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第一章 ~伝説の魔剣~
第二話 馴れ初め
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「……わからん。君が魔導士国家アルカラの王族でしかもそのアレイド家の長男であることはわかった。うん。俺はとんでもないものを拾ってしまったな。いやほんとに。軽い気持ちだったとは言わないがこんなはずでは……。……すまない。浸ってしまった。いやしかし何故君の母君は……」
レイヴンから、レイヴン自身がなぜああなっていたのかについての経緯を聞いたガレスは珍しく頭を抱えていた。
普通に考えてもおかしい。どうしてこの子を魔導士の国からわざわざ……と考えを巡らせるガレスだが、答えは神のみぞ知るといったところであろう。考えが煮詰まり、いたちごっこになり始めたころ、ガレスはようやく考えることをやめた。
「となるとそうか……しばらくは俺の家を寝床にするといい。まぁ最初からそのつもりではあったのだが」
「本当ですか!?すごくありがたいです!」
目を爛々と輝かせるレイヴン。彼の中ではやはり、寝床(自分の居場所)がないということが大きな憂いとなっていたのだろう。一気にレイヴンの表情が晴れ渡った。だが、それも束の間、安心しきった顔が曇り始める。
「でも最初からそのつもりだったというのは一体どういう……?」
命の恩人だからといって、最初から全ての信頼を置けというのも無理がある話であるだろう。最初からそのつもりという言葉を聞いて少し不安げになるレイヴン。
「あぁ、紛らわしい言い方をしてしまったな。別に奴隷として売り捌こうとか、取って食おうってわけじゃないから安心してくれ」
「じゃあどうして僕を……?」
「そうだな……。強いて言うならお前を育てたいと思ったからだ。興味を持ったと言い換えてもいいかもしれん」
「ということは……。鍛錬とかさせられるんですか? 僕、鍛え上げられちゃうんですか?」
「お、おお、なんかとてつもなく嬉しそうだな。昨日まで死にかけてたとは思えないぞ」
「あ、すみません。でも僕、修行というか鍛錬みたいなものを一回も受けさせてもらったことがなくて……僕の周りの子達は5歳になると魔法の使い方だったりを教わったりするんですけど……」
(なるほどな)
全身鎧を着るだけあって、ガレスも一端の国民兵である。少年が絶望の淵に立たされていたあの時、あの白く淡いが魔力であると分かったのは、他の誰でもないガレス自身がそれを纏った経験があるからだ。故に、少年が何故魔法を教えてもらえなかったのか、ある程度の推測がついた。
(この子は魔道士の国に生まれながらも、魔力自体は人導士のそれに近い質をしている……。それが貴族達ないしは国民に露呈することを恐れた王が魔力を使わせなかった、ってところかね……。)
「修行するしないで言えば間違いなくするのだが、とりあえずこれだけは言っておくとする。ここは魔道士領じゃなく人導士領だ」
「……………………え???」
レイヴンにとってガレスの一言はとてつもなく強烈なものだったのであろう。レイヴンの時が止まっている。それはもう、どこぞの考える彫刻のように。心臓まで止まってしまっているのではないだろうかというほどには。
「だから、ここは人導士領なんだ。お前さんの生まれ故郷は海の向こうってわけだな」
「海の向こう」
「そう、海の向こうだ。しかしどうやって流れ着いたんだろうな? 普通なら流されてる途中で息絶えそうなもんだが」
「息絶えそう」
「まあ、だから安易にアルカラとかアレイド家とか口にするんじゃないぞ? 誰がどこで聞いてるかわかんないからなぁ……」
「口にしない」
ボフン!
