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本編

No.72~PVPイベント2

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周りを見渡すとどのプレイヤーも俺の方を見ている。

(まぁあんな事言ったし狙われるのとは思ってたけど)

往々にして目立っている者や強いと思われている者は一番狙われる。
ましては俺はランキングで1位だからな、余計に狙われるだろう。

しかも今はステータスが固定されているから集団で戦ったら俺に勝てると思ってるんだろう。

目の前にカウントダウンが表示される。

数字が低くなっていくにつれプレイヤーから発せられる闘気が大きくなっていく…限界まで膨れ上がった闘気はカウントが0になった瞬間に爆発する。

「「「「ウォォォォォ!!!」」」」

「行くぞ!絶対に倒せ!」

掛け声と共に99人のプレイヤーが俺に向かって来る。
幸い闘技場は100人のプレイヤーが居ても広く感じる位に大きいので襲ってくるプレイヤーの攻撃や魔法を避けながら1人1人冷静にクリティカルを発生させてHPを削っていく。

(意外と統率がとれてるな、こりゃあこのままだったらきついかも知れない)

後方に居る魔法職の魔法を避けながら攻撃を当ててもステータスが低いから一撃で削り切れない。
ダメージを食らったプレイヤーは後方に下がって回復し、回復してから全線に戻る。

統率が取れていると言ってもこれはあり得ない。
知りもしない99人のプレイヤーがこんなに連携を取れる筈が無い。
何処かにいる筈だ、こいつらに命令を下してもいう事を聞かせられる奴が。

攻撃するのを一旦止め、回避する事に力を入れつつ周りを探る。

(居た!やっぱりあいつだったか)

前衛の後ろに見知った金髪のプレイヤーがいた。

ラインハルトだ。
これだけのプレイヤーに命令を聞かせられるプレイヤーだからランキング上位かつ、有名なギルドに所属しているプレイヤーだと思っていたがよりにもよってラインハルトとは…厄介だな。

ラインハルトは青龍騎士団というギルドのギルドマスターだ。

青龍騎士団は所属メンバーが全員騎士
 職について居て、ギルマスであるラインハルト自身は聖騎士についているギルドだ。

このギルドはトップギルドの1つとして名を馳せているがその中でも人脈の広さがユグドラシル1と言っても良い。

初心者プレイヤーは勿論他のギルドメンバーと親交をもつギルドである青龍騎士団のギルマスであるラインハルトはユグドラシルオンラインで有名なプレイヤーは?と聞いたら直ぐに出てくるで有ろう程有名だ。

そんなプレイヤーが指揮を取るを取る訳だ。

ラインハルトの指揮を無視して行動する確率は限り無く低い。

先にラインハルトを狙おうとすると前衛のプレイヤーに邪魔をされる、かといって今まで通りだと回復されるし…ん?

自分で言っている事に違和感を感じた俺は少し考える。

回復される?…そうだよ!なんで気づかなかったんだろう。
プレイヤーのMPだって無限じゃ無いんだ、なら回復役のMPが切れるまで攻撃し続ければ良いだけだ。

そうと決まれば簡単だ。
俺は攻撃避けながら相手のプレイヤーに攻撃を当てるだけ。

(そりゃあステータスが低くなっているけどこの位の攻撃だったら簡単に避けられる)

ステータスが低くなっても俺には経験がある。
エンペラーと戦った経験やフェニと戦った経験、あの二人の攻撃はもっと速かった、それに比べればこの位の攻撃を避けるなんて楽勝だ。

「くそ!なんだアイツは!99人で戦ってるのに攻撃を当てられないって、化け物かよ!」

1人がそう言ったのを皮切りに他のプレイヤーからも色んな言葉が飛び出る。

「落ち着け!落ち着いて攻撃をするんだ、じゃないと余計に当たらなくなるぞ!」

ラインハルトが周りのプレイヤーを落ち着かせ様としているが落ち着かない。

慌て、恐怖を感じた人間は思考、判断が鈍る。

こうなればもう俺の勝ちは決まった様な物だ。

魔法職のMPが切れ、前衛の回復が出来なくなった事でバランスが崩れて前衛のプレイヤーはどんどんHPを削っていく。

最後の1人はラインハルトのみ。

「やっぱりダメだったかぁ、行けると思ってたんだけど」

ラインハルトが話してくる。

「本当に良い指揮だったよ、だが俺には届かない」

「うん、分かってる…だからやろうか全力で」

俺とラインハルトの戦闘が始まる。
ラインハルトは流石大手ギルドのギルマスといった所だろう、俺も攻撃を全て避けきる事が出来なかった。

「やっぱり君には敵わなかったか」

「またやろうぜ、次は全力で」

そう伝えるとラインハルトは嬉しそうに笑いながら答えた。

「ああ!」

「終了~トーナメント予選Aブロック優勝はやっぱりこの男が決めてくれたユウヤ選手です!」

「「「ワァァァァ!!!」」」

戦闘終了のアナウンスが聞こえると喚声が聞こえる。

観客席を見ると大勢のプレイヤーが俺の試合を見ていた。

こうしてトーナメント予選Aブロックは俺の勝利で幕を閉じた。
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