上 下
272 / 280

272

しおりを挟む
「もしもしユウヤ?僕だけど」

「どうした?フェニ、何かあったのか」

フェニから電話が来たという事は教国側に何か報告しないといけない事が起こったという事だろう。

「うん、今僕は教国の軍を上空から見てるんだけど、軍の進んでる速さ的に大体後1時間位で公国に着きそうだからユウヤに報告しとこうと思ったんだ」

俺がフェニに何が有ったのかを聞くとフェニは思いもよらぬ報告をする。

「1時間!?それは本当なのか?」

俺はまさかの報告に驚いてフェニに再度確認をする。

「うん、このままのスピードで進んでいったら1時間後には公国に着くよ」

「マジか…」

フェニもこんな状況で冗談を言わないだろう、という事は教国の軍が後1時間程で着くというのは本当なのだろう。

でもそうなると公国がどうやってそんなスピードでこっちに来ているのかを考えなければならない。

一番最初に考えるべきは教国が今朝ではなくてもっと早く出軍していたという可能性だが…修羅が偽りの情報を掴まされるとは思えない。

情報が嘘じゃ無いと考えると教国が出軍したのは本当に今朝という事になるんだが…それだとあと1時間で教国の軍が着くはずが無いんだよな。

戦争をすると言う事で教国軍は食料は勿論、兵の装備や医療品等持っていくものは多くある。

持っていく荷物が多いという事は必然的に進行速度は遅くなって公国に着くのは遅くなる。

公国と教国の距離は他の国とは違って意外と近い…が、それでも馬車で1日は掛かる位には距離が有る。

通常、公国の軍が到着するのはどれだけ急いでも1日半~2日は掛かる計算だ。

休憩無し、馬を使い潰すレベルで急げばもう少し早く来る事は出来るだろうが、そんなのは馬や兵士たちを疲弊させるだけで意味が無いどころか勝てる可能性を減らすだけだ。

それにそれを実行したとしても1日は掛かるだろうし。

ていうか普通の方法だったら今朝出軍した筈の教国軍がこんな早く移動出来る訳がない。

どんなものかは分からないが教国の軍は転移魔法の様に一気に距離を移動できる手段が有ると考えるしか無いか。

「フェニ、なんで教国がそんなに早く移動できてるか分かるか?」

実際に見ているフェニなら教国軍が早く動けているか理由が分かるかもしれない、そう考えた俺は何か気付くことが無いかフェニに聞く。

「教国が早く移動してる理由?多分アレが理由だと思う」

フェニはそう言うと教国の馬車を大型の魔物が牽いていると言う事を話してくれた。

「大型の魔物が馬車を牽いている…成る程そう言う事か」

魔物は疲労を感じない、その魔物に馬車を牽かせる事で兵士や馬を疲弊させずに移動しているって事か?

でも教国にそんな大型の魔物をテイムできる人物が居るのか?

魔物は強ければ強いほどテイムが難しくなる。

大型の魔物はテイマーでもそれなりの実力が無いとテイムする事は出来ないし、軍の馬車を牽かせていると言う事はそれなりの数の魔物をテイムしていると言う事になる。

この世界ではテイマーは珍しいらしいし、そんなに多くの大型魔物をテイムする事が出来る人物が教国に居るんだろうか?

まぁ実際に居るから馬車を魔物が牽いてるんだろうけど…何か裏が有る様な気がする。

現状じゃ判断出来ないし、勘違いだったらそれはそれで良いんだが…少し教国に警戒した方が良いか。

「フェニ、他に報告する事は有るか?」

「う~ん、今のところは無いかな?僕に気づいた様子も無いし、怪しい動きもして無いよ」

俺が他に報告する事があるかをフェニに聞くとフェには現状報告することは無いと返事をした。

「分かった報告ありがとな、何か有ったら俺からも連絡する、引き続き監視をよろしく頼む」

「はいはーい、じゃあ通話切るね」

フェニはそう言うと通話を切った。

「…フェル、急いでヤヨイに合流するぞ」

「分かった」

返事を聞いた俺は自分とフェルに光魔法を掛け、ヤヨイと合流する為に行動を開始する。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生したら倉庫キャラ♀でした。