片言を喋ることで状況の整理を図ったレイヴンだったが、頭から排出される煙に従ってついに思考は完全に停止した。
ザバァ……
「落ち着いたか?」
「なんとか……」
頭から煙を出し始めたレイヴンに驚いたガレスは、すぐさまレイヴンに水浴させた。おかげでレイヴンは落ち着き、状況の整理を始めたが、自分の中で理解が進めば進むほど少しずつ気を落としている。
「じゃあ僕は……これからこの家でずっと……?」
理解が進み、真っ先に心配したのは自分の寝床――いや、居場所についてだった。
「この家は嫌か? って、聞くまでもないか」
「いや!この家で暮らすのが嫌って事はなくて……もう帰れないのかなって……」
まだ10歳の少年、いや、子供なのだ。もう家に帰れないかもしれないと知り、ここまで落ち着き払っていることが不思議ですらある。
「……今の魔道士と人導士の関係上お前さんの存在が知れたら戦争もんだろうからな……落ち着くまではこの家で目立たないように暮らすのが一番ではあるだろうな」
「そう……ですよね……」
「そう気を落とすな、一生帰れないってわけじゃないんだから」
「そう……ですよね……!」
「お前さんほんとにわかりやすい性格してるなぁ……」
少し明るさを取り戻したレイヴンに見守るような苦笑を向けるガレス。そんなぽかぽかとした空間が広げられている。しかし、またしばらくして我に返ったガレスが、またもレイヴンの感情を起伏させるような一言を言い放つ。
「とりあえずステータス値でも見てみるか?」
「なんですかすたーてすちって?」
「……予想はしていたさ。うん。そう来ると思ってたよ。」
?マークを顔のありとあらゆるところに貼り付けて首を傾げるレイヴン。
「あとすたーてすじゃなくてステータスな。ステータス値ってのはその人の力だったり魔力だったりを数値化したものなんだが……その様子じゃ当然今までに見た事はないよな?」
レイヴンは首を縦にぶんぶん振って目を輝かせている。好奇心旺盛な年頃だ。こういう大人びていない一面は本当に可愛らしい。
「じゃあ説明するより先に見た方が早そうだな。とりあえず頭をこっちに突き出してくれ。」
言われるがままに頭を突き出すレイヴン。するとガレスが何か呪文と思われる言葉を発し始めた。
「汝の才覚を示し給え【能力開示】」
ガレスが呪文を唱え終わった瞬間、レイヴンの目の前に透明なプレートのような何かが現れた。その透明なプレートは宙に浮いているように見える。
「なに……これ……」
今まで見たことのない不思議な物体に手を伸ばすレイヴン。しかしその手が何かに触ることはなかった。
「え……?触れない……?……ここにあるのに?」
「そいつには触れねえよ。なんでも本人の魔力で編まれたものらしいからな。それに触るには手に魔力でも纏わない限り不可能だと聞いたことがある。というか、実際にそうだ」
納得は出来たが理解は出来ないといった様子のレイヴン。だが、そのプレートになにやら文字が書いてあることに気づくと再び目を輝かせた。見たことがない魔法の世界を突然目の前に繰り広げられれば、興奮しないわけがない。
その光り輝く瞳には純粋な好奇心しか含まれておらず、ガレスは単純な好奇心ほど恐ろしいものを知らない。なぜなら、好奇心というのは知識欲の元となるものであるわけで……
「ガレスさんここに書いてある文字はなに!?一体何が書いてあるの!?数字があるよ数字!なんか数字の右側にも数字が書いてあるし……数字だらけだよ!!僕算数好きだよ算数!魔力属性ってなに!?がいねん……??聞いたことがない言葉だよガレスさん!!この特殊技能とテクネーってのはなに!?特殊技能ってなんかかっこいいね!?かっこよすぎるね!?僕もかっこいい!?ねえガレスさん!!聞いてるの!?朴念仁みたいな顔してないで教えてよ!!あとこのテクネーってのは!?凄く長い文章が書いてあるよ!?魔力を……うーん読めない!!ガレスさん教えてよ!!これ一体何なの!?ねえガレスさんってばぁ!!!!!」
「おちつけぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
レイヴンの怒濤の質問攻め(?)に対してのガレスの応答は勿論大声での諭しである。
「……はっ!僕としたことがつい……ごめんなさい……」
「好奇心ってのは恐ろしい……。人の理性を壊す心理状態としては三大欲求にも引けを取らないものがある。あと途中好奇心とは全く関係ない言葉がちらほら見受けられたんだが……」
「気のせいだと思います。決して僕の心の声なんかじゃありません。」
「心の声なんだな」
顔を真っ赤にしたり真っ青にしたり冷や汗を流したりと豊かな表情を見せるレイヴンをジト目で見つめるガレス。しかし相手は子供なのでガレスも大人げがなかろうと、細めていた目を閉じ、次に改めるようにしてしっかりと開けた。
「とりあえず説明していくからプレートを俺に見せてみろ」
「どうすれば見せられるんですか? これ。僕がそっちに行けばいいんです?」
「いや、自分が動かしたいように動かせるぞ。そのプレートを俺の方まで動かすイメージをしてみろ。」
レイヴンはその言葉を聞くや、すぐさま目を閉じうーんと唸り始める。すると徐々にではあるがプレー
トが動き始めた。それは綺麗な平行軌道を描き、しばらくするとガレスの目の前でぴったりと止まった。その一連の様子を見ていたガレスは感心したようにほぉと息を吐いていた。
「やるじゃないか。最初からこんなに綺麗に動かせる人なんてそうそういないもんなんだぞ?」
「そうなんですか?ひょっとして僕才能あったり……」
「……お前さん以外と自信家だよな。いや悪いことではないんだが……ないんだが……なんというか……いやなんもない」
「えーー! そこまで言ったら話してくださいよぉ!!悪くはないけどなんなんですか!?」
「う、うるせえ!それ以上言うとステータスの説明してやんねえぞ!?」
ガレスがそう言った瞬間、わーぎゃー五月蠅かったレイヴンの表情やら声やらが、突如として止み、真顔に変わる。
「ほんっとに良い性格してんなおい……」
「そんなに褒めてもなにもでませんって///」
何か聞こえた気がしたが、ガレスはそれを無視してレイヴンのステータスを見始めた。
思えば、それが物語の始まりだったのかもしれない。
レイヴンから、レイヴン自身がなぜああなっていたのかについての経緯を聞いたガレスは珍しく頭を抱えていた。
普通に考えてもおかしい。どうしてこの子を魔導士の国からわざわざ……と考えを巡らせるガレスだが、答えは神のみぞ知るといったところであろう。考えが煮詰まり、いたちごっこになり始めたころ、ガレスはようやく考えることをやめた。
「となるとそうか……しばらくは俺の家を寝床にするといい。まぁ最初からそのつもりではあったのだが」
「本当ですか!?すごくありがたいです!」
目を爛々と輝かせるレイヴン。彼の中ではやはり、寝床(自分の居場所)がないということが大きな憂いとなっていたのだろう。一気にレイヴンの表情が晴れ渡った。だが、それも束の間、安心しきった顔が曇り始める。
「でも最初からそのつもりだったというのは一体どういう……?」
命の恩人だからといって、最初から全ての信頼を置けというのも無理がある話であるだろう。最初からそのつもりという言葉を聞いて少し不安げになるレイヴン。
「あぁ、紛らわしい言い方をしてしまったな。別に奴隷として売り捌こうとか、取って食おうってわけじゃないから安心してくれ」
「じゃあどうして僕を……?」
「そうだな……。強いて言うならお前を育てたいと思ったからだ。興味を持ったと言い換えてもいいかもしれん」
「ということは……。鍛錬とかさせられるんですか? 僕、鍛え上げられちゃうんですか?」
「お、おお、なんかとてつもなく嬉しそうだな。昨日まで死にかけてたとは思えないぞ」
