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第8話 マリ、第二王子ラファエルに出会う
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「お目覚めですか。“銀糸の月姫”」
風でふくらんだカーテンを押しのけて、異国の血を思わせる美青年が一歩進み出る。
チョコレイト色の肌に月明かりを泳がせて、紫色の瞳をまっすぐにこちらへ向けている。
射るような瞳とは裏腹に、口元にはうさんくさい笑みを常に浮かべていて、それがたまらない魅力になってしまうタイプだった。
目元のほくろに、つい視線を持っていかれてしまう。
「お初にお目にかかります。ファルシオン国が第二王子、ラファエル・ファルシオンと申します」
ラファエルは片うでをゆったりと前にかかげ、もう片方のうでを腰のうしろにつけておじぎしてみせた。王族らしい仕草である反面、場にそぐわないおどけた仕草でもある。
第二王子、ラファエル・ファルシオン。名前だけは登場してた。ボンクラな兄に代わって、政治を取り仕切る切れ者だとか……。
マリはすこしだけホッとする。マリーをこの玻璃の館で抱きしめていたのは、まったく別の人物のはずだったから。
だけど、一体何の用?
マリーとラファエルが顔を合わすイベントなど、小説にはなかった。
予想外のことが起きている。
警戒しなければいけないことに代わりはなかった。
ラファエルがおじぎの姿勢から顔だけ上げて、安心させるようにうさんくさい笑顔を向けてくる。
「ラファでいいですよ。“銀糸の月姫”」
マリがいぶかしんでいるのに、ラファは目ざとく気づいた。
「宮中では、あなたは“銀糸の月姫”とよばれているのですよ。ご存知ありませんでしたか?」
「……知りません」
小説にもそんなことは書いていなかった。
「月明かりにかがやく銀糸のように美しい長髪に、指をすかせてみたいと多くの貴族たちがささやいているのです。そのささやきは、昨夜の出来事からさらに大きくなっていますよ」
ラファはうすっぺらい笑みをうかべる。
なるほど……。昨夜、第一王子をやっつけたことがいろいろな出来事を引き起こしているみたい。思ってもみなかったことが次々と起きるなんて。ほんのちょっと急所を蹴っただけなのに、大げさ。
マリは少女ゆえに、いろいろと事の重大性を理解していなかった。
「私が今夜ここに来たのも、一番櫛となり、あなたの髪をとかす名誉をいただきたかったからです。どうか望みを叶えていただけませんか?」
ラファは一歩進み出て、新品のラグマットを土足でふみつけた。
「近づかないでください」
「ふふ、イヤだと言ったら?」
「ひどい目にあってもらいます」
マリは枕の下にかくしてあった包丁をさし向けた。
寝る前に、念のため仕込んでおいたのだ。
ラファはさすがに引きつった笑みをうかべ、にぶく光る包丁を見る。少女の手にはあまるナタのような肉切り包丁だったが、逆に危険な覚悟をただよわせていた。
「……わかった。近づかない」
ラファは観念したように両手を上げて見せ、ラグマットから足をひいた。そして、マリの顔を改めてまじまじと見つめる。
「……くくっ」
ラファは何がおかしいのか、笑みをもらす。
「なるほど。大したタマだ。これでは兄上の手にあまる……!」
あいかわらずうすっぺらい笑みではあったが、今度の笑みは楽しそうではあった。
「ちょっとお話をしましょう。えーと、マリーさん?でしたっけ?」
どうやら名前すらよく覚えていないようだ。
“銀糸の月姫”なんて言っておいて、名誉のみしか興味がなかったってことね。
マリはついあきれる。
「おっと、非礼はわびるよ。そう冷たい目を向けないでくれ」
ラファはやはりすぐに気づいた。どうやら、目の前の人物をよく見ることはしているらしい。
「誓うよ。俺はここから一歩もあなたの方へは近づかない。下心はもう一切ゼロ。ただほんのちょっとおしゃべりしたら帰る。どう?協力してくれないか?」
「協力……?」
「あー、言葉をまちがえました。ごめんなさい。お願いします。どうかおしゃべりしてください!」
ラファが両手を合わせ、いのるようにお願いした。さらりとしたクセのない黒髪が顔に落ち、閉じたまぶたを長いまつげがふち取っている。まるで神さまにお願いしているみたいだ。
うーん、ねむいし、本当はすぐに帰ってほしいんだけど、逆上しておそって来られたら困るし……。仕方ない。おしゃべりくらいでおとなしく帰ってくれるなら、付き合いますか……。
「……すこしだけなら」
マリの返事を聞くと、ラファはすぐにいのりをやめた。
「へへへ!やったね!」
ラファは年相応のヤンチャな若者のようによろこんだ。さっきまでの真面目な様子はもうなかったけど、元気いっぱいだった。
「で、何をおしゃべりするんですか?」
マリが包丁を下ろして聞くと、ラファはニヤッとしてうなずく。
「ガブリエルのことは嫌いか?」
いきなりストレートな質問だった。ファルシオン王国の第一王子、ガブリエル。マリに二度求婚し、マリに急所をけられた男。
その男のことを、第二王子であるラファが「嫌いか?」と聞くなんて……?