ともQ
ファンタジー
最高に楽しいオフ会をしよう。 ゲーム内いつものギルドメンバーとの会話中、そんな僕の一言からオフ会の開催が決定された。 どうしても気になってしまうのは中の人、出会う相手は男性?女性? ドキドキしながら迎えたオフ会の当日、そのささやかな夢は未曾有の大天災、隕石の落下により地球が消滅したため無念にも中止となる。 死んで目を覚ますと、僕はMMORPG "オンリー・テイル" の世界に転生していた。   「なんでメインキャラじゃなくて倉庫キャラなの?!」 鍛え上げたキャラクターとは《性別すらも正反対》完全な初期状態からのスタート。 加えて、オンリー・テイルでは不人気と名高い《ユニーク職》、パーティーには完全不向き最凶最悪ジョブ《触術師》であった。 ギルドメンバーも転生していることを祈り、倉庫に貯めまくったレアアイテムとお金、最強ゲーム知識をフルバーストしこの世界を旅することを決意する。 道中、同じプレイヤーの猫耳魔法少女を仲間に入れて冒険ライフ、その旅路はのちに《英雄の軌跡》と称される。 今、オフ会のリベンジを果たすため "オンリー・テイル" の攻略が始まった。

転生したらやられ役の悪役貴族だったので、死なないように頑張っていたらなぜかモテました

平山和人
ファンタジー
事故で死んだはずの俺は、生前やりこんでいたゲーム『エリシオンサーガ』の世界に転生していた。 しかし、転生先は不細工、クズ、無能、と負の三拍子が揃った悪役貴族、ゲルドフ・インペラートルであり、このままでは破滅は避けられない。 だが、前世の記憶とゲームの知識を活かせば、俺は『エリシオンサーガ』の世界で成り上がることができる! そう考えた俺は早速行動を開始する。 まずは強くなるために魔物を倒しまくってレベルを上げまくる。そうしていたら痩せたイケメンになり、なぜか美少女からモテまくることに。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

異世界のんびり冒険日記

リリィ903
ファンタジー
牧野伸晃(マキノ ノブアキ)は30歳童貞のサラリーマン。 精神を病んでしまい、会社を休職して病院に通いながら日々を過ごしていた。 とある晴れた日、気分転換にと外に出て自宅近くのコンビニに寄った帰りに雷に撃たれて… ================================ 初投稿です! 最近、異世界転生モノにはまってるので自分で書いてみようと思いました。 皆さん、どうか暖かく見守ってくださいm(._.)m 感想もお待ちしております!

平凡冒険者のスローライフ

上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。 平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。 果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか…… ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。

退屈な人生を歩んでいたおっさんが異世界に飛ばされるも無自覚チートで無双しながらネットショッピングしたり奴隷を買ったりする話

菊池 快晴
ファンタジー
無難に生きて、真面目に勉強して、最悪なブラック企業に就職した男、君内志賀(45歳)。 そんな人生を歩んできたおっさんだったが、異世界に転生してチートを授かる。 超成熟、四大魔法、召喚術、剣術、魔力、どれをとっても異世界最高峰。 極めつけは異世界にいながら元の世界の『ネットショッピング』まで。 生真面目で不器用、そんなおっさんが、奴隷幼女を即購入!? これは、無自覚チートで無双する真面目なおっさんが、元の世界のネットショッピングを楽しみつつ、奴隷少女と異世界をマイペースに旅するほんわか物語です。

異世界転生!俺はここで生きていく

おとなのふりかけ紅鮭
ファンタジー
俺の名前は長瀬達也。特に特徴のない、その辺の高校生男子だ。 同じクラスの女の子に恋をしているが、告白も出来ずにいるチキン野郎である。 今日も部活の朝練に向かう為朝も早くに家を出た。 だけど、俺は朝練に向かう途中で事故にあってしまう。 意識を失った後、目覚めたらそこは俺の知らない世界だった! 魔法あり、剣あり、ドラゴンあり!のまさに小説で読んだファンタジーの世界。 俺はそんな世界で冒険者として生きて行く事になる、はずだったのだが、何やら