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第12章 故郷の土
脱出する
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火に包まれつつある甚兵衛に家を半蔵たちが出て行った。
「一体、どういうことだ! 説明しろ!」サンハ取締官は訳がわからずただ叫んだ。しかし半蔵たちは戻って来なかった。仕方がないので外に出てみると、そこに待たせておいた取締官のバイオノイドはすでに倒されたらしくその姿はなかった。代わりにそこには別のバイオノイドが待ち構えていた。それはヤゴール人のバイオノイドだった。
そのバイオノイドはいきなり斬りかかってきた。半蔵は何とか避けて後ろに下がった。サンハ取締官は甚兵衛が押さえてその後ろに下がらせていた。
(まずい。取締官に見られてはレーザー刀や電子手裏剣を使えない。甚兵衛も短刀と手裏剣だけが頼りだ。)半蔵は思った。取締官の方を見たが、彼はただ震えているだけで役に立ちそうにもなかった。また家は火に包まれており、戻って籠城するわけにもいかなかった。
半蔵はバイオノイドが斬りかかってくるところを何とかその剣を押さえ、思いっきりその手をはたいた。するとバイオノイドが剣を落とした。
「しめた!」半蔵は飛び込んでその剣を素早く拾うと、そのままバイオノイドを突き刺した。そして立ち上がると向かってくるバイオノイドに剣で斬りつけていった。
その後ろで甚兵衛はバイオノイドの攻撃を短刀で防いでいた。
「甚兵衛! 大丈夫か!」
「正介様。お逃げください。ここは私が防ぎます。」甚兵衛は声を上げた。そして後ろに下がると懐を探り、煙玉を取り出すと地面に投げつけた。
「ボン!」大きな音がして煙が辺りを隠した。
「あなたも逃げるのじゃ。」甚兵衛はサンハ取締官を前に押し出した。半蔵は彼を引っ張るようにしてその場を逃れた。その姿をかすかに感知してバイオノイドが追おうとしたが、その前に短刀を構えた甚兵衛が立ちふさがった。
「逃がすな!」ザールの声にバイオノイドが向かって来たが、甚兵衛は手裏剣を次々に投げた。バイオノイドはひるんで後ろに下がった。
(儂が時間を稼いでいる間に遠くにお逃げください。そして後を頼みます・・・)手裏剣を投げつくした甚兵衛は短刀でバイオノイドに飛び掛かっていった。
少しばかり走って半蔵とサンハ取締官は岩陰に隠れた。サンハ取締官は「はぁはぁ・・・」と息を切らせていた。
「大丈夫ですか?」半蔵は声をかけた。
「ああ。大丈夫だ。しかしいったいこれは何なんだ!」サンハ取締官は何とか声に出した。
「あれはヤゴール星人のバイオノイドです。この里の下に眠る鉱物を手に入れようと襲って来たのです。」半蔵は言った。
「そうか! それは一大事だ。取締局に知らせねば・・・」取締官は通信機を手に取ったが通じなかった。ここはもう妨害電波が張られているようだった。
「だめだ。通じない。こうなったらこのままこの里を脱出して連絡を取ろう。」サンハ取締官は言った。
「そうですね。それがいい。」半蔵は言った。しかし、
(里から出る道はすべて閉鎖されているだろう。隠し道を含めて。さてどうするべきか・・・)と考えを巡らしていた。
「一体、どういうことだ! 説明しろ!」サンハ取締官は訳がわからずただ叫んだ。しかし半蔵たちは戻って来なかった。仕方がないので外に出てみると、そこに待たせておいた取締官のバイオノイドはすでに倒されたらしくその姿はなかった。代わりにそこには別のバイオノイドが待ち構えていた。それはヤゴール人のバイオノイドだった。
そのバイオノイドはいきなり斬りかかってきた。半蔵は何とか避けて後ろに下がった。サンハ取締官は甚兵衛が押さえてその後ろに下がらせていた。
(まずい。取締官に見られてはレーザー刀や電子手裏剣を使えない。甚兵衛も短刀と手裏剣だけが頼りだ。)半蔵は思った。取締官の方を見たが、彼はただ震えているだけで役に立ちそうにもなかった。また家は火に包まれており、戻って籠城するわけにもいかなかった。
半蔵はバイオノイドが斬りかかってくるところを何とかその剣を押さえ、思いっきりその手をはたいた。するとバイオノイドが剣を落とした。
「しめた!」半蔵は飛び込んでその剣を素早く拾うと、そのままバイオノイドを突き刺した。そして立ち上がると向かってくるバイオノイドに剣で斬りつけていった。
その後ろで甚兵衛はバイオノイドの攻撃を短刀で防いでいた。
「甚兵衛! 大丈夫か!」
「正介様。お逃げください。ここは私が防ぎます。」甚兵衛は声を上げた。そして後ろに下がると懐を探り、煙玉を取り出すと地面に投げつけた。
「ボン!」大きな音がして煙が辺りを隠した。
「あなたも逃げるのじゃ。」甚兵衛はサンハ取締官を前に押し出した。半蔵は彼を引っ張るようにしてその場を逃れた。その姿をかすかに感知してバイオノイドが追おうとしたが、その前に短刀を構えた甚兵衛が立ちふさがった。
「逃がすな!」ザールの声にバイオノイドが向かって来たが、甚兵衛は手裏剣を次々に投げた。バイオノイドはひるんで後ろに下がった。
(儂が時間を稼いでいる間に遠くにお逃げください。そして後を頼みます・・・)手裏剣を投げつくした甚兵衛は短刀でバイオノイドに飛び掛かっていった。
少しばかり走って半蔵とサンハ取締官は岩陰に隠れた。サンハ取締官は「はぁはぁ・・・」と息を切らせていた。
「大丈夫ですか?」半蔵は声をかけた。
「ああ。大丈夫だ。しかしいったいこれは何なんだ!」サンハ取締官は何とか声に出した。
「あれはヤゴール星人のバイオノイドです。この里の下に眠る鉱物を手に入れようと襲って来たのです。」半蔵は言った。
「そうか! それは一大事だ。取締局に知らせねば・・・」取締官は通信機を手に取ったが通じなかった。ここはもう妨害電波が張られているようだった。
「だめだ。通じない。こうなったらこのままこの里を脱出して連絡を取ろう。」サンハ取締官は言った。
「そうですね。それがいい。」半蔵は言った。しかし、
(里から出る道はすべて閉鎖されているだろう。隠し道を含めて。さてどうするべきか・・・)と考えを巡らしていた。
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