「ああ、ただの雑談だから気軽に答えてよ。ちなみにけっこう嫌われてるし、俺も嫌い~」
ラファはなんでもないことのように言った。
「……まあ、好きではないですね」
「そりゃそうだよな。じゃなけりゃ金的なんてしないよな。あっはっはっ」
「はあ」
「でも、あいつ顔はいいじゃん。金もあるし権力ももちろんある。次期国王っていう特大のおまけまで付いてる。うまくやれば王妃さまになれるかもしれない。そういうことには、ひかれなかったの?」
「はあ」
なんだろう、これ?もしかして恋バナ?
マリは、サチさんがたまにしかけてくる恋バナトークを思い出していた。
「ふーん、逆にあいつのどこがダメだったの?」
「……どこといわれても、あまり知らないですし。まあ、強いて言えば、年齢というのはあるかもしれません」
「え?そーなの?」
「だって、あの人何歳ですか?」
「二十」
「わたしは十五歳ですよ。まあ、好きになれば年齢なんて関係ないのかもしれませんが、なんだかあの人、十五歳とか好きそうですし……」
「あー、十五歳だからこそ、ねらってきたってことか」
「そうそう」
「ありそう。あいつ、アンタみたいなガキっぽいの好きだし」
「……そろそろ帰ってくれませんか?」
「ああっ!ごめん!言葉を選ぶから、そんな氷点下みたいな目で見つめないで!」
「はあ……」
「それは返事なの?ため息なの?」
「ため息です」
「やっぱりね!だと思ったー!でも、話をもどすけど、五歳差なんてふつうだぜ?十五歳で結婚するのだってふつうだし」
「そうなんですね」
「ちなみに俺は十八歳だ!」
「そうなんですね」
「女性からこんなに興味なさそうにされたの初めてだわ~、アハハ!」
ラファは楽しげに笑った。そして、意地悪な顔でニヤリとする。
「まー、でも、ガブリエルはマリーのことあきらめないかもね。超執着してるから」
「……なんでですか?」
小説には執着される理由は書いてなかった。主人公だからといえばそれまでだけど。
これからも小説の筋書きにそった行動をとろうとするのだろうか。
しかし、マリはこれまで実際に彼らと接してきて、ただ小説に書かれた通りに動くだけのキャラクターには思えなかった。ふつうの人間と何ら変わらないように思える。
ガブリエルがマリーさんに執着することにだって、実は納得できる理由があるのかも……?
ラファは真剣な顔で言う。
「知らないのか?」
「はい。……教えてください」
「……いいだろう。マリー、きみの母親はとてもきれいな人だったらしいな」
「はあ」
たしかにそんなことが書かれていた。
「王国中が彼女に恋をしたそうだ。そのなかには幼い頃のガブリエル少年もいたんだな。初恋だったそうだ。だが、すでに彼女は結婚していて、お腹にはマリー、すでにキミがいた」
「はあ」
「その時に予約を取ったらしい」
「は?」
「きみの母親のお腹に顔を近づけて、『お前は俺のものだ。早く出て来い』とささやいた。すると、きみはお腹をけった。ガブリエルはそれを了解の返事と受け取ったそうだ」
「……怪談?」
「いや、実話。ガブリエル本人が言ってた。奴に言わせれば、運命らしいぞ?」
マリはこの世界に来て、一番ゾッとした。
「……そろそろ帰ってくれますか?」
「そうだな。肝も冷えたし、今日のところはこの辺で」
「もう来ないでください」
「あっはっはっ」
ラファは窓から飛びおりる。二階だったが、気にする様子もなかった。
マリは窓をきちんと閉めた。
それから寝ようとベッドにもぐったが、寝付けなかった。
まあ、ある意味納得はできたけど……。マリーさんは産まれる前から変な呪いをかけられてたってこと……?
マリは仕方なくベッドから出て、台所をあさる。パンがあったのでかじった。
クルミパン……。自然な甘さ……!
