上 下
88 / 203
本編

No.83~PVPイベント13

しおりを挟む
9回戦はユウが勝って次は10回戦、シュウ対オレガノというプレイヤーの試合だ。

オレガノというプレイヤーの情報は余り無い。

というのもオレガノが戦ったプレイヤー、クレソンというプレイヤーなのだ がこのクレソンというプレイヤーが何故か試合で手加減をしていたのだ。

その試合はあっけなく終わり、オレガノの実力を試合で確認する事は出来なかった。

唯一分かっているのはオレガノの使用武器が槍だという事だけ。

予選トーナメントを突破したからにはある程度の技量は有るはずだが、その実力は未知数。

俺としてはシュウが負けるとは思って居ないがこういう事前に実力が分からない相手というのは戦い難い。

前回シュウはレンとの真剣勝負で疲れている。

不死鳥の布団で出来るだけ回復させてるがそれでも完全には回復は出来ない。

「それでは第十回戦、シュウさん対オレガノさんの対決です、ユウヤさん、この試合に勝った方が準々決勝に進出が決まる訳ですが今回の試合をどう見ますか?」

「はい、シュウは前回の試合でレンと戦って精神的な疲労が回復しきっていない状況での試合になります。
対戦相手のオレガノというプレイヤーは前回の試合で実力を見ることは出来ませんでした。
なので今回の試合はシュウの疲労の回復具合と未だ実力が分かっていないオレガノの力量によって変わると思われます。
他にもオレガノの使用武器は槍です、シュウは基本的ギルドメンバー以外とPVPをしないので普段と違う距離感をどう対処するかも重要だと思われます」

「ユウヤさん、ありがとうございます。
実力が未知数のオレガノさんの動きに注目ですね!それでは十回戦…開始です!」

開始の合図と同時にシュウがオレガノに向かって走る。

(シュウの奴、速攻で決めに行ったな)

シュウの顔を見ると疲労が残っている。

それに伴って攻撃にも何時もの鋭さが少なくなっていた。

オレガノはシュウの攻撃を避けるだけで反撃も攻撃もしない。

シュウはレンとの試合での極度の集中による脳の酷使で疲労困憊。
試合を直ぐに終わらせたいから速攻でオレガノを仕留めに行く。

オレガノは逆に試合を長引かせる事でシュウの疲労が限界に達するのを待っているという所か。
そうする事で自分の実力を他のプレイヤーに見せる事なく次の試合にコマを進められるという訳か。

シュウの顔を見ても疲労がとれきれて居ないのは誰が見ても確実。

現在のシュウはいつもの攻撃の鋭さも無くなっていて攻撃を避けるのも容易い、足元を見ると若干ふらついている様にも見える。

オレガノはシュウの攻撃を避けてから後ろに下がるとシュウに話し掛ける。

「なぁ、お前、なんでそんなになってまで戦ってるんだ?」

「ユウヤさんと本気で戦いたいから、私はここで負ける訳にはいかないんです!」

そういうとシュウはオレガノに攻撃を再開する。

その攻撃は今さっきまでの攻撃とは違い、鋭い攻撃を繰り返す。

オレガノはさっきと同様に攻撃を避けようとするが避けきれずダメージを受けていく…がそれも長く続かずシュウの攻撃は止んだ。

「はぁ、はぁ、はぁ、」

(限界…か)

もう限界なのだろう、シュウの攻撃の手は止まり息も絶え絶えだ。

「おまえがアイツと本気で戦いたいというのは分かった。
だが、勝つのは俺だ。
そんなに戦いたかったならレンという奴にわざと負けて貰えば良いものを…そんなのだからこうやって負けるんだ」

「そんな事をして戦っても…私が納得出来る筈がありません」

シュウは息を整えて言う。

「そうか、じゃあ終わりだ」

そう言ってオレガノは立っているのもやっとのシュウの心臓に槍を突き立てる。

シュウのHPは消失し、十回戦はオレガノの勝利で終了した。

陽菜に頼んで試合終了後に転移する場所を俺の近くにして貰った。

俺はシュウを生産室に転移させて不死鳥の布団に寝かせる。

「ユウヤさん…わたし、負けちゃいました」

「ああ、」

「ユウヤさん、絶対に優勝して下さいね、決勝で戦えなかったのは残念ですけど、応援してますから!」

笑顔で俺に応援してると伝えるシュウ。
俺はこう答える事しか出来なかった。

「おう、絶対に優勝するから、見逃すんじゃねぇぞ」

「私がユウヤさんを見逃す訳無いじゃないですか」

俺がそう言うとシュウは笑いながら俺に言う。

「じゃあもうすぐ試合だから行くな」

「はい、頑張ってください」

俺は生産室を扉からでる。
扉の向こうからシュウの声を押し殺して泣いている声が聞こえる。

(シュウが悔しくない訳が無い、それなのに俺に頑張ってと言ったんだ絶対に優勝してやる)

