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第三章 〜魔力覚醒 / 陰謀〜

54. 勅令と再会

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「ノア、マルク。命令だ。お前達はエイダン達とバレンシア王国へ行き、隣国と邪神教の繋がりと目論見を探れ。そしてヴィオラとクリスフォードの2人を守れ」

「「 御意 」」



ノアと、彼と一緒に入室して来た裏皇家のナンバー2が胸に手を当て、頭を下げる。



「これから宰相や大臣達を集めて緊急会議を行う。レオンハルト、お前も出ろ。ザックは引き続き国内の邪神教の奴らの動きを探れ。ノア達がバレンシアにいる間の裏皇家の采配はお前に任せる」

「「 御意 」」


レオンハルトとザックと呼ばれる裏皇家ナンバー3も続いて皇帝に頭を下げる。


そして皇帝はエイダンに視線を合わせた。


「お前に聞きたい。バレンシアの中でこの件を話せる者はいるか?」


エイダンは息を飲んだ。

皇帝のそれは言外に、我が国の王は信用できないという事だ。でなければ自分にこんな質問はしないだろう。


───正直、自分から見てもバレンシア王はその器にないと言うのがエイダンの評価だった。日和見で有力貴族の発言に左右され易く、臆病な性格だ。

常に暗殺などに怯え、エイダンをはじめ、複数人の侍医と治癒魔法士を抱えこんでいる。


邪神教の話をした所で恐らくあの方には対応できず、周りに投げるだけでその後に待っているのは最悪な結果しか思い浮かばない。

この話は絶対にマッケンリー公爵の耳に入れてはならないからだ。


皇帝は、それを踏まえてエイダンに聞いている。

皇帝といえど隣国に簡単に口出し出来ない。だが邪神教とマッケンリー公爵の癒着があるかぎり、バレンシアの有力貴族にも協力者がいないと捜査が思いの外進まない。


そうなると頼れるのは────、




「王太子殿下なら、力になってくれるかと」


彼は有力貴族に振り回される父親を危惧している。

貴族に寄りがちな権力を再び王家に戻し、貴族社会の腐敗を一掃したいと考えているだけに、むしろ王太子の方が暗殺の危険に晒されているのだから。




「説得を頼めるか?」


「はい。どのみち私達も彼に協力を仰がないと反乱分子として処刑されかねませんから」

「そちらの件も魔道具を使って事を進めてくれて構わない。必ず冤罪を晴らせよ」


「承知しました。お心遣い感謝致します」









そして各々の役割が決まり、帰国の目処が立った頃、

ヴィオラ達が宿泊している宿にレオンハルトがいつものように先触れもなく、許可も無しに訪ねてきた。



「やあやあやあ!エイダン!双子達!元気にしていたかい?」



「お前はまた勝手に・・・・・、今度は何だ?鑑定魔法の改訂版がもう出来たのか?」

「ぎくっ。・・・それはあと少しだけ待ってよ。あと少しで何とかしそうだから。ジルが」

「お前じゃないのか」


「団長様は忙しいんです~!───今日はお前に会わせたい奴がいるんだよ。やっとひと段落して面会の目処がついたからな」


「ああ、前に言っていた奴か」



レオンハルトが開け放たれた扉の外に視線を向け、「入れ」と声をかけると、数秒の間があってからゆっくりと1人の男性が入ってきた。



彼の持つその色に、ヴィオラ達と、エイダンも目を見開いて驚く。


年齢は父と同じくらいで、ストレートな黒髪の短髪にアメジストの瞳を持つ男性が目の前にいる。


この部屋に同じ色を持つ人間が、3人もいるのだ。驚いても仕方ないだろう。



何より、1番驚愕しているのは父エイダンだった。







「お久しぶりです。────兄上」




「・・・・・────アルベルト・・・」




彼の名を、父が小さな声で呼んだ。



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