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野菜泥棒
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月が雲間から現れて、急に辺りを照らすかと思うと、すぐにまた雲に隠れて、もとの夜闇に包まれた。
上空から見たシエラは、広い草原を斜めに横断していた。自分の勘だけを頼りに、六マイル先にあるラスタルを目指しているのだった。
「あらおかしいわ。さっきからずっと歩いているのに、チャスタリカ湖の水面が見えてこないわ。いま歩いている方角で言うと、湖はきっと左手に見えてくるはずなのに」
目印となるチャスタリカ湖の、美しい水面を探して歩いていると、今度は大きな森に突き当たった。
「ああ、とうとう、骸骨が走り回るドーンズの森に着いたわ。両目を閉じて、怖さを紛らわすために、大声で叫びながらここを走り抜ければ、あとはラスタルまで目と鼻の先。でも、昼間通った時って、こんなに木がまばらな感じだったかしら?」
ドーンズの森と言えば、昼間でも暗く、幽霊が生息すると言われるくらい、薄気味が悪い森。けれども、いまシエラが入って行くこの森は、低木で、しかも木の本数が少なくて、月の光が枝を透過して、地面が透いて見えた。そんな明るい森を見たシエラは、身構えた肩の力を抜いて、月に照らされた腐葉土の上に、一あし一あし靴底を踏み下ろして、深い森の中へと進んで行った。
「あら? これは、柵?」
シエラの行く先に、丸太を組んだ牧柵が、右から左へずっと続いていた。
「こんな森の中に、牧場でもあるのかしら」
馬や牛を追い返す柵かと思って、シエラは丸太によじ登って、森の中に広がった牧草地に目を凝らした。と、すぐ横の柵の一角が、何かがぶつかって木組みが折れたように、丸太が崩れていて、そこをくぐってくぐれない事もなかった。
「ここ、通れるわね」
丸太をくぐり抜けて牧柵の内側へ入ると、シエラはスカートを叩いて立ち上がった。もうどこをどう歩いてラスタルへ向かっているのか、さっぱり分からなかった。それくらい、今のシエラは途方に暮れていた。
「はあ、聖歌隊に入る手だてが思いつかない。明日にもう一度、今度はヒルトン先生とは別の先生に頼みにゆこうかしら。もしかしたら、わたしの良い所を見つけてくれる、そんな変わった先生がいなさるかも知れないし」
牧柵の中にはほとんど木は無く、まさに牧場の中を歩くようなものだった。が、急に柔らかい土に足を取られて、シエラはハッとした。
「これ、畑だわ」
雲間から現れた月によって、よく耕された畑が照らされた。
「こんな深い森の奥に、こんな大きな畑が。一体、誰がこれだけの野菜を作っているのかしら?」
シエラは不思議そうな顔をして、茄子だの胡瓜だのの育った畑を見て回った。
その時、近くの納屋からランプの灯が上がった。
「とうとう見つけたよ、この野菜泥棒め! さあ観念をし! このジェニファー・ロードの目の黒い内は、山賊だろうが盗賊だろうが、畑のものに指一本でも触れさせないからね!」
頬かむりをした老婆が一人、大声を上げて納屋から飛び出して来た。それも見事なくらい怒っていた。
「なんとか言ったらどいだい! お前のせいで今年の野菜は大抵ダメになったのさ! ハワードのバカ息子ときたら、これは動物の仕業だとほざいていたが、ほら見たことか、あたしの思った通り、泥棒の仕業だったんだよ!」
「泥棒!」
びっくりしたシエラの顔が、迫って来たランプの灯によって、照り出された。
「おやおや、シラを切ろうって腹かい? 声からして小娘のようだけど、あたしは子供だろうが大人だろうが、情け容赦なしだからね!」
「ちょ、ちょっと待って下さいな! わたしは泥棒なんかではないわ! ただこの森を抜けて、ラスタルへ向かおうと」
「ラスタルだってえ? どうせつくならもっとましなウソをつくておくれ。ここはラウスハットさね。この森を抜けた所で、ラスタルなんててんで反対の方角だね」
「ラウスハット!」
シエラは万歳をして驚いた。
「ラウスハットなんて、わたし聞いた事がないわ。やだ、どこで道を間違えたのかしら?」
老婆は眉毛の位置を変えた。
「なんだって? じゃあお前は一体、どこの馬の骨だい? ラスタルへ行くって言うのだから、流れ者かい? いいえ、お前の疑いは晴れたわけじゃないんだよ」
がっくりと肩を落として、シエラは自分の身の上を語り始めた。
「バーゲンダーツだわ。わたしの故郷はバーゲンダーツ。わたし、メイトリアール教会の聖歌隊に入ろうと思って、一カ月かけて大陸を横断して来たの。だけど、教会には全く相手にされなかったわ。わたし、まさか入隊を断られるだなんて思いもしなかったの。だから、断られてからどうするかなんて、全く考えて来なかったわ。考えて来なかった事に直面すると、人ってこんなに途方に暮れるものなのね」
