278 / 280
278
しおりを挟む
兵士達に話を聞かれない様にと移動する事数分、俺達は教国軍からある程度離れた場所にやって来た。
「…ここまでくれば誰かに話を聞かれる事はないだろう、それで?戦争を止めるのに協力してほしいってのはどういう事だ?」
周囲を見渡して人の姿がない事を確認した彼は俺に戦争を止める作戦について聞いてくる
「ちょっと待ってくれ、先に自己紹介をさせてくれ」
作戦の説明をする前に俺は彼にそう提案をした。
自己紹介で同じ俺が日本人で転生者だって事を伝えれば彼が作戦に協力してくれる可能性が高くなる筈だからな。
大体の日本人は自分と似ている境遇の人に親近感を感じるからな、自己紹介をする事で少しでも彼の俺に対する印象を良くしておきたい。
「俺の名前は五十嵐祐也だ、同じ日本人同士、よろしく頼むよ」
俺は簡潔に自分の名前と俺が日本人だという事を伝える。
「日本人!?君は本当に日本人なのか!?」
すると彼は凄く驚いた様で俺に向かってそう言って詰め寄って来る。
「ああ、そうだが…」
俺が彼の質問に答えると彼は下を向きながらフルフルと震え始めた。
俺が日本人だって伝えたのは失敗だったか?
俺は彼の様子を見てそう考える。
彼に自分が日本人だと伝えた時に驚かれるだろうとは予想していたが、まさかこんな反応をされるとは予想できなかった。
と、そんな事を考えながら俺は彼を見ていると下を向いている彼の顔から水滴が…って!?
「おい!?どうしたんだ!?」
彼が泣いている事に気付いた俺は慌てて声を掛ける…が俺が声を掛けた程度では意味がなく、彼は数分間涙を零し続けた。
そして数分後、泣き止んだ彼は口を開いた。
「…いやすみません、まさかこんな所で日本人に会えるなんて思っていなかったから感動してしまって…僕の名前は山寺隼人です、よろしくお願いします」
彼はさっきまでの険しい表情とは一転し、笑顔でそう言いながら俺に向かって手を差し出した。
「ああ、こちらこそ、よろしくな」
う~ん、まさか日本人だって伝えただけで泣くとは…
俺は彼の手を握り返し、握手をしながらそんな事を考えていた。
こうして、俺の予想を遥かに裏切った自己紹介が終了した。
「…」
「…」
現在、俺と彼は向かい合って立ちながら一切しゃべる事もなく無言を貫いていた。
というのも彼は俺の目の前で泣いてしまい、俺は彼が泣いているのを目の前で見てしまったから非常に気まずい状況になっている。
彼の年齢は見た目からして高校生位、異世界で同郷の人物に会えたとはいえ殆ど他人の俺に泣いているところを見られたのが恥ずかしいのだろう。
かくいう俺も彼に何と言って話しかければ良いのか分からないという状況だ。
まぁこの場合、どちらかが話しかけない事には状況は変わらない…という事で俺はとある秘策を使うことにした。
「…さて、自己紹介も終わったところで早速話し合いを始めよう」
という事で俺が使った秘策というのは先程までの事をスルーして話し合いを始めると言うものだ。
「あ、はい、分かりました」
彼も俺の意図が分かったのだろう、話し合いをする事に賛成をする。
よし、これで気まずくてなにも話せないという状況は脱したな。
ここからは彼に戦争を止めるための作戦の内容を話して協力を頼むだけだ。
「じゃあまずは俺から話すぞ」
俺の発言に彼は頷いた。
「といっても話す事は最初に言った通りだ、俺はこの戦争を止めようとしているから隼人にはそれに協力をしてほしいってだけだ」
隼人も戦争を止めようとしている事はテントでの様子で分かってる、あちらとしても俺と協力するという選択は悪くない筈だ。
「それに隼人もこの戦争を止めようとしてるんだろ?目的は一緒なんだし、協力した方が被害も少なくできるし、成功率も上がる筈だ」
さて、ひとまず俺のターンはこんな感じで良いか
俺は先ず初めに協力するメリットについて話した。
所詮は俺達は異国の地で出会った同郷のというだけ、隼人も俺が同じ日本人だからと言って直ぐに話を信じて協力に応じる訳にもいかないだろうし、先ずは双方にメリットがあるという事を伝えるべきだからな。
さて、彼はどう出るか見ものだな
「…ここまでくれば誰かに話を聞かれる事はないだろう、それで?戦争を止めるのに協力してほしいってのはどういう事だ?」
周囲を見渡して人の姿がない事を確認した彼は俺に戦争を止める作戦について聞いてくる
「ちょっと待ってくれ、先に自己紹介をさせてくれ」
作戦の説明をする前に俺は彼にそう提案をした。
自己紹介で同じ俺が日本人で転生者だって事を伝えれば彼が作戦に協力してくれる可能性が高くなる筈だからな。
大体の日本人は自分と似ている境遇の人に親近感を感じるからな、自己紹介をする事で少しでも彼の俺に対する印象を良くしておきたい。
「俺の名前は五十嵐祐也だ、同じ日本人同士、よろしく頼むよ」
俺は簡潔に自分の名前と俺が日本人だという事を伝える。
「日本人!?君は本当に日本人なのか!?」
すると彼は凄く驚いた様で俺に向かってそう言って詰め寄って来る。
「ああ、そうだが…」
俺が彼の質問に答えると彼は下を向きながらフルフルと震え始めた。
俺が日本人だって伝えたのは失敗だったか?
