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第一章 ~伝説の魔剣~
第22話 蹂躙
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「シルバちゃん、ごめん。もう無理だ」
「ちょっ!? 今出ていったらあなたが殺されるわよ!」
「それでも――目の前でフェリス君が殺されるよりはましだ。-風の御霊よ、宿れ。【刀風】」
「うぐっ……もうっ! どうなっても知らないからね!」
フェリスにオルガの手が届かんとしていた時、レイヴンとシルバの間ではそんなひそひそとした会話が行われていた。
そして、会話の終了を合図としてレイヴンの双剣『紅双子』が草緑色に輝きだした。
風属性初等魔剣技【刀風】はレイヴンが初めて覚えた魔剣技である。故にその熟練度はレイヴンの仕える魔剣技の中でも突出していると言えよう。短い発動時間に無駄のない魔力変換。振るたびに風の刃を放つという特性も双剣との相性バッチリだ。
腕を交差させるようにして斬撃を放つ。容赦のない風の刃がオルガの頬を捉えた。
「その下卑た手を引っ込めろ。僕の友人に何をするつもりだ」
「誰だ」
「僕は誰だっていい。そんなことより……フェリス君から離れろ」
突如として現れた子供二人。しかも、初等魔剣技のそれではない威力を伴った刃。
流石のオルガも動揺を隠せない。
それでも、オルガを通り過ぎた風の刃が木を切り裂くことなく、浅い傷を付けただけであるところを見ると、オルガの腕力が化け物じみていることが易々と分かる。
オルガもそれを見た。「先程の子供とどちらが強いか」という寸法にするために。
「とりあえずは、そこ金髪少年の友人ということか」
「だったらなんだっていうんだい」
「いいや、特に何もない」
言葉少なげに、むしろ言葉を切るようにして交された言葉は、レイヴンの怒りを増長させた。レイヴンにとって今までなかったほどの怒り。そのせいか、黒い瞳に紅色の翳りが生まれているように見える。
しかし、その怒りは決して表に出されることはなかった。レイヴンの中で静かにグツグツと滾っているのだ。いつか訪れる爆発を心待ちにしているかのように。
「一応聞いておく。今、フェリスくんに何をしようとしていた」
「さて、何だろうな。貴殿自身の手で聞き出してみるもよし、私に請うてみるもよし」
先程までとは打って変わって達者な口が回りに回るオルガ。事実、彼の中の枷となっていた何かが外れていた。その証拠に無機質な目はギラギラと好戦的に輝き、剣を構えた臨戦態勢をとっている。
その姿勢に隙は無い。いいや、その言い方には語弊が含まれるだろう。
正確に言えば、オルガだからこそ隙が無いのだ。地面にどっしりと足を付けた中腰の姿勢など、常人がすれば一瞬でバランスを崩されること間違いない。
それでも、レイヴンの細かな揺さぶりに体勢を崩すことなく付いてこられるのは、自分の肉体に今までの経験を照らし合わせた最適解がそれだからだろう。
そんなオルガの構えに、レイヴンは既視感を覚えていた。
それが、今までに戦った学院生のものなのか、以前レイヴンがいた王国で見たものなのかはわからない。
しかし、どこかで見たことがある。その感覚だけは消えなかった。
「来ないのか。ならばこちらからいかせてもらうぞ!」
次の瞬間、そんな思考は骨の髄まで届くほどよく響くオルガの低い声によって断ち切られた。
仕掛けてこないレイヴンに痺れを切らしたオルガは、フェリスの時と同じように再び風の刃を放った。
周りの大気すらも切り裂きながら迫り来る水平な一太刀。それは、もはや風ではなかった。さらに、規模は違えど同じ風の刃を使う者として、放たれたそれにレイヴンは感心を示さずにはいられなかった。
――― 一太刀でまさか二撃の刃を飛ばしてくるなんて。それも、上下の逃げ道を塞ぐように。
凄まじい勢いで迫るそれは、既に避けられる距離にない。では、どうする?