俺は会場に向かう。
新たな決意を胸に抱いて。
しおりを挟む
感想 47

あなたにおすすめの小説

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

ジャージ女子高生による異世界無双

れぷ
ファンタジー
異世界ワーランド、そこへ神からのお願いを叶えるために降り立った少女がいた。彼女の名前は山吹コトナ、コトナは貰ったチートスキル【魔改造】と【盗む】を使い神様のお願いをこなしつつ、ほぼ小豆色のジャージ上下でテンプレをこなしたり、悪党を改心させたり、女神になったりするお話です。

月が導く異世界道中

あずみ 圭
ファンタジー
 月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。  真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。  彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。  これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。  漫遊編始めました。  外伝的何かとして「月が導く異世界道中extra」も投稿しています。

1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。 今後ともよろしくお願いいたします! トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕! タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。 男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】 そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】 アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です! コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】 ***************************** ***毎日更新しています。よろしくお願いいたします。*** ***************************** マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。 見てください。

えっ、能力なしでパーティ追放された俺が全属性魔法使い!? ~最強のオールラウンダー目指して謙虚に頑張ります~

たかたちひろ【令嬢節約ごはん23日発売】
ファンタジー
コミカライズ10/19(水)開始! 2024/2/21小説本編完結! 旧題:えっ能力なしでパーティー追放された俺が全属性能力者!? 最強のオールラウンダーに成り上がりますが、本人は至って謙虚です ※ 書籍化に伴い、一部範囲のみの公開に切り替えられています。 ※ 書籍化に伴う変更点については、近況ボードを確認ください。 生まれつき、一人一人に魔法属性が付与され、一定の年齢になると使うことができるようになる世界。  伝説の冒険者の息子、タイラー・ソリス(17歳)は、なぜか無属性。 勤勉で真面目な彼はなぜか報われておらず、魔法を使用することができなかった。  代わりに、父親から教わった戦術や、体術を駆使して、パーティーの中でも重要な役割を担っていたが…………。 リーダーからは無能だと疎まれ、パーティーを追放されてしまう。  ダンジョンの中、モンスターを前にして見捨てられたタイラー。ピンチに陥る中で、その血に流れる伝説の冒険者の能力がついに覚醒する。  タイラーは、全属性の魔法をつかいこなせる最強のオールラウンダーだったのだ! その能力のあまりの高さから、あらわれるのが、人より少し遅いだけだった。  タイラーは、その圧倒的な力で、危機を回避。  そこから敵を次々になぎ倒し、最強の冒険者への道を、駆け足で登り出す。  なにせ、初の強モンスターを倒した時点では、まだレベル1だったのだ。 レベルが上がれば最強無双することは約束されていた。 いつか彼は血をも超えていくーー。  さらには、天下一の美女たちに、これでもかと愛されまくることになり、モフモフにゃんにゃんの桃色デイズ。  一方、タイラーを追放したパーティーメンバーはというと。 彼を失ったことにより、チームは瓦解。元々大した力もないのに、タイラーのおかげで過大評価されていたパーティーリーダーは、どんどんと落ちぶれていく。 コメントやお気に入りなど、大変励みになっています。お気軽にお寄せくださいませ! ・12/27〜29 HOTランキング 2位 記録、維持 ・12/28 ハイファンランキング 3位

月が導く異世界道中extra

あずみ 圭
ファンタジー
 月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。  真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。  彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。  これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。  こちらは月が導く異世界道中番外編になります。

あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公 じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい …この世界でも生きていける術は用意している 責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう という訳で異世界暮らし始めちゃいます? ※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです ※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています

子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。 『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。 魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。 しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も… そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。 しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。 …はたして主人公の運命やいかに…

処理中です...