俺は彼の様子を見てそう考える。
彼に自分が日本人だと伝えた時に驚かれるだろうとは予想していたが、まさかこんな反応をされるとは予想できなかった。
と、そんな事を考えながら俺は彼を見ていると下を向いている彼の顔から水滴が…って!?
「おい!?どうしたんだ!?」
彼が泣いている事に気付いた俺は慌てて声を掛ける…が俺が声を掛けた程度では意味がなく、彼は数分間涙を零し続けた。
そして数分後、泣き止んだ彼は口を開いた。
「…いやすみません、まさかこんな所で日本人に会えるなんて思っていなかったから感動してしまって…僕の名前は山寺隼人です、よろしくお願いします」
彼はさっきまでの険しい表情とは一転し、笑顔でそう言いながら俺に向かって手を差し出した。
「ああ、こちらこそ、よろしくな」
う~ん、まさか日本人だって伝えただけで泣くとは…
俺は彼の手を握り返し、握手をしながらそんな事を考えていた。
こうして、俺の予想を遥かに裏切った自己紹介が終了した。
「…」
「…」
現在、俺と彼は向かい合って立ちながら一切しゃべる事もなく無言を貫いていた。
というのも彼は俺の目の前で泣いてしまい、俺は彼が泣いているのを目の前で見てしまったから非常に気まずい状況になっている。
彼の年齢は見た目からして高校生位、異世界で同郷の人物に会えたとはいえ殆ど他人の俺に泣いているところを見られたのが恥ずかしいのだろう。
かくいう俺も彼に何と言って話しかければ良いのか分からないという状況だ。
まぁこの場合、どちらかが話しかけない事には状況は変わらない…という事で俺はとある秘策を使うことにした。
「…さて、自己紹介も終わったところで早速話し合いを始めよう」
という事で俺が使った秘策というのは先程までの事をスルーして話し合いを始めると言うものだ。
「あ、はい、分かりました」
彼も俺の意図が分かったのだろう、話し合いをする事に賛成をする。
よし、これで気まずくてなにも話せないという状況は脱したな。
ここからは彼に戦争を止めるための作戦の内容を話して協力を頼むだけだ。
「じゃあまずは俺から話すぞ」
俺の発言に彼は頷いた。
「といっても話す事は最初に言った通りだ、俺はこの戦争を止めようとしているから隼人にはそれに協力をしてほしいってだけだ」
隼人も戦争を止めようとしている事はテントでの様子で分かってる、あちらとしても俺と協力するという選択は悪くない筈だ。
「それに隼人もこの戦争を止めようとしてるんだろ?目的は一緒なんだし、協力した方が被害も少なくできるし、成功率も上がる筈だ」
さて、ひとまず俺のターンはこんな感じで良いか
俺は先ず初めに協力するメリットについて話した。
所詮は俺達は異国の地で出会った同郷のというだけ、隼人も俺が同じ日本人だからと言って直ぐに話を信じて協力に応じる訳にもいかないだろうし、先ずは双方にメリットがあるという事を伝えるべきだからな。
さて、彼はどう出るか見ものだな
0
お気に入りに追加
373
あなたにおすすめの小説
残滓と呼ばれたウィザード、絶望の底で大覚醒! 僕を虐げてくれたみんなのおかげだよ(ニヤリ)
SHO
ファンタジー
15歳になり、女神からの神託の儀で魔法使い(ウィザード)のジョブを授かった少年ショーンは、幼馴染で剣闘士(ソードファイター)のジョブを授かったデライラと共に、冒険者になるべく街に出た。
しかし、着々と実績を上げていくデライラとは正反対に、ショーンはまともに魔法を発動する事すら出来ない。
相棒のデライラからは愛想を尽かされ、他の冒険者たちからも孤立していくショーンのたった一つの心の拠り所は、森で助けた黒ウサギのノワールだった。
そんなある日、ショーンに悲劇が襲い掛かる。しかしその悲劇が、彼の人生を一変させた。
無双あり、ザマァあり、復讐あり、もふもふありの大冒険、いざ開幕!
