働く店は、前面がガラス張りとなっていて、さいわいにも店内の様子が手に取るようにわかった。さっきのフレンチブレイドの女性が、入って左のカウンターの前に立って何かを話している。
「キレイな人ね。美容室の店員さんかしら。麦を買うようには見えないけど」
ドキドキしながら、ドーラが木箱から顔を出す。
「あの人 ルドヴィックに手紙を渡すんじゃない?」
ドーラの横に、もう一つシエラも顔を出す。
「え?」
「だってあなた言っていたじゃない、ルドヴィック目当てに若い女性がたくさん店にやって来るって」
「あー、そうだったわね」
シエラは手でひさしを作って、
「ほら見て、やっぱりそうだわ。手にしたハンドバッグの中から 何か手紙のようなものを取り出して カウンターの上に置いた。そこにいるのは、お、あれはルドヴィックだわ。わー、初めて会った時より背が伸びている」
「え、どこどこ、きゃー、いた」
ドーラの顔が赤くなった。
「そしてその手紙を、見て、あいつは、受け、取らない。ほら見てドーラ、ルドヴィックは手紙を、受け、取らない。ねえねえ、あいつ二回も手紙を断っている。ちょっとドーラ、どこ見ているの?」
ドーラは木箱の角をなでていた。
「どうなっているか、言って」
「もう、なにがそんなに恥ずかしいわけ? えーと、それでね、きれいな人は、手紙を渡そうとして、何回も手紙を突き出して、何か言っている。ルドヴィックは、困り顔をして、首を横に振って、肩をすくめる。そしたら、別の女性がやって来て、それで、いきなり、その手紙を取り上げてビリビリに破った?」
「え!」
あわててドーラが顔を出す。
「まあ、なんてひどい事をするの? フレンチブレイドは、怒りにふるえて、大きな声を出して、手紙を破った相手といがみ合って、ふんといって店から出て来て、ほら、泣きながら走って行ったわ」
ドーラの顔が青ざめた。
シエラはなおも続けて、
「手紙を破って、勝ち誇ったような顔をしているその女性は、手を腰にあてて、玄関まで出て来て、周囲ににらみを利かす。そしてその勝ち誇った顔は、あれまあ、どこかで見た事あるわ。あれはリューイッヒだわ。間違いない。わたしが初めてここへ来た時に会った、ソフィと一緒にいた人。とても意地が悪そうな人だったわ」
リューイッヒは、ツンと鼻先をあげて、また店の中へ入って行った。
ホアキンがボロ布を口に当てて、
「市長が変わって、このありさまだ」
町の人たちは、けれども平気な顔をして 通りを歩いていた。ときおりハットを取って、サーっと砂を落として、またそれをかぶった。
「駅前でいいのかい?」
ホアキンが御者台からふり返る。
「そうね、ここまで来ればもういいわ、ありがとう」
シエラはショルダーバックを手に、中腰になる。
「嫌な町ね。せっかくの服が台無し」
ハンカチを口に当て、軽蔑するような薄目を見せるドーラ。
「わしはな、正面に見えるバーナバスという雑貨屋にいるから。ほら、あそこに見える二つの倉庫だ」
馬車を降りて、シエラは遠くを指差す。
「あの大きな屋根ね、分かったわ」
ドーラも続いて馬車を降りる。
「一時間くらいしたら戻るから、ゆっくりしておいで」
ちょこんと帽子を上げて、ホアキンは再び馬車を走らせた。その背中に向かってシエラが手を振る。
「ねえシエラ、(馬車に)待っていてもらった方が良かったんじゃない?」
「なんで」
長らくじっとしていた体を、うーんと言って動かすシエラ。
「だって、彼に手紙を渡せなかったら、すぐに帰るのでしょう」
シエラがふり返ると、もじもじしたドーラがいた。
「またそんな事を言って。大丈夫よ、きっとうまく行くって。未来はいつでも明るいのだ! さ、行こ行こ」
「行くって、もう?」
「そ。善は急げ」
シエラとドーラ、二人は手をつないで大通りの方へと歩いて行った。
「ところで、何屋さんなの?」
「え?」
「ルドヴィックの働いているお店」
ドーラはあごに指を置いて、
「ああ、言ってなかったっけ? 麦屋さんよ」と言った所で、ドーラの顔色が悪くなった。
「あーやだ、また緊張してきた。彼の名前を聞いただけで、もう胸がドキドキする」
通りには、カジノやバーの看板、ビールやたばこのバナーなど、それらがずらりと軒をつらねていて、中には、投げキッスをする女性まで描かれていた。
「麦屋さん、麦屋さん、と。なんなの? ここ。ルドヴィックってたいへん治安のいい所で働いているのね」
「違うわ、ここは夜のお店が並ぶ通り」
近くの遊技場から、興奮した男たちの声がもれていた。その店先に、つなぎを着た製靴労働者らが、モクモクとたばこを吸っている。前を通ると、男らは急に黙って、二人の事をジロジロと眺めていた。
「早く行こ」
そう耳打ちして、ドーラはシエラの手を引っ張って行った。