「あ、すみません。でも僕、修行というか鍛錬みたいなものを一回も受けさせてもらったことがなくて……僕の周りの子達は5歳になると魔法の使い方だったりを教わったりするんですけど……」
(なるほどな)
全身鎧を着るだけあって、ガレスも一端の国民兵である。少年が絶望の淵に立たされていたあの時、あの白く淡いが魔力であると分かったのは、他の誰でもないガレス自身がそれを纏った経験があるからだ。故に、少年が何故魔法を教えてもらえなかったのか、ある程度の推測がついた。
(この子は魔道士の国に生まれながらも、魔力自体は人導士のそれに近い質をしている……。それが貴族達ないしは国民に露呈することを恐れた王が魔力を使わせなかった、ってところかね……。)
「修行するしないで言えば間違いなくするのだが、とりあえずこれだけは言っておくとする。ここは魔道士領じゃなく人導士領だ」
「……………………え???」
レイヴンにとってガレスの一言はとてつもなく強烈なものだったのであろう。レイヴンの時が止まっている。それはもう、どこぞの考える彫刻のように。心臓まで止まってしまっているのではないだろうかというほどには。
「だから、ここは人導士領なんだ。お前さんの生まれ故郷は海の向こうってわけだな」
「海の向こう」
「そう、海の向こうだ。しかしどうやって流れ着いたんだろうな? 普通なら流されてる途中で息絶えそうなもんだが」
「息絶えそう」
「まあ、だから安易にアルカラとかアレイド家とか口にするんじゃないぞ? 誰がどこで聞いてるかわかんないからなぁ……」
「口にしない」
ボフン!
片言を喋ることで状況の整理を図ったレイヴンだったが、頭から排出される煙に従ってついに思考は完全に停止した。
ザバァ……
「落ち着いたか?」
「なんとか……」
頭から煙を出し始めたレイヴンに驚いたガレスは、すぐさまレイヴンに水浴させた。おかげでレイヴンは落ち着き、状況の整理を始めたが、自分の中で理解が進めば進むほど少しずつ気を落としている。
「じゃあ僕は……これからこの家でずっと……?」
理解が進み、真っ先に心配したのは自分の寝床――いや、居場所についてだった。
「この家は嫌か? って、聞くまでもないか」
「いや!この家で暮らすのが嫌って事はなくて……もう帰れないのかなって……」
まだ10歳の少年、いや、子供なのだ。もう家に帰れないかもしれないと知り、ここまで落ち着き払っていることが不思議ですらある。
「……今の魔道士と人導士の関係上お前さんの存在が知れたら戦争もんだろうからな……落ち着くまではこの家で目立たないように暮らすのが一番ではあるだろうな」
「そう……ですよね……」
「そう気を落とすな、一生帰れないってわけじゃないんだから」
「そう……ですよね……!」
「お前さんほんとにわかりやすい性格してるなぁ……」
少し明るさを取り戻したレイヴンに見守るような苦笑を向けるガレス。そんなぽかぽかとした空間が広げられている。しかし、またしばらくして我に返ったガレスが、またもレイヴンの感情を起伏させるような一言を言い放つ。
「とりあえずステータス値でも見てみるか?」
「なんですかすたーてすちって?」
「……予想はしていたさ。うん。そう来ると思ってたよ。」
?マークを顔のありとあらゆるところに貼り付けて首を傾げるレイヴン。
「あとすたーてすじゃなくてステータスな。ステータス値ってのはその人の力だったり魔力だったりを数値化したものなんだが……その様子じゃ当然今までに見た事はないよな?」
レイヴンは首を縦にぶんぶん振って目を輝かせている。好奇心旺盛な年頃だ。こういう大人びていない一面は本当に可愛らしい。
「じゃあ説明するより先に見た方が早そうだな。とりあえず頭をこっちに突き出してくれ。」
言われるがままに頭を突き出すレイヴン。するとガレスが何か呪文と思われる言葉を発し始めた。
「汝の才覚を示し給え【能力開示】」
ガレスが呪文を唱え終わった瞬間、レイヴンの目の前に透明なプレートのような何かが現れた。その透明なプレートは宙に浮いているように見える。
