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フェニから教国の軍が後10分位で着くと連絡を受けた俺は3人に声をかけて作戦の最終確認をする事にした。
「じゃあ最終確認を始めるぞ」
俺がそう言うと3人はコクリと頷く。
「よし、じゃあ最初は修羅とヤヨイについてだ、2人はそれぞれ教国と公国の攻撃から互いの軍を守って被害が出ないようにしてくれ、被害が出なければどんな方法を使っても良いぞ」
俺はどんな方法を、の所を強調して話す。
この役割はさっきも言ったが両国の軍に被害が出さない様にするだけなのだが、どんな方法を使っても良い。
飛んでくる攻撃を消し飛ばしても良いし、攻撃ができない様に気絶させて無力化させても良い。
「どんな方法も、ですか?」
ヤヨイは俺の言ったどんな方法でも使って良いという言葉に反応した。
「ああ、両国の兵士が怪我をさせなければ何をして良いぞ、武器や防具を壊したりしても良いぞ」
兵士に被害が出たら戦争を止めたとしても遺恨が残る、俺たちはそれを避ければ良いだけだからな。
「成る程、怪我をさせないようにだけ気をつければ良いと言う事ですね?」
「ああ…でも兵士にトラウマを植え付けるのもやめといてくれ、兵士達も好き好んで戦争に参加している訳じゃ無いだろうし」
俺は修羅の質問に頷いて答え、最後に兵士たちに心の傷を残さないようにする様に伝える。
他に質問はあるか2人に聞くが、もう質問はないらしい。
「主殿、両国の兵士には傷一つ付けさせる事なく作戦を成功させて見せます」
「私も、マスターの期待に添えるよう頑張りますね」
「ああ、頼むぞ」
2人の意気込みを聞いた俺はそう言って2人に正体を隠す為の仮面を手渡す。
「じゃあ次はフェルなんだが、フェルは基本的に何もしなくていい」
「何もしなくていいの?」
「ああ、前にも話した通りフェニとフェルは今後戦争を起こさせないための抑止力、俺が両国の代表者と話をしてる間俺の隣に居てくれれば問題ない」
フェニとフェル、2人の役割は交渉役である俺が2人を従えていると思わせて俺の力を示し、交渉を速やかに進めさせる事だからな。
「まぁ強いて言うなら、適当に威圧を振りまいて両国の兵士達に逆らう気力を失くさせる事位だな」
「分かった、頑張る」
「よし、作戦会議も終わった所で、そろそろ教国の軍も近づいて来たみたいだ」
耳を澄ませると遠くの方から複数の魔物の足音が聞こえてきた。
「それじゃあ作戦開始だ、飛び出すタイミングで合図するからそれまで見つからないように待機するぞ」
俺たちが出るタイミングは出来るだけ強烈な印象を持たせられる時が良い。
それまで俺たちは手を出さずに待機する事にした。
「あ~面倒くさい、なんで見張り役を俺たちがやらないといけないんだか、お前もそう思うだろ?」
物見櫓から周囲を見渡していた兵士は隣に立っている兵士にそう言う。
現在、この2人の兵士は教国の軍が公国が近づいてきていないかを確認するという命令で周囲を監視させられていた。
「そりゃあ思うけどよ、俺たち下っ端に拒否権なんて無いし、サボったら上官に何されるか分からないぞ」
「だってよ、教国の軍が出たって言うのは今朝だろ、今日中に着くわけが無いってのにわざわざ見張りする意味なんてねぇよ」
そう言い放った兵士は後方の貴族様は楽で良いよなと呟いた。
「おい、今の発言、聞かれたら懲罰ものだぞ、言うならもっと小さい声で言え」
隣に立っていた兵士は友が言った貴族批判とも取れる発言に注意する。
この国は貴族の権力が強く、軍の上層部は殆どが貴族だ。
そんな中貴族を批判する様な発言をしたのがバレたらキツイ罰が与えられるのだ。
「おっと、そうだな」
注意された兵士は危ねぇ危ねぇと呟きながら監視の作業を再開する。
「ん?なんだありゃあ」
兵士が作業を再開すると平原の向こうから黒い何かが目に入った。
兵士はアレは何だと視力強化のスキルを使い黒い何かを見てみるとそこには大量のモンスターを連れた教国の軍がこちらに向かって来ていた。
「…敵襲だ!教国の軍がこちらに向かっています!」
教国軍を発見した兵士は周囲に聞こえる様に大きな声で教国の軍がやってきた事を叫びながら地面に置いていた金槌を鐘に打ち付ける。
