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本編

No.0~プロローグ(加筆済み)

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今年に販売が発表された【ユグドラシルオンライン】、少し前に作られたVR技術を改良し、視覚だけでなく五感すべてを体験出来るというゲームだ。

ゲームをする人なら誰しもが夢を見るゲームの販売が近くなった事もあり、俺を含め、ゲームをする人も、しない人も現在は話題は【ユグドラシルオンライン】の事ばかりになっていた。

正式に配信する前にちゃんとプレイ出来るか確認するためのβテストに当選して、【ユグドラシルオンライン】をプレイした人は皆、実際にその世界に居るという感動とそのゲームのクオリティーの高さに驚いて、当選して良かったと言っていると連日ニュースで聞いている。

そのニュースを見るたびに何で俺は当たらなかったんだと自分の運の無さを恨んだ。

既に全国のゲーム屋での予約は埋まっており、しかも初回生産版のVR機器とのセットは100台しか販売されず、計10000台販売されると言う第一陣の中でも初回生産版を買えた人はその嬉しさに狂喜乱舞したと言う。

ネット上ではユグドラシルオンラインの予約が取れたものが予約出来なかったんだ人に対して煽る様なコメントをして炎上したりもしているらしい。

まぁ俺も買えたときは凄く嬉しくてネトゲのチャットでβ版をしていた友人に話したら「その話もう3回目だよ」と言われてしまった。

だが、自分自身がゲームの中の世界で行動出来ると考えるとわくわくが止まらない。

【ユグドラシルオンライン】はファンタジーの世界を元にしたRPGで、Jobとスキルを使いながらその世界で生活や戦闘をするというゲームでスキルは既存のスキルもあるがゲーム内での行動次第で新たなスキルを作ることも出来るらしい、というのも一つの魅力だ。

ゲーム開始時には運が良ければ、自分専用のサポートキャラが付いて、最初に質問に答えてくれるし、その後もゲームを進め易くなるようにアドバイスをしてくれる。
家を買った時には家の中で掃除しながら待機するっていうメイドみたいなキャラや、動物系のアバターなんかも有るらしい。

βテスターはテストしたキャラの成長度合いでゲームを始めるときの特典が与えられる。

その為βテスターは新規のプレイヤーよりも少し有利な状況からゲームを進めることができるのだ。

俺も応募したんだけど当たらなかった…俺もβ版やりたかった

「そんでお前から見てβテストはどんな感じだった?」

俺は今、βテストをしていた友達とテレビ電話で会話をしながらネットゲームで通信している。

「本当に凄かったよ!実際にそこに居るように感じたし匂いや手触りも現実と変わらなかったよ!しかもβ特典で素材は残念だったけどお金とスキルはそのまんまらしいし、」

「マジで!それって戦闘系のスキル持ち越しなのか?」

(ユグドラシルオンラインでは戦闘系のスキルはスキルレベルでその武器の与ダメが変わるらしいから、戦闘スキルも持ち越し出来るならβテスターに有利過ぎるんじゃ無いか?)

と考えていると

「いや~さすがにそれはないよ、それだとβテスターが有利過ぎるしね」

と否定された、そうだったらβテスターが有利過ぎるし、そうなると新規のプレイヤーとの差が開きすぎるしな。

「だよな~βテスターじゃ無かったからスタートダッシュできなかったなんて事になったらガチでトップを目指すとしたら最悪だしな。

「それにしてもよくβテストに選ばれたよなぁ、あれって倍率2000倍以上はあるって聞いたけど」

「あはは、それは運が良かったとしか言い様がないよね、それに祐也だって限定100台の初回限定版のセットを買うなんてどんな手を使ったの?」

運が良いなんてもんじゃ無いと思うけどな。

だってβテストの募集人数はたったの100人。

倍率2000倍というと合計で20万人も募集して100しか当選しないという事だ。

その事を言うと逆に俺が初回限定版を取れた事を聞かれた。

「あーそれはほら、コネを少しな、ほら、翔がユグドラシルオンラインを作った会社の社長の息子だったらしくてさ、親父さんにアポとって貰って、ちょっとした提案をさせて貰ったんだよ」

翔とは前のネットゲームで知り合った仲間で、翔の父親がユグドラシルオンラインを開発した会社の社長だったのだ。

そこで、この前翔経由で翔のお父さんと合った時、いつも家の翔がユウヤさんユウヤさん、っていっつも言ってるんですよ、とか、其処で家の翔と仲良くしてくれているお礼に、と翔と俺の分の初回限定版のソフトと機器を確保してくれていたらしい。

タダで貰うのもあれだったので、俺の持っている資産の一部を出資させて貰える様に提案したって訳だな。

「へぇ~私は翔のお父さんが社長さんだったって事は聞いてたけど、ユグドラシルオンラインを開発した会社だったんだ!ビックリ!、でも翔って祐也の事を慕ってるから私が祐也と話してるとつっかかってくるんだよね、まぁ最初の頃と比べたら良くなったんだけど」

「まぁ翔もお前の事を嫌ってる訳では無いだろうしな、俺から見たらお前らすげぇ仲良さそうなんだけどな」

俺たち三人は同じネットゲームをしていた。

その時に、二人を誘ってギルドを作ったんだっけか?、その時に二人は知り合ったんだが、二人が話しているのを見てると本当に仲が良いと思う。

「それで翔のお父さんに提案って言ってたけど何て言ったの?」

まぁ別に隠す程の事じゃ無いので素直に答える。

「それは、いつも翔と仲良くして貰ってるから、って翔から俺がユグドラシルオンラインをやりたがってるって事を聞いたらしくてな、社長権限で初回限定版を確保してくれたらしいんだよな。
だから、タダで貰うのもあれだろ、だから翔のお父さんの会社に出資をする事を提案したんだ。
そりゃあ使わなければ良いけど、トラブルが有るかも知れないからってね」

「そうなんだ~私も初回限定版欲しかったな~あれって種族選択で上位種を選べる様になるんでしょ?」

「お前はβテストが出来たから良いじゃん、俺もやりたかったのに自慢をされたからな 、サービスが始まったら全力で楽しまないと」

βテスターはそのまんまユグドラシルオンラインのソフトとVR機器がプレゼントされるだけ良いだろう、確実にプレイできる訳だしな。

それにβテスト時の情報を持っているって事はスタートダッシュがやりやすいからな。

「それで、出資ってどの位払ったの?」

「それはほら、守秘義務って奴があるから言えないんだよ、んじゃそろそろ俺は飯にするから切るぞ」

「わかった!じゃあ次はユグドラシルオンラインでね!」
 
「おう!…さぁて販売まで後一週間!やれるだけの準備をしなきゃ!」

そうして、テレビ電話を切った俺はユグドラシルオンラインに集中出来る様にに仕事を処理していく。
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