老婆は、さらに眉毛の位置を変えた。
「バーゲンダーツだってえ? それじゃまるっきりよそ者じゃないかね。その上メイトリアール教会から相手にされなかったなんて、お前はどこまで阿呆なんだい?」
「ああ! そんなにはっきりと阿呆とは言わないで下さいな! それはわたしだって薄々は気が付いていたんですもの。これは賢いやり方ではなかったって、今ではとても後悔してる所なのよ。はあ、これからみんなに同じような事を言われるのね、悲しいわ」
老婆はランプを下げて、語気を弱めた。
「お前の可哀そう身の上は分かったよ。でも、だからといって、お前のした事はどうだい? お前は他人の敷地にある柵を壊したんだ、その上よそ様の土地に勝手に入って来た、違うかえ? そして、お前は事もあろうに人様の野菜に手を出した。これは泥棒という列記とした犯罪じゃないかえ?」
老婆はランプを回して、荒らされた畑を照らした。土に穴だらけのまあひどい有様だった。
「あら、柵ならすっかり壊れていたわ。ひどい壊れ方でしてよ? それに、ここがおばあさんの土地だとはわたし思わなかったんです。ごめんなさい。こんな森の奥に、まさか人様の畑があるなんて、本当に思わなかったんですもの」
それに、と、シエラは横目で畑を見た。
「おばあさんの畑が荒れているのは、わたしのせいじゃなくって、いまおばあさんの後ろで野菜を食べている、その豚じゃなくって?」
それを聞いて老婆は、空にランプを投げそうになるくらい驚いた。そして、慌てて背中を振り返った。
「んまあ! いつの間に!」
健康的に太った豚が一匹、いま齧ったばかりの野菜をふり落とした。
「野生の豚とは恐れ入ったよまったく!」
老婆はランプをシエラへ押し付けて、豚のお尻を蹴ったり、叩いたり、掴みかかったり、色々に飛び回ったが、五升樽くらいある肥えた豚は、ちょっとお尻の位置を変えただげで、かまわず土を掘って野菜を掘り起こしていた。
「この太った悪魔め! どうしたらこの図々しい奴をあたしの畑から追い出せるかね!」
頬かむりを外して、肩で息をする老婆の後ろで、シエラは遠慮しながら口を開いた。
「あの、わたし、お手伝いましょうか? そのような手ぬるいやり方では、豚ってびくともしないんです」
「手ぬるいだって? ケツを引っ叩く以外に、他にどんなやり方があるというんだえ?」
白髪を乱した老婆は、忌々しげに顔を上げた。
「ロープを二本、用意していただけませんか?」
上空から見たシエラは、広い草原を斜めに横断していた。自分の勘だけを頼りに、六マイル先にあるラスタルを目指しているのだった。
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目印となるチャスタリカ湖の、美しい水面を探して歩いていると、今度は大きな森に突き当たった。
「ああ、とうとう、骸骨が走り回るドーンズの森に着いたわ。両目を閉じて、怖さを紛らわすために、大声で叫びながらここを走り抜ければ、あとはラスタルまで目と鼻の先。でも、昼間通った時って、こんなに木がまばらな感じだったかしら?」
ドーンズの森と言えば、昼間でも暗く、幽霊が生息すると言われるくらい、薄気味が悪い森。けれども、いまシエラが入って行くこの森は、低木で、しかも木の本数が少なくて、月の光が枝を透過して、地面が透いて見えた。そんな明るい森を見たシエラは、身構えた肩の力を抜いて、月に照らされた腐葉土の上に、一あし一あし靴底を踏み下ろして、深い森の中へと進んで行った。
「あら? これは、柵?」
シエラの行く先に、丸太を組んだ牧柵が、右から左へずっと続いていた。
「こんな森の中に、牧場でもあるのかしら」
馬や牛を追い返す柵かと思って、シエラは丸太によじ登って、森の中に広がった牧草地に目を凝らした。と、すぐ横の柵の一角が、何かがぶつかって木組みが折れたように、丸太が崩れていて、そこをくぐってくぐれない事もなかった。
「ここ、通れるわね」
丸太をくぐり抜けて牧柵の内側へ入ると、シエラはスカートを叩いて立ち上がった。もうどこをどう歩いてラスタルへ向かっているのか、さっぱり分からなかった。それくらい、今のシエラは途方に暮れていた。
「はあ、聖歌隊に入る手だてが思いつかない。明日にもう一度、今度はヒルトン先生とは別の先生に頼みにゆこうかしら。もしかしたら、わたしの良い所を見つけてくれる、そんな変わった先生がいなさるかも知れないし」
牧柵の中にはほとんど木は無く、まさに牧場の中を歩くようなものだった。が、急に柔らかい土に足を取られて、シエラはハッとした。
「これ、畑だわ」
