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神社実習
壱
しおりを挟む「────あっ、巫寿やっと帰ってきた! こっちこっち~」
始業祭の前日。学校へ向かう一番最後の便の車に乗って寮へと帰ってきた私は部屋に荷物を置いて広間へ顔を出した。
丁度夕飯の時間で、たくさんの生徒が冬休みの思い出を語りながら夕食を食べていた。
名前を呼ばれてキョロキョロと見渡すと、広間の真ん中の方に皆がいた。手を振り返して歩み寄る。
「遅いから明日が始業祭だって忘れてんのかと思ったぞ~」
「何かあったの?」
「お兄さんまだ体調悪いのか?」
みんなのそんな質問に苦笑いを浮かべる。
「その正反対だよ。もう元気満々で鬱陶しいくらい。今日だって本当は昼の便で帰ってくる予定だったのに、一緒に晩御飯食べたいってごねちゃって」
二学期の奉納祭に来ていたお兄ちゃんの様子を見ていた皆は、なんだそう言うことかと納得したように頷く。一度会っただけで重度のシスコンだとバレるお兄ちゃんもどうかと思う。
溜息をつきながら来光くんの隣に腰を下ろした。
「あ、巫寿ちゃん。改めて、あけましておめでとうございます。年賀状ありがとう」
「あっ、あけましておめでとうございます。来光くんも皆も、年賀状ありがとう」
ほだかの社でのアルバイトが終わってお兄ちゃんと実家へ帰ると、郵便受けには皆からの年賀状が届いていた。
私もほだかの社から送ったけれど、無事みんなの元に届いていたらしい。
「冬休みどうしてた?」
そう尋ねられて肩をすくめる。
「アルバイトが終わったあとは、実家に帰ってたよ。ずっとゴロゴロしちゃってた」
「あはは、みんな似たような感じなんだね」
「年末年始は朝から晩まで無給でこき使われてんだぞ!? 休みの日くらいゆっくりしたいじゃん! 来光はいいよな、ゆっくりできてさぁ」
日曜日のお父さんじゃん、と嘉正くんが突っ込む。
「僕だってずっとゴロゴロしてた訳じゃないんだからね! 昇階位試験の勉強で忙しかったんだから」
「や、やめろよまだ三学期も始まってないのに! 頭痛くなるだろ!」
「そそそ、そうだぞ来光! 考えるのは三日前からだろ!?」
慶賀くんと泰紀くんはお互いを抱きしめながら顔を強ばらせてそう叫ぶ。
そういえば、年越しの電話でもそんなことを話していたっけ。昇階位試験か。
「試験まであと三ヶ月もないからね。俺もそろそろ対策始めた方がいいかなぁ」
嘉正くんがそう呟いて、二人はいっそう戦いた。
私たちが通う神役修詞高等学校、通称神修は普通の高校とは少し違う。
表向きは神道系の宗教学校として設立されているが本来の姿は、"言霊の力"と呼ばれる口に出した言葉をその言葉通りに操ることが出来る力を持つ学生が、その力の使い方を学ぶ場所だ。
その学習成果を測るのが学年末に行われる昇階位試験で、私たちはその試験で直階の四級を取得するのが進級の条件になっている。
平たく言うと直階四級に合格しなければ留年ということだ。
「巫寿って出仕も同時受験するんだっけ?」
「そうなの。出仕が受からなきゃ直階に受かっても合格にならないって薫先生から言われて、不安で……」
直階の一つ下の階位である出仕は、本来なら神修の中等部を卒業する段階で試験を受けて取得する。高等部から入ってきた私は出仕の階位を持っていないので、同時受験することになったのだ。
「大丈夫だよ、出仕の試験は名前書いて出せば受かるって言われてる────はずなんだけど、不合格で追試受けた奴らが二人いたな……」
嘉正くんは呆れた目で慶賀くんと泰紀くんを見る。どうやら去年二人は試験に落ちて追試を受けたらしい。
「あれのどこが"名前書いて出せば受かる"内容なんだよ!」
「そうだよ! 先輩も先生もみんなそう言うから信じて名前書いて出したのに!」
「その件に関しては俺も悪かったと思ってる。まさかクラスメイトがそこまで馬鹿だったとは思ってなくて。あの時俺がちゃんと勉強しろって伝えとけば良かったね」
申し訳なさそうに微笑んだ嘉正くん。そうだよ嘉正、と二人が唇をとがらせる。
二人は気づいてないみたいだけど、嘉正くんさらりと貶してない?