マリは大きなクルミパンをふたつ食べた。用意されていた新鮮な水も飲んだが、スッキリしていておいしい。なんというか、のどごしがいい。
歯をみがくと、ベッドに入った。
枕の下に肉切り包丁をセットする。
(ステーキの夢が見れるといいな……)
今度はすぐにスヤスヤとねむりに落ちた。
風でふくらんだカーテンを押しのけて、異国の血を思わせる美青年が一歩進み出る。
チョコレイト色の肌に月明かりを泳がせて、紫色の瞳をまっすぐにこちらへ向けている。
射るような瞳とは裏腹に、口元にはうさんくさい笑みを常に浮かべていて、それがたまらない魅力になってしまうタイプだった。
目元のほくろに、つい視線を持っていかれてしまう。
「お初にお目にかかります。ファルシオン国が第二王子、ラファエル・ファルシオンと申します」
ラファエルは片うでをゆったりと前にかかげ、もう片方のうでを腰のうしろにつけておじぎしてみせた。王族らしい仕草である反面、場にそぐわないおどけた仕草でもある。
第二王子、ラファエル・ファルシオン。名前だけは登場してた。ボンクラな兄に代わって、政治を取り仕切る切れ者だとか……。
マリはすこしだけホッとする。マリーをこの玻璃の館で抱きしめていたのは、まったく別の人物のはずだったから。
だけど、一体何の用?
マリーとラファエルが顔を合わすイベントなど、小説にはなかった。
予想外のことが起きている。
警戒しなければいけないことに代わりはなかった。
ラファエルがおじぎの姿勢から顔だけ上げて、安心させるようにうさんくさい笑顔を向けてくる。
「ラファでいいですよ。“銀糸の月姫”」
マリがいぶかしんでいるのに、ラファは目ざとく気づいた。
「宮中では、あなたは“銀糸の月姫”とよばれているのですよ。ご存知ありませんでしたか?」
「……知りません」
小説にもそんなことは書いていなかった。
「月明かりにかがやく銀糸のように美しい長髪に、指をすかせてみたいと多くの貴族たちがささやいているのです。そのささやきは、昨夜の出来事からさらに大きくなっていますよ」
ラファはうすっぺらい笑みをうかべる。
なるほど……。昨夜、第一王子をやっつけたことがいろいろな出来事を引き起こしているみたい。思ってもみなかったことが次々と起きるなんて。ほんのちょっと急所を蹴っただけなのに、大げさ。
マリは少女ゆえに、いろいろと事の重大性を理解していなかった。
「私が今夜ここに来たのも、一番櫛となり、あなたの髪をとかす名誉をいただきたかったからです。どうか望みを叶えていただけませんか?」
ラファは一歩進み出て、新品のラグマットを土足でふみつけた。
「近づかないでください」
「ふふ、イヤだと言ったら?」
「ひどい目にあってもらいます」
マリは枕の下にかくしてあった包丁をさし向けた。
寝る前に、念のため仕込んでおいたのだ。
ラファはさすがに引きつった笑みをうかべ、にぶく光る包丁を見る。少女の手にはあまるナタのような肉切り包丁だったが、逆に危険な覚悟をただよわせていた。
「……わかった。近づかない」
ラファは観念したように両手を上げて見せ、ラグマットから足をひいた。そして、マリの顔を改めてまじまじと見つめる。
「……くくっ」
ラファは何がおかしいのか、笑みをもらす。
「なるほど。大したタマだ。これでは兄上の手にあまる……!」
あいかわらずうすっぺらい笑みではあったが、今度の笑みは楽しそうではあった。
「ちょっとお話をしましょう。えーと、マリーさん?でしたっけ?」
どうやら名前すらよく覚えていないようだ。
“銀糸の月姫”なんて言っておいて、名誉のみしか興味がなかったってことね。
マリはついあきれる。
「おっと、非礼はわびるよ。そう冷たい目を向けないでくれ」
ラファはやはりすぐに気づいた。どうやら、目の前の人物をよく見ることはしているらしい。
「誓うよ。俺はここから一歩もあなたの方へは近づかない。下心はもう一切ゼロ。ただほんのちょっとおしゃべりしたら帰る。どう?協力してくれないか?」
「協力……?」
「あー、言葉をまちがえました。ごめんなさい。お願いします。どうかおしゃべりしてください!」
ラファが両手を合わせ、いのるようにお願いした。さらりとしたクセのない黒髪が顔に落ち、閉じたまぶたを長いまつげがふち取っている。まるで神さまにお願いしているみたいだ。
うーん、ねむいし、本当はすぐに帰ってほしいんだけど、逆上しておそって来られたら困るし……。仕方ない。おしゃべりくらいでおとなしく帰ってくれるなら、付き合いますか……。
「……すこしだけなら」
マリの返事を聞くと、ラファはすぐにいのりをやめた。
「へへへ!やったね!」
ラファは年相応のヤンチャな若者のようによろこんだ。さっきまでの真面目な様子はもうなかったけど、元気いっぱいだった。
「で、何をおしゃべりするんですか?」
マリが包丁を下ろして聞くと、ラファはニヤッとしてうなずく。
「ガブリエルのことは嫌いか?」
いきなりストレートな質問だった。ファルシオン王国の第一王子、ガブリエル。マリに二度求婚し、マリに急所をけられた男。
その男のことを、第二王子であるラファが「嫌いか?」と聞くなんて……?