「クソ!教国の軍が出発したのは今朝の筈じゃ無かったのかよ!」
「じゃあ最終確認を始めるぞ」
俺がそう言うと3人はコクリと頷く。
「よし、じゃあ最初は修羅とヤヨイについてだ、2人はそれぞれ教国と公国の攻撃から互いの軍を守って被害が出ないようにしてくれ、被害が出なければどんな方法を使っても良いぞ」
俺はどんな方法を、の所を強調して話す。
この役割はさっきも言ったが両国の軍に被害が出さない様にするだけなのだが、どんな方法を使っても良い。
飛んでくる攻撃を消し飛ばしても良いし、攻撃ができない様に気絶させて無力化させても良い。
「どんな方法も、ですか?」
ヤヨイは俺の言ったどんな方法でも使って良いという言葉に反応した。
「ああ、両国の兵士が怪我をさせなければ何をして良いぞ、武器や防具を壊したりしても良いぞ」
兵士に被害が出たら戦争を止めたとしても遺恨が残る、俺たちはそれを避ければ良いだけだからな。
「成る程、怪我をさせないようにだけ気をつければ良いと言う事ですね?」
「ああ…でも兵士にトラウマを植え付けるのもやめといてくれ、兵士達も好き好んで戦争に参加している訳じゃ無いだろうし」
俺は修羅の質問に頷いて答え、最後に兵士たちに心の傷を残さないようにする様に伝える。
他に質問はあるか2人に聞くが、もう質問はないらしい。
「主殿、両国の兵士には傷一つ付けさせる事なく作戦を成功させて見せます」
「私も、マスターの期待に添えるよう頑張りますね」
「ああ、頼むぞ」
2人の意気込みを聞いた俺はそう言って2人に正体を隠す為の仮面を手渡す。
「じゃあ次はフェルなんだが、フェルは基本的に何もしなくていい」
「何もしなくていいの?」
「ああ、前にも話した通りフェニとフェルは今後戦争を起こさせないための抑止力、俺が両国の代表者と話をしてる間俺の隣に居てくれれば問題ない」
フェニとフェル、2人の役割は交渉役である俺が2人を従えていると思わせて俺の力を示し、交渉を速やかに進めさせる事だからな。
「まぁ強いて言うなら、適当に威圧を振りまいて両国の兵士達に逆らう気力を失くさせる事位だな」
「分かった、頑張る」
「よし、作戦会議も終わった所で、そろそろ教国の軍も近づいて来たみたいだ」
耳を澄ませると遠くの方から複数の魔物の足音が聞こえてきた。
「それじゃあ作戦開始だ、飛び出すタイミングで合図するからそれまで見つからないように待機するぞ」
俺たちが出るタイミングは出来るだけ強烈な印象を持たせられる時が良い。
それまで俺たちは手を出さずに待機する事にした。
「あ~面倒くさい、なんで見張り役を俺たちがやらないといけないんだか、お前もそう思うだろ?」
物見櫓から周囲を見渡していた兵士は隣に立っている兵士にそう言う。
現在、この2人の兵士は教国の軍が公国が近づいてきていないかを確認するという命令で周囲を監視させられていた。
「そりゃあ思うけどよ、俺たち下っ端に拒否権なんて無いし、サボったら上官に何されるか分からないぞ」
「だってよ、教国の軍が出たって言うのは今朝だろ、今日中に着くわけが無いってのにわざわざ見張りする意味なんてねぇよ」
そう言い放った兵士は後方の貴族様は楽で良いよなと呟いた。
「おい、今の発言、聞かれたら懲罰ものだぞ、言うならもっと小さい声で言え」
隣に立っていた兵士は友が言った貴族批判とも取れる発言に注意する。
この国は貴族の権力が強く、軍の上層部は殆どが貴族だ。
そんな中貴族を批判する様な発言をしたのがバレたらキツイ罰が与えられるのだ。
「おっと、そうだな」
注意された兵士は危ねぇ危ねぇと呟きながら監視の作業を再開する。
「ん?なんだありゃあ」
兵士が作業を再開すると平原の向こうから黒い何かが目に入った。
兵士はアレは何だと視力強化のスキルを使い黒い何かを見てみるとそこには大量のモンスターを連れた教国の軍がこちらに向かって来ていた。
「…敵襲だ!教国の軍がこちらに向かっています!」
教国軍を発見した兵士は周囲に聞こえる様に大きな声で教国の軍がやってきた事を叫びながら地面に置いていた金槌を鐘に打ち付ける。
「クソ!教国の軍が出発したのは今朝の筈じゃ無かったのかよ!」
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