答えは簡単だ。たったの二撃程度受けきれば良い。
「障風、部分展開」
突如、【刀風】によってレイヴンの周りに展開されていた風がカマイタチに合わせるようにして水平な線形に凝縮、展開された。
ガキンッという風が起こしてはいけない音と共に障壁とカマイタチは跡形もなく霧散。
訪れたのは一瞬の静寂。
無理もない。あろうことかレイヴンはその場に突っ立ったまま強大な風の刃を打ち消してしまったのだ。
しかし、その代償は大きかった。
(まずい。今のでかなり魔力を持っていかれた……)
初級魔剣技故の風の弱さ。いくら使いこなしてきたと言っても、それ本来の出力には限度がある。それを無理矢理自分の魔力変換によって底上げしたのだ。魔力の大部分を消費しても無理はない。
「なるほど…。【刀風】にそんな使い方があるとは。金髪の少年といい貴殿といい、今の子供は侮れないな」
「そりゃありがたい言葉だね。フェリスくんにもしっかり伝えておくよ」
お互いに軽口を叩き合う。まるで、余裕である証とでも言わんばかりに。事実としてオルガは全くの余裕である。いつも通りに斬り、そして軽く拳を金髪少年の頬に当てただけなのだから。しかし、レイヴンの両手は僅かに震えていた。
そう、はったりである。魔力枯渇による症状を少しでも隠そうと、はったりをかましたのだ。だが当然、そんな甘っちょろい番外戦術が効くような相手ではない。
(けど、だからこそ!)
―――やれることがある。
そう、信じての行動だった。
「魔力も切れたようだから終わりにさせてもらう。安心しろ。理想状態だ」
オルガの手元の剣が青く輝き出す。魔力を込めている証拠だ。その光量を見れば、魔力の質、量の差など歴然。刃物のように鋭く研ぎ澄まされた剣気がレイヴンを襲う。分かっていたこととは言え、最初から本気ではなかったことをまざまざと見せ付けられ、心に灰色をしたしこりのようなものを感じた。
しかし、だから何だというのか。一泡でも、二泡でも噴かせてやろう。
「水を司りし女神と幻獣よ。我が名はオルゲイズ・ブレッド。今ひとたび、我が魂を糧とし、碧き海底の深淵より馳せ参じ給え。【終リ無キ純水ノ救済】」
「なっ!?」
「っ!?」
――しかし、そんな目論見は一瞬にして息絶えた。オルガの口から唱えられたのが水属性上級魔剣技の詠唱だったからだ。
オルガの両脇になにやらもやもやとした影が生まれる。それはやがて、形を為し始めた。
左側には神話としても描かれている水の女神ウンディーネ。その姿は全ての男性を魅了し、虜という名の奴隷と化したと言われている。それほどの美貌。艶めかしくも清楚な妖艶さ。きっと、美しさを追求していけばこのような姿になるのだろう。そんな、どうしようもないほどの艶やかさを持った女性が、そこにいた。
そして、右側には天を貫くように真っ直ぐに伸びる1本の角をもち、静かに燃える炎のような鬣をゆらゆらと揺らしている伝説の幻獣ケルピウス。地面をガリッガリッと削るその蹄は、実は水から出来ているなど誰も思わないだろう。
ぐにゃぐにゃと乱れる水の造形物は安定し出すや否や、吠えた。女の甲高いキンキンとした声に、最高峰の獣の雄々しい雄叫び。
レイヴンの本能がけたたましく警鐘を鳴らす。しかし、レイヴンは動かない、
いや、動けないのだ。初めて見る上級魔剣技に圧倒され、力なく立ち尽くすばかり。さらに、脳内で再生されるあの日のデジャヴ――。
そんなレイヴンに、ズドッズドッと地面を抉り、おどろおどろしい轟音を立てながら、鳥類も斯くやというほどの速さで幻獣が迫り行く。
残り20メートル、10メートル、5メートル……
レイヴンが我に戻った頃には、既に目と鼻の先に、恐怖がいた。
それは、神々しいほどの恐怖。つい目を閉じて、一瞬でも現実から目を背けたくなるほどの。
「ひっっ」
「だめええぇえええッッッ!!」
ドスッ
天を穿つように真っ直ぐ伸びた角が刺さった。深々と。痛々しく。