「まあでも出仕は暗記したことそのまま書くだけだから、しっかり対策してれば落ちることなんてないよ。最悪、出仕だけは毎年絶対に追試してくれるから安心していいと思う」
そうなんだ、と少し肩の荷が降りる。
でも出仕は安心できたとしても、問題は四級の試験だ。階位は座学試験だけだけれど、階級は実技試験になる。
「実技試験怖いよね……。どんな事するんだろ」
来光くんが青い顔でため息を吐く。やめろー!それ以上は言うなー!と慶賀くんが頭を抱えたその時、
「どうしたの? 皆して青い顔して」
「元気だったか一年ズ!」
「どうせ学年末の昇階位試験のことだろ」
「もしくは神社実習だな」
皆して振り返り、見上げた先にいた人たちに「あっ」と声を上げる。二年生の先輩達が夕飯を乗せたお膳を持ってそこに立っていた。
「聖仁さん! 頼むよ聖仁さん、去年の過去問教えて~!」
泣きついた慶賀くんに聖仁さんは「やれやれ」と肩をすくめる。
榊聖仁さん、私が所属する神楽部の部長で二学期は幾度となくお世話になった。
「巫寿、年賀状ありがとな!」
「瑞祥さんのも届いてました……! ありがとうございます」
私の隣に座ったのは高い位置で結った一つ結びが良く似合う、同じく神楽部の先輩で副部長の夏目瑞祥さん。
「瑞祥足開いて座らない」「分かってるってば」「言われる前に閉じなさい」「ひひひ、どこ見てんだよ聖仁の助平~」そんなやり取りを繰り広げる聖仁さんと瑞祥さんをにやけそうになりながら見守る。
私と私の親友恵理ちゃんは、この二人の仲を色々と勘繰っている最中だ。変に邪魔はしたくないので、誰かに話したりはせずにこっそり見守ろうと心に決めている。
「そういえば鶴吉も四級の試験、ギリギリで合格だったよな」
「後輩の前でそれ言うなよ亀世~。だって自分で作った祝詞を試しちゃ駄目なんて最初の説明では言ってなかっただろ?」
顔がそっくりなこの二人も同じく二年生の先輩だ。
眼鏡をかけた小柄な彼女が飛鳥馬亀世さん、背が高く人懐っこい顔の彼は飛鳥馬鶴吉さん。この学校では珍しい双子の学生だ。
この二人とは二学期に色んなことがあったおかげで親しくなった。
「二年はいいよなぁ、階級試験だけに集中出来るじゃん」
慶賀くんが不貞腐れたようにそう言う。
二年生の進級条件は直階三級の取得、一年生で直階を既に取得しているので三級の実技試験だけ受ければいいらしい。
「三級の実技から一気に難しくなるんだよ」
「とかいいつつ聖仁さん権正階二級持ってんじゃん! 優秀じゃん聖人じゃん!」
「そうだそうだ。言ってやれ慶賀。お前はサイヤ人だって」
「亀世? なんか最後の方余計なの聞こえたけど」
わいわいと盛り上がる皆に「また学校が始まるんだな」と改めて実感する。三学期は学校行事も沢山あるし、忙しくなりそうだ。
「────ねぇ皆待ちに待った三学期だよ? ほらほら元気だしてよ」
始業祭の後の教室でのホームルーム、薫先生はやけにテンション高くそう言った。
「全然待ってねぇよ~。冬休み短すぎだし~」
「あはは、実家にいたところで社の手伝いさせられるだけでしょ? 学校の方が楽しいって。なんせ三学期は、これがあるしね」
これ?と私が聞き返すと、薫先生は「隣に回して~」と一枚のプリントを渡した。自分の分を取って隣の来光くんに渡す。
一行目にポップな書体で書かれた「神社実習のお知らせ」の文字に、「あ」と声を上げる。少し前から皆との会話に何度か上がっていたワードだ。