「ああ、ただの雑談だから気軽に答えてよ。ちなみにけっこう嫌われてるし、俺も嫌い~」
ラファはなんでもないことのように言った。
「……まあ、好きではないですね」
「そりゃそうだよな。じゃなけりゃ金的なんてしないよな。あっはっはっ」
「はあ」
「でも、あいつ顔はいいじゃん。金もあるし権力ももちろんある。次期国王っていう特大のおまけまで付いてる。うまくやれば王妃さまになれるかもしれない。そういうことには、ひかれなかったの?」
「はあ」
なんだろう、これ?もしかして恋バナ?
マリは、サチさんがたまにしかけてくる恋バナトークを思い出していた。
「ふーん、逆にあいつのどこがダメだったの?」
「……どこといわれても、あまり知らないですし。まあ、強いて言えば、年齢というのはあるかもしれません」
「え?そーなの?」
「だって、あの人何歳ですか?」
「二十」
「わたしは十五歳ですよ。まあ、好きになれば年齢なんて関係ないのかもしれませんが、なんだかあの人、十五歳とか好きそうですし……」
「あー、十五歳だからこそ、ねらってきたってことか」
「そうそう」
「ありそう。あいつ、アンタみたいなガキっぽいの好きだし」
「……そろそろ帰ってくれませんか?」
「ああっ!ごめん!言葉を選ぶから、そんな氷点下みたいな目で見つめないで!」
「はあ……」
「それは返事なの?ため息なの?」
「ため息です」
「やっぱりね!だと思ったー!でも、話をもどすけど、五歳差なんてふつうだぜ?十五歳で結婚するのだってふつうだし」
「そうなんですね」
「ちなみに俺は十八歳だ!」
「そうなんですね」
「女性からこんなに興味なさそうにされたの初めてだわ~、アハハ!」
ラファは楽しげに笑った。そして、意地悪な顔でニヤリとする。
「まー、でも、ガブリエルはマリーのことあきらめないかもね。超執着してるから」
「……なんでですか?」
小説には執着される理由は書いてなかった。主人公だからといえばそれまでだけど。
これからも小説の筋書きにそった行動をとろうとするのだろうか。
しかし、マリはこれまで実際に彼らと接してきて、ただ小説に書かれた通りに動くだけのキャラクターには思えなかった。ふつうの人間と何ら変わらないように思える。
ガブリエルがマリーさんに執着することにだって、実は納得できる理由があるのかも……?
ラファは真剣な顔で言う。
「知らないのか?」
「はい。……教えてください」
「……いいだろう。マリー、きみの母親はとてもきれいな人だったらしいな」
「はあ」
たしかにそんなことが書かれていた。
「王国中が彼女に恋をしたそうだ。そのなかには幼い頃のガブリエル少年もいたんだな。初恋だったそうだ。だが、すでに彼女は結婚していて、お腹にはマリー、すでにキミがいた」
「はあ」
「その時に予約を取ったらしい」
「は?」
「きみの母親のお腹に顔を近づけて、『お前は俺のものだ。早く出て来い』とささやいた。すると、きみはお腹をけった。ガブリエルはそれを了解の返事と受け取ったそうだ」
「……怪談?」
「いや、実話。ガブリエル本人が言ってた。奴に言わせれば、運命らしいぞ?」
マリはこの世界に来て、一番ゾッとした。
「……そろそろ帰ってくれますか?」
「そうだな。肝も冷えたし、今日のところはこの辺で」
「もう来ないでください」
「あっはっはっ」
ラファは窓から飛びおりる。二階だったが、気にする様子もなかった。
マリは窓をきちんと閉めた。
それから寝ようとベッドにもぐったが、寝付けなかった。
まあ、ある意味納得はできたけど……。マリーさんは産まれる前から変な呪いをかけられてたってこと……?
マリは仕方なくベッドから出て、台所をあさる。パンがあったのでかじった。
クルミパン……。自然な甘さ……!
マリは大きなクルミパンをふたつ食べた。用意されていた新鮮な水も飲んだが、スッキリしていておいしい。なんというか、のどごしがいい。
歯をみがくと、ベッドに入った。
枕の下に肉切り包丁をセットする。
(ステーキの夢が見れるといいな……)
今度はすぐにスヤスヤとねむりに落ちた。
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