そして次の通りは、にぎやかな商売の声がする、卸売市場に出た。
「まあ 人がいっぱい」
青菜や魚など、色々な食材を見て歩くシエラ、キョロキョロとよそ見をして、ドンと人にぶつかって、見上げると、背広を着た男の仏頂面があった。
「あら、ごめんなさい」
男はムッツリとしたまま、そのまま歩き去って行った。
「気を付けなさいよシエラ、怖い人だったわよ」
ドーラが小声で注意する。
「ねえ、どこなの? その麦屋って」
くだもの屋、乾物屋、珈琲豆屋など、ひと通り商売の様子を見て回った後、シエラは腰に手を当てて振り返った。
「おかしいわ。前に来た時、こんな感じの所にお店があったんだけど、もう一本、隣の通りかな」
その時、フレンチブレイドという 流行の髪型をした エレガントな女性が、二人の間を通り抜けて行った。その女性は 商店の売り物など まったく見向きもせず、颯爽と町の中を歩いて行った。そして目当ての店の前で立ち止まる。
「?」
二人は顔を合わせて、なんとなく その女性の後を追った。フレンチブレイドは、一人「うん」とうなずいてから、目の前のガラス戸を開けた。
後から来たドーラが、その店舗を見上げて、あっと声をもらす。
「このお店よ、このお店。彼が働いているのは。ペンキが塗り替えてあって分からなかった」
麦屋は、周囲の店と比較しても ずいぶん小さく、麦の販売をメインにコンパクトにつくられていた。その分、後ろにある倉庫が大きく、自然と二人は顔を上げた。
「麦って、そんなに大量に売れるのかしら」
シエラは店の周囲を見て回った。テラスには麦の入った樽が置いてあって、その中に小さなスコップがさしてあった。どうやらここは、自由に客が麦を取って、その重さを量って、お金を支払う仕組みのようだった。見た所、今の時間の店は空いている。
「どこ? ルドヴィックって、どこにいるの?」
キョロキョロしながら、ガラス張りのドアへと近づくシエラ、その手をドーラがあわててつかむ。
「もう! 何やってんの! 見つかっちゃうじゃない!」
そのまま向かいの店まで引きずられて行って、シエラはくつ屋と家具屋の狭いすき間に押し込まれた。
「ちょっとドーラ、手紙 渡さないの?」
「バカ言わないで、タイミングってものがあるのよ!」
小さくなって、二人は木箱のかげから店の様子をうかがった。
ルドヴィックの働く店は、前面がガラス張りとなっていて、さいわいにも店内の様子が手に取るようにわかった。さっきのフレンチブレイドの女性が、入って左のカウンターの前に立って何かを話している。
「キレイな人ね。美容室の店員さんかしら。麦を買うようには見えないけど」
ドキドキしながら、ドーラが木箱から顔を出す。
「あの人 ルドヴィックに手紙を渡すんじゃない?」
ドーラの横に、もう一つシエラも顔を出す。
「え?」
「だってあなた言っていたじゃない、ルドヴィック目当てに若い女性がたくさん店にやって来るって」
「あー、そうだったわね」
シエラは手でひさしを作って、
「ほら見て、やっぱりそうだわ。手にしたハンドバッグの中から 何か手紙のようなものを取り出して カウンターの上に置いた。そこにいるのは、お、あれはルドヴィックだわ。わー、初めて会った時より背が伸びている」
「え、どこどこ、きゃー、いた」
ドーラの顔が赤くなった。
「そしてその手紙を、見て、あいつは、受け、取らない。ほら見てドーラ、ルドヴィックは手紙を、受け、取らない。ねえねえ、あいつ二回も手紙を断っている。ちょっとドーラ、どこ見ているの?」
ドーラは木箱の角をなでていた。
「どうなっているか、言って」
「もう、なにがそんなに恥ずかしいわけ? えーと、それでね、きれいな人は、手紙を渡そうとして、何回も手紙を突き出して、何か言っている。ルドヴィックは、困り顔をして、首を横に振って、肩をすくめる。そしたら、別の女性がやって来て、それで、いきなり、その手紙を取り上げてビリビリに破った?」
「え!」
あわててドーラが顔を出す。
「まあ、なんてひどい事をするの? フレンチブレイドは、怒りにふるえて、大きな声を出して、手紙を破った相手といがみ合って、ふんといって店から出て来て、ほら、泣きながら走って行ったわ」
ドーラの顔が青ざめた。
シエラはなおも続けて、
「手紙を破って、勝ち誇ったような顔をしているその女性は、手を腰にあてて、玄関まで出て来て、周囲ににらみを利かす。そしてその勝ち誇った顔は、あれまあ、どこかで見た事あるわ。あれはリューイッヒだわ。間違いない。わたしが初めてここへ来た時に会った、ソフィと一緒にいた人。とても意地が悪そうな人だったわ」
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