しかし、ついに怯えたレイヴンが幻獣に突き飛ばされることはなかった。
何故なら――
「シルバちゃん……? ねぇってば!! 何で……なんでッッ!!」
そこには、怯えたレイヴンを庇うように突き飛ばし、その代償として意識を丸々刈り取られたシルバの姿があったからだ。
「ちょっ!? 今出ていったらあなたが殺されるわよ!」
「それでも――目の前でフェリス君が殺されるよりはましだ。-風の御霊よ、宿れ。【刀風】」
「うぐっ……もうっ! どうなっても知らないからね!」
フェリスにオルガの手が届かんとしていた時、レイヴンとシルバの間ではそんなひそひそとした会話が行われていた。
そして、会話の終了を合図としてレイヴンの双剣『紅双子』が草緑色に輝きだした。
風属性初等魔剣技【刀風】はレイヴンが初めて覚えた魔剣技である。故にその熟練度はレイヴンの仕える魔剣技の中でも突出していると言えよう。短い発動時間に無駄のない魔力変換。振るたびに風の刃を放つという特性も双剣との相性バッチリだ。
腕を交差させるようにして斬撃を放つ。容赦のない風の刃がオルガの頬を捉えた。
「その下卑た手を引っ込めろ。僕の友人に何をするつもりだ」
「誰だ」
「僕は誰だっていい。そんなことより……フェリス君から離れろ」
突如として現れた子供二人。しかも、初等魔剣技のそれではない威力を伴った刃。
流石のオルガも動揺を隠せない。
それでも、オルガを通り過ぎた風の刃が木を切り裂くことなく、浅い傷を付けただけであるところを見ると、オルガの腕力が化け物じみていることが易々と分かる。
オルガもそれを見た。「先程の子供とどちらが強いか」という寸法にするために。
「とりあえずは、そこ金髪少年の友人ということか」
「だったらなんだっていうんだい」
「いいや、特に何もない」
言葉少なげに、むしろ言葉を切るようにして交された言葉は、レイヴンの怒りを増長させた。レイヴンにとって今までなかったほどの怒り。そのせいか、黒い瞳に紅色の翳りが生まれているように見える。
しかし、その怒りは決して表に出されることはなかった。レイヴンの中で静かにグツグツと滾っているのだ。いつか訪れる爆発を心待ちにしているかのように。
「一応聞いておく。今、フェリスくんに何をしようとしていた」
「さて、何だろうな。貴殿自身の手で聞き出してみるもよし、私に請うてみるもよし」
先程までとは打って変わって達者な口が回りに回るオルガ。事実、彼の中の枷となっていた何かが外れていた。その証拠に無機質な目はギラギラと好戦的に輝き、剣を構えた臨戦態勢をとっている。
その姿勢に隙は無い。いいや、その言い方には語弊が含まれるだろう。
正確に言えば、オルガだからこそ隙が無いのだ。地面にどっしりと足を付けた中腰の姿勢など、常人がすれば一瞬でバランスを崩されること間違いない。
それでも、レイヴンの細かな揺さぶりに体勢を崩すことなく付いてこられるのは、自分の肉体に今までの経験を照らし合わせた最適解がそれだからだろう。
そんなオルガの構えに、レイヴンは既視感を覚えていた。
それが、今までに戦った学院生のものなのか、以前レイヴンがいた王国で見たものなのかはわからない。
しかし、どこかで見たことがある。その感覚だけは消えなかった。
「来ないのか。ならばこちらからいかせてもらうぞ!」
次の瞬間、そんな思考は骨の髄まで届くほどよく響くオルガの低い声によって断ち切られた。
仕掛けてこないレイヴンに痺れを切らしたオルガは、フェリスの時と同じように再び風の刃を放った。
周りの大気すらも切り裂きながら迫り来る水平な一太刀。それは、もはや風ではなかった。さらに、規模は違えど同じ風の刃を使う者として、放たれたそれにレイヴンは感心を示さずにはいられなかった。
――― 一太刀でまさか二撃の刃を飛ばしてくるなんて。それも、上下の逃げ道を塞ぐように。
凄まじい勢いで迫るそれは、既に避けられる距離にない。では、どうする?