「薫先生俺らの実習先どこ!?」
「まねきの社は嫌だ、まねきの社は嫌だ……」
プリントには目もくれず身を乗り出してそう尋ねる慶賀くんに、顔の前で指を組んで祈りを捧げる泰紀くん。薫先生は「今年の実習先は~……」と言葉を濁しセルフでドラムロールを奏でる。
もう一度プリントに目を落とした。
ざっと上から読んで見ると、どうやら2ヶ月間に渡って行われる課外活動のようだった。
高等部の三学年は毎年一月中頃から三月上旬までの約二ヶ月間、各地の色んな社へ赴いて実際に神職として奉仕する「神社実習」という行事があるらしい。その間は実習先の社に泊まり込みになり、一日八時間きっちり奉仕活動を行うのだとか。
学校の外、しかも泊まりがけでの課外授業は初めてだ。何だか面白そう。
「ねぇ来光くん、どうして皆まねきの社は嫌なの?」
「せっかくシャバに出れるんだよ!? 巫寿ちゃん、いつもの寮で寝ていつも見てる社で奉仕したい!?」
来光くんの目が血走っている。
シャバってと苦笑いを浮かべる。
確かに折角そういう行事があるなら、いつも見ているまねきの社よりも他の社で奉仕したい。
まだドラムロールを続ける薫先生を見上げる。
「今年の『アースウォーメンJr』のシーズン3、公開初日に観に行きたい!」
「何でもいいから放課後に街で遊びてぇ! ゲーセン行きたい!!」
「新鮮なフルーツ買ってケーキ焼きたい!!」
なるほど、場所によっては近くの街にも気軽に行けると言うわけだ。
寮は門限が決まっていて、それまでに帰ってくることが出来るのであれば平日の外出も問題ない。けれど学校は山の中腹にあって、麓まで降りるのにはかなり時間がかかる。
バスなんて通っている訳もなく、唯一の交通手段である御神馬さまが引く車は学校と各地の社を繋ぐだけ。しかも気まぐれな御神馬さまはいつも行き先がバラバラで、乗っても降りたい場所で降りれる確率は限りなく低い。
それを思うと、休みの日でもなかなか外出しようという気になれないのだ。
学校外ともなればその縛りからも解放されて、奉仕後は普通の高校生のように街に繰り出すことも出来るというわけか。
早く早く、と皆からのブーイングを受けて薫先生は「ジャジャン!」と声を上げた。
「今年の一年生はまなびの社に決まりました! 喜べ若人!」
「しゃぁああッ!」
「京都キタァア!」
「都会! 都会~~っ!!」
あまりのみんなの喜びように驚く。
"まなびの社"。社史の授業では習っていないからそれほど大きな社では無さそうだ。場所は京都にあるらしい。京都は昔家族旅行で一度行ったことがあるらしい。
らしい、というのも私は幼かったのであまり記憶が無く、実家のアルバムにある写真で知ったからだ。
騒ぐみんなを呆れた目で見ている嘉正くんに尋ねた。
「ねぇねぇ嘉正くん。その"まなびの社"ってどんなお社なの?」
「えっと、まなびの社────愛日神社は江戸時代初期頃に建てられた比較的若いお社で、御祭神は愛志鳴菊良比売。今は花幡家が管轄していたはずだよ」
澱みなく答えた嘉正くんに感心のため息をつく。聞いていた薫先生も「よく勉強してるね~」と嬉しそうに頷いた。
「まなびの社は有名なお社なんですか?」
手を挙げて質問すれば、薫先生は「うーん、ある意味有名かな」と意味深な言い方をする。
ある意味有名? 一体どういうことだろう?
「まなびの社は────先代の審神者さまのご実家だからね」
先代の審神者、ほだかの社で見たアルバムの中の志ようさんが脳裏に浮かぶ。
なぜだろう、急に胸が騒ぎ出す。
「あはは、そろそろ静かにして。はいはーい、先生に注目!」
手を打った薫先生を皆が見上げる。
「という訳で、君らには"まなびの社"へ神社実習に行ってもらうよ。昇階位試験前の大事な二ヶ月、しっかり実技を学んでおいで」
ほだかの社で見たアルバム、まなびの社での神社実習、先代の審神者志ようさんが幼少期をすごした社。
胸がざわざわする。
パズルのピースがひとつずつはまっていくような、物語の筋道を辿っているような、敷かれた線路を歩いているような、そんな気がした。
三学期の初日は始業祭と簡単なホームルームで解散になった。
早速実習の期間でどこに遊びに行くのか話し始めた皆を横目に、教卓の上に並べられた冬休みの宿題を整える。薫先生から各科目の先生の研究室へ運ぶよう頼まれたのだ。
全員分揃っているか確認していると「おい」とぶっきらぼうな物言いで話しかけられる。振り返ると同時に一冊足りていなかった「憑物呪法」のノートが差し出された。
「恵衣くん」
涼し気な目に少し硬質な黒髪の仏頂面の男の子は、クラスメイトの京極恵衣くんだ。
「……名前書くの忘れてたから」
ノートをぐいと差し出す。書道のお手本のような綺麗な時で名前が書かれている。
そう言えば恵衣くんからも達筆な字で書かれた年賀状が届いていたなと思い出す。
「そう言えば年賀状ありがとう。届いてたよ」
「……お前頭大丈夫か?」
「え?」
いくつか考えていた返答のどれにも当てはまらず、間抜けな声が出る。
「住所書いて出してんだから届くに決まってるだろ」
「あ、え? あの……うん、そうなんだけど」
ごもっともな言い分だけれど、それにしても言い方が酷い。
一、二学期と過ごしてきて恵衣くんのことが何となく分かってきた。恵衣くんは口が悪い、言葉選びはもっと悪い。典型的な口下手で損をするタイプの人だ。
誤解を受けるような言い方しか出来ないようで、周りに反感を買うこともしばしばある。本人はそれに自覚がないので尚更厄介だ。
ため息をつけば怪訝な顔で見下ろされる。
「何だよ」
「……もっと柔らかい言葉にしないと、勘違いされちゃうよ」
「関係ないだろ」
苦い顔をした恵衣くんが ノートを勢いよく一番上に重ねた。その衝撃で集めた課題がバサバサと床に落ちていく。
あ、と声を上げる。
落ちた課題と私の顔を交互に見てひどく面倒くさそうに息を吐いた恵衣くんがその場にしゃがんだ。
テキパキと集めて私の手から全部ひったくるとスタスタと教室の扉へ歩き出す。
「え、恵衣くん……!」
「お前鈍臭い。また落としてなくされたら迷惑だ。俺が行く」
「でも、私が頼まれたから……」
そもそも今落としてしまったのはほぼ恵衣くんのせいなのに。
そんなことを言えば睨まれるのが分かっているのでぐっと飲み込んで手を差し出す。
私には目もくれずスタスタと歩いていく恵衣くんの背中を追いかける。階段の前まで追いかけたところで恵衣くんが足を止めて振り返った。
「何なのお前。俺が行くって言ってんだろ」
「でも私が任された仕事なのに、申し訳ないし」
「本当に面倒な性格してるな」
流石の言い様にムッとしたその瞬間、まとめた課題の三分の一が胸の前に突き出された。条件反射のようにそれを受け取る。
「さっさとしろ。落とすなよ」
「あ、うん……」
私が隣に並ぶとまた歩き始めた恵衣くん。私たちの間に会話は無い。
少し気まずい空気を感じながらも、明らかに半分では無い量のノートに少し戸惑う。私を気遣ったのか、たまたまそうなっただけなのか。
確かめるすべはなく、結果前者だと判断して「ありがとう」とお礼を伝える。返ってきたのは「お前頭大丈夫か」と言う冷たい言葉で、バレないようにため息をついた。
分かってきたように思えたけれど、やっぱり恵衣くんのことはよく分からない。
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