「なに……これ……」
今まで見たことのない不思議な物体に手を伸ばすレイヴン。しかしその手が何かに触ることはなかった。
「え……?触れない……?……ここにあるのに?」
「そいつには触れねえよ。なんでも本人の魔力で編まれたものらしいからな。それに触るには手に魔力でも纏わない限り不可能だと聞いたことがある。というか、実際にそうだ」
納得は出来たが理解は出来ないといった様子のレイヴン。だが、そのプレートになにやら文字が書いてあることに気づくと再び目を輝かせた。見たことがない魔法の世界を突然目の前に繰り広げられれば、興奮しないわけがない。
その光り輝く瞳には純粋な好奇心しか含まれておらず、ガレスは単純な好奇心ほど恐ろしいものを知らない。なぜなら、好奇心というのは知識欲の元となるものであるわけで……
「ガレスさんここに書いてある文字はなに!?一体何が書いてあるの!?数字があるよ数字!なんか数字の右側にも数字が書いてあるし……数字だらけだよ!!僕算数好きだよ算数!魔力属性ってなに!?がいねん……??聞いたことがない言葉だよガレスさん!!この特殊技能とテクネーってのはなに!?特殊技能ってなんかかっこいいね!?かっこよすぎるね!?僕もかっこいい!?ねえガレスさん!!聞いてるの!?朴念仁みたいな顔してないで教えてよ!!あとこのテクネーってのは!?凄く長い文章が書いてあるよ!?魔力を……うーん読めない!!ガレスさん教えてよ!!これ一体何なの!?ねえガレスさんってばぁ!!!!!」
「おちつけぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
レイヴンの怒濤の質問攻め(?)に対してのガレスの応答は勿論大声での諭しである。
「……はっ!僕としたことがつい……ごめんなさい……」
「好奇心ってのは恐ろしい……。人の理性を壊す心理状態としては三大欲求にも引けを取らないものがある。あと途中好奇心とは全く関係ない言葉がちらほら見受けられたんだが……」
「気のせいだと思います。決して僕の心の声なんかじゃありません。」
「心の声なんだな」
顔を真っ赤にしたり真っ青にしたり冷や汗を流したりと豊かな表情を見せるレイヴンをジト目で見つめるガレス。しかし相手は子供なのでガレスも大人げがなかろうと、細めていた目を閉じ、次に改めるようにしてしっかりと開けた。
「とりあえず説明していくからプレートを俺に見せてみろ」
「どうすれば見せられるんですか? これ。僕がそっちに行けばいいんです?」
「いや、自分が動かしたいように動かせるぞ。そのプレートを俺の方まで動かすイメージをしてみろ。」
レイヴンはその言葉を聞くや、すぐさま目を閉じうーんと唸り始める。すると徐々にではあるがプレー
トが動き始めた。それは綺麗な平行軌道を描き、しばらくするとガレスの目の前でぴったりと止まった。その一連の様子を見ていたガレスは感心したようにほぉと息を吐いていた。
「やるじゃないか。最初からこんなに綺麗に動かせる人なんてそうそういないもんなんだぞ?」
「そうなんですか?ひょっとして僕才能あったり……」
「……お前さん以外と自信家だよな。いや悪いことではないんだが……ないんだが……なんというか……いやなんもない」
「えーー! そこまで言ったら話してくださいよぉ!!悪くはないけどなんなんですか!?」
「う、うるせえ!それ以上言うとステータスの説明してやんねえぞ!?」
ガレスがそう言った瞬間、わーぎゃー五月蠅かったレイヴンの表情やら声やらが、突如として止み、真顔に変わる。
「ほんっとに良い性格してんなおい……」
「そんなに褒めてもなにもでませんって///」
何か聞こえた気がしたが、ガレスはそれを無視してレイヴンのステータスを見始めた。
思えば、それが物語の始まりだったのかもしれない。
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