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ずっと二人で *R18

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布ズレの音と二人の吐息、淫らな水音が腰に響き、体の奥に溜まった熱がどんどん膨れ上がっていく。

子供の頃からずっと一緒にいた泣き虫の男の子は、いつの間にか私よりも逞しく、大きくなった体で私を組み敷き、一糸纏わぬ私の体を貪っている。


「あ、あ……エゼル……ああっ、エゼル!それダメ!やっ……おかしくなる……っ」

「可愛いな、ブリジット……これ気持ちいい?」


私の足の間に陣取っているエゼルは、指の腹でくるくると円を描くように花芯を撫でまわし、もう片方の手は蜜口に指を入れて私の中を優しくほぐしている。

そして指をくの字に曲げ、花芯の裏側をグリグリと撫でまわした。外側と内側から同時に敏感な部分を刺激され、強い快感が私を襲う。


「やあっ、それ無理っ!イッちゃ……イっちゃうから!」

「イっていいよ。もっと俺の手で乱れて沢山鳴いて?」


蕩けたような甘い声でそう呟くと、エゼルは私の胸の先端に口を寄せ、しゃぶりついた。


「やっ、エゼル!!」


吸いながら舌で先端を嬲られ、もう片方の胸も揉しだかれ、時折指で先端を弄ばれる。

私の中を掻き回す指と激しい胸の愛撫に、体の奥から押し寄せる快感の波が弾け、頭が真っ白になった。

瞼の裏がチカチカと点滅し、体が勝手にビクビクと痙攣する。



「ああ、可愛い……ごめんブリジット、俺もう限界っ」


ギュッと私を強く抱きしめると、エゼルが私の秘部に固くなった怒張を何度も擦り付ける。


「あ、あっん……ひあっ」

「ブリジット……痛いかもしれないけど、もう挿れてもいい? 我慢できない……っ」


切羽詰まったような声が耳元で響く。
その声だけで感じてしまい、反射的に腰が浮いた。

心の底から私を欲しがる切ない声に、胸がキュンと締め付けられ、下腹部が疼く。


私も欲しい。

エゼルの全部が欲しい。


苦しそうな顔をしているエゼルを抱き寄せ、私から口付けた。彼を求めるように舌を絡め、両足をエゼルの腰に巻き付ける。


「ブリジット……っ」

「いいわ、エゼル。来て」

「……っっ」

「あああっ」



ズンっと下腹部に衝撃が走る。

ミチミチと狭路をこじ開けながらエゼルの怒張が一気に私を貫き、その圧迫感に息が止まる。


「ごめんっ、ブリジット……痛いか?」

「ん……はあっ、はあ……ん、大丈夫。圧迫感が……すごいけど、そこまで痛くないよ。だから、動いて大丈夫」

「うん……ゆっくり、動くから」


そう言ってゆっくりとエゼルが私の中から出たり入ったりと、ゆるやかな律動を繰り返す。

エゼルが沢山ほぐしてくれたから、痛みはないけど内臓を押し上げられているような感覚がまだ慣れない。


「ああっ……ブリジット……くっ、力抜いてくれ……っ。そんな吸い付かれたら俺が持たない……っ」

「む、無理……っ、やり方、わからな……っ」


前世で経験あるとはいえ、そんな遥か昔のことなんて覚えてないし、今の私はついさっきまで処女だったのだから、力の加減なんて高度なことは出来ない。

すると何かを堪えるように深呼吸をしたエゼルが顔を寄せ、私をあやすように何度も口付け、舌を絡めた。

そして深く口付けたまま結合部の上で主張したままの花芯を親指で弄られ、その突き抜けるような快感に腰が震える。


エゼルの口付けと花芯への刺激に気を取られていると、最初よりもスムーズに律動が行われ、次第に速度を増していった。

ギラギラとした瞳で私を揺さぶるエゼルの色気に、クラクラする。

「愛してる」と何度も繰り返し囁きながら、その燃えるような独占欲で私の体中に所有印を落とし、身も心も自分の色に染めようとする。



そんな強い愛を、私は一晩中この身に受けた。



とても、心が満たされた夜だった。










気づけば、もう夜空が白みがかっている。

エゼルの腕の中で微睡みながら、どうして私が前世の記憶を持って生まれたのかを、ふと考えた。

香澄の記憶があるせいで、私はずっと生きづらかった。なかなか人の愛情を素直に受け取ることが出来ず、大人ぶった可愛くない子供だったと思う。

でもエゼルはそんな私に救われたと言った。

私がいなければ、卑屈になってろくでもない人間になっていたと──。


『ブリジットだけは、魔術師の素質がない俺を憐れまず、そのままの俺を見てくれた。そして俺でも知らなかった能力を引き出してくれた。人間不信だった俺に人を好きになる気持ちを教えてくれた。今の俺を作ったのは間違いなくブリジットだよ。だからお前は俺にとってずっと特別な女だった。俺のすべてだった』


想いが通じたばかりの頃、私のどこを好きになったのかと聞いた時に言われたこと。

そんな大それたことをした覚えはなかったけれど、エゼルにとっては救いだったという。



だとしたら、私が前世の記憶を持って生まれたことも意味があったのだと思えた。むしろエゼルを助けるためだったのかもしれないとさえ思えた。

たとえ神様の気まぐれで、何の意味もなかったとしても、そう思っている方が私も救われる。


だって目の前のエゼルが幸せそうだから──。


誰がどう言おうと、エゼルのその表情が答えなのだ。




「何を考えてる?」


私の髪を指にくるくると巻き付けながらエゼルが問う。


「何で私は前世の記憶を持って生まれたのかなって」

「哲学的だな。……それで? 答えはわかったのか?」

「うん。きっとエゼルと出会うためだったんだなって。エゼルとこうしてずっと一緒にいるために、前世の記憶が必要だったのかなって──今はそう思う」


エゼルは私の出した答えを聞いて数秒目を見開くと、くしゃりと泣きそうな笑顔を浮かべ、私を強く抱きしめた。


「お前は俺を悶え死にさせるつもりか」

「何よそれ」


クスクスと笑いながら、私の肩口に甘えるように顔を埋めている夫の頭を撫でる。


「好きだ……ブリジット。死ぬほど好きだ。愛してる」

「うん。私も愛してる。私の身も心も全部、エゼルのものだよ」


本心を伝えると、エゼルはゆっくりと顔を上げ、本当に嬉しそうに、幸せそうに微笑んだ。


顔中に降り注ぐキスの雨に酔いしれながら、愛する夫の腕の中で再び微睡む。




「俺と出会ってくれてありがとう、ブリジット。今までも、これからも。俺たちはずっと一緒だ」

「うん」




今度こそ、愛する人と幸せになりたい。

香澄の時には掴めなかった幸せを、エゼルとならきっと掴めると信じてる。



「二人で、幸せになろうね」



睡魔に襲われながら、愛しい夫の温もりと香りに包まれ、私の意識は夢の中へと旅立った。







──────────────────────

次回最終話です。
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