答えは簡単だ。たったの二撃程度受けきれば良い。
「障風、部分展開」
突如、【刀風】によってレイヴンの周りに展開されていた風がカマイタチに合わせるようにして水平な線形に凝縮、展開された。
ガキンッという風が起こしてはいけない音と共に障壁とカマイタチは跡形もなく霧散。
訪れたのは一瞬の静寂。
無理もない。あろうことかレイヴンはその場に突っ立ったまま強大な風の刃を打ち消してしまったのだ。
しかし、その代償は大きかった。
(まずい。今のでかなり魔力を持っていかれた……)
初級魔剣技故の風の弱さ。いくら使いこなしてきたと言っても、それ本来の出力には限度がある。それを無理矢理自分の魔力変換によって底上げしたのだ。魔力の大部分を消費しても無理はない。
「なるほど…。【刀風】にそんな使い方があるとは。金髪の少年といい貴殿といい、今の子供は侮れないな」
「そりゃありがたい言葉だね。フェリスくんにもしっかり伝えておくよ」
お互いに軽口を叩き合う。まるで、余裕である証とでも言わんばかりに。事実としてオルガは全くの余裕である。いつも通りに斬り、そして軽く拳を金髪少年の頬に当てただけなのだから。しかし、レイヴンの両手は僅かに震えていた。
そう、はったりである。魔力枯渇による症状を少しでも隠そうと、はったりをかましたのだ。だが当然、そんな甘っちょろい番外戦術が効くような相手ではない。
(けど、だからこそ!)
―――やれることがある。
そう、信じての行動だった。
「魔力も切れたようだから終わりにさせてもらう。安心しろ。理想状態だ」
オルガの手元の剣が青く輝き出す。魔力を込めている証拠だ。その光量を見れば、魔力の質、量の差など歴然。刃物のように鋭く研ぎ澄まされた剣気がレイヴンを襲う。分かっていたこととは言え、最初から本気ではなかったことをまざまざと見せ付けられ、心に灰色をしたしこりのようなものを感じた。
しかし、だから何だというのか。一泡でも、二泡でも噴かせてやろう。
「水を司りし女神と幻獣よ。我が名はオルゲイズ・ブレッド。今ひとたび、我が魂を糧とし、碧き海底の深淵より馳せ参じ給え。【終リ無キ純水ノ救済】」
「なっ!?」
「っ!?」
――しかし、そんな目論見は一瞬にして息絶えた。オルガの口から唱えられたのが水属性上級魔剣技の詠唱だったからだ。
オルガの両脇になにやらもやもやとした影が生まれる。それはやがて、形を為し始めた。
左側には神話としても描かれている水の女神ウンディーネ。その姿は全ての男性を魅了し、虜という名の奴隷と化したと言われている。それほどの美貌。艶めかしくも清楚な妖艶さ。きっと、美しさを追求していけばこのような姿になるのだろう。そんな、どうしようもないほどの艶やかさを持った女性が、そこにいた。
そして、右側には天を貫くように真っ直ぐに伸びる1本の角をもち、静かに燃える炎のような鬣をゆらゆらと揺らしている伝説の幻獣ケルピウス。地面をガリッガリッと削るその蹄は、実は水から出来ているなど誰も思わないだろう。
ぐにゃぐにゃと乱れる水の造形物は安定し出すや否や、吠えた。女の甲高いキンキンとした声に、最高峰の獣の雄々しい雄叫び。
レイヴンの本能がけたたましく警鐘を鳴らす。しかし、レイヴンは動かない、
いや、動けないのだ。初めて見る上級魔剣技に圧倒され、力なく立ち尽くすばかり。さらに、脳内で再生されるあの日のデジャヴ――。
そんなレイヴンに、ズドッズドッと地面を抉り、おどろおどろしい轟音を立てながら、鳥類も斯くやというほどの速さで幻獣が迫り行く。
残り20メートル、10メートル、5メートル……
レイヴンが我に戻った頃には、既に目と鼻の先に、恐怖がいた。
それは、神々しいほどの恐怖。つい目を閉じて、一瞬でも現実から目を背けたくなるほどの。
「ひっっ」
「だめええぇえええッッッ!!」
ドスッ
天を穿つように真っ直ぐ伸びた角が刺さった。深々と。痛々しく。
しかし、ついに怯えたレイヴンが幻獣に突き飛ばされることはなかった。
何故なら――
「シルバちゃん……? ねぇってば!! 何で……なんでッッ!!」
そこには、怯えたレイヴンを庇うように突き飛ばし、その代償として意識を丸々刈り取られたシルバの姿があったからだ。
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