雲間から現れた月によって、よく耕された畑が照らされた。
「こんな深い森の奥に、こんな大きな畑が。一体、誰がこれだけの野菜を作っているのかしら?」
シエラは不思議そうな顔をして、茄子だの胡瓜だのの育った畑を見て回った。
その時、近くの納屋からランプの灯が上がった。
「とうとう見つけたよ、この野菜泥棒め! さあ観念をし! このジェニファー・ロードの目の黒い内は、山賊だろうが盗賊だろうが、畑のものに指一本でも触れさせないからね!」
頬かむりをした老婆が一人、大声を上げて納屋から飛び出して来た。それも見事なくらい怒っていた。
「なんとか言ったらどいだい! お前のせいで今年の野菜は大抵ダメになったのさ! ハワードのバカ息子ときたら、これは動物の仕業だとほざいていたが、ほら見たことか、あたしの思った通り、泥棒の仕業だったんだよ!」
「泥棒!」
びっくりしたシエラの顔が、迫って来たランプの灯によって、照り出された。
「おやおや、シラを切ろうって腹かい? 声からして小娘のようだけど、あたしは子供だろうが大人だろうが、情け容赦なしだからね!」
「ちょ、ちょっと待って下さいな! わたしは泥棒なんかではないわ! ただこの森を抜けて、ラスタルへ向かおうと」
「ラスタルだってえ? どうせつくならもっとましなウソをつくておくれ。ここはラウスハットさね。この森を抜けた所で、ラスタルなんててんで反対の方角だね」
「ラウスハット!」
シエラは万歳をして驚いた。
「ラウスハットなんて、わたし聞いた事がないわ。やだ、どこで道を間違えたのかしら?」
老婆は眉毛の位置を変えた。
「なんだって? じゃあお前は一体、どこの馬の骨だい? ラスタルへ行くって言うのだから、流れ者かい? いいえ、お前の疑いは晴れたわけじゃないんだよ」
がっくりと肩を落として、シエラは自分の身の上を語り始めた。
「バーゲンダーツだわ。わたしの故郷はバーゲンダーツ。わたし、メイトリアール教会の聖歌隊に入ろうと思って、一カ月かけて大陸を横断して来たの。だけど、教会には全く相手にされなかったわ。わたし、まさか入隊を断られるだなんて思いもしなかったの。だから、断られてからどうするかなんて、全く考えて来なかったわ。考えて来なかった事に直面すると、人ってこんなに途方に暮れるものなのね」
老婆は、さらに眉毛の位置を変えた。
「バーゲンダーツだってえ? それじゃまるっきりよそ者じゃないかね。その上メイトリアール教会から相手にされなかったなんて、お前はどこまで阿呆なんだい?」
「ああ! そんなにはっきりと阿呆とは言わないで下さいな! それはわたしだって薄々は気が付いていたんですもの。これは賢いやり方ではなかったって、今ではとても後悔してる所なのよ。はあ、これからみんなに同じような事を言われるのね、悲しいわ」
老婆はランプを下げて、語気を弱めた。
「お前の可哀そう身の上は分かったよ。でも、だからといって、お前のした事はどうだい? お前は他人の敷地にある柵を壊したんだ、その上よそ様の土地に勝手に入って来た、違うかえ? そして、お前は事もあろうに人様の野菜に手を出した。これは泥棒という列記とした犯罪じゃないかえ?」
老婆はランプを回して、荒らされた畑を照らした。土に穴だらけのまあひどい有様だった。
「あら、柵ならすっかり壊れていたわ。ひどい壊れ方でしてよ? それに、ここがおばあさんの土地だとはわたし思わなかったんです。ごめんなさい。こんな森の奥に、まさか人様の畑があるなんて、本当に思わなかったんですもの」
それに、と、シエラは横目で畑を見た。
「おばあさんの畑が荒れているのは、わたしのせいじゃなくって、いまおばあさんの後ろで野菜を食べている、その豚じゃなくって?」
それを聞いて老婆は、空にランプを投げそうになるくらい驚いた。そして、慌てて背中を振り返った。
「んまあ! いつの間に!」
健康的に太った豚が一匹、いま齧ったばかりの野菜をふり落とした。
「野生の豚とは恐れ入ったよまったく!」
老婆はランプをシエラへ押し付けて、豚のお尻を蹴ったり、叩いたり、掴みかかったり、色々に飛び回ったが、五升樽くらいある肥えた豚は、ちょっとお尻の位置を変えただげで、かまわず土を掘って野菜を掘り起こしていた。
「この太った悪魔め! どうしたらこの図々しい奴をあたしの畑から追い出せるかね!」
頬かむりを外して、肩で息をする老婆の後ろで、シエラは遠慮しながら口を開いた。
「あの、わたし、お手伝いましょうか? そのような手ぬるいやり方では、豚ってびくともしないんです」
「手ぬるいだって? ケツを引っ叩く以外に、他にどんなやり方があるというんだえ?」
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