土下座で女神に頼まれて仕方なく転生してみた。
モンド
ファンタジー
ドジな女神が失敗を繰り返し、管理している世界がえらい事になって困っていた。
ここに来て女神は「ここまできたら最後の手段を使うしかないわ。」と言いながら、あるカードを切った。
そう、困ったら「日本人の異世界転生」と言うのが先輩女神から聞いていた、最後の手段なのだ。
しかし、どんな日本人を転生させれば良いかわからない女神は、クラスごと転生を先ず考えたが。
上司である神に許可をもらえなかった。
異世界転生は、上司である神の許可がなければ使えない手段なのだ。
そこで慌てた女神は、過去の転生記録を調べて自分の世界の環境が似ている世界の事案を探した。
「有ったこれだわ!・・何々・「引きこもりかオタクが狙い目」と言うことは・・30歳代か・・それから、・・「純粋な男か免疫のない男」・・どういうのかわからなくなったわ。」
と呟きながら最後は、
「フィーリングよね、やっぱり。」
と言い切ってカードを切ってしまった、上司の許可を得ずに。
強いのか弱いのかよく分からないその男は、女神も知らない過去があった。
そんな女神に呼ばれた男が、異世界で起こす珍道中。
現代ダンジョンで成り上がり!
カメ
ファンタジー
現代ダンジョンで成り上がる!
現代の世界に大きな地震が全世界同時に起こると共に、全世界にダンジョンが現れた。
舞台はその後の世界。ダンジョンの出現とともに、ステータスが見れる様になり、多くの能力、スキルを持つ人たちが現れる。その人達は冒険者と呼ばれる様になり、ダンジョンから得られる貴重な資源のおかげで稼ぎが多い冒険者は、多くの人から憧れる職業となった。
四ノ宮翔には、いいスキルもステータスもない。ましてや呪いをその身に受ける、呪われた子の称号を持つ存在だ。そんな彼がこの世界でどう生き、成り上がるのか、その冒険が今始まる。
異世界のんびり冒険日記
リリィ903
ファンタジー
牧野伸晃(マキノ ノブアキ)は30歳童貞のサラリーマン。
精神を病んでしまい、会社を休職して病院に通いながら日々を過ごしていた。
とある晴れた日、気分転換にと外に出て自宅近くのコンビニに寄った帰りに雷に撃たれて…
================================
初投稿です!
最近、異世界転生モノにはまってるので自分で書いてみようと思いました。
皆さん、どうか暖かく見守ってくださいm(._.)m
感想もお待ちしております!
うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョンを探索する 配信中にレッドドラゴンを手懐けたら大バズりしました!
海夏世もみじ
ファンタジー
旧題:動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョン配信中にレッドドラゴン手懐けたら大バズりしました
動物に好かれまくる体質を持つ主人公、藍堂咲太《あいどう・さくた》は、友人にダンジョンカメラというものをもらった。
そのカメラで暇つぶしにダンジョン配信をしようということでダンジョンに向かったのだが、イレギュラーのレッドドラゴンが現れてしまう。
しかし主人公に攻撃は一切せず、喉を鳴らして好意的な様子。その様子が全て配信されており、拡散され、大バズりしてしまった!
戦闘力ミジンコ主人公が魔物や幻獣を手懐けながらダンジョンを進む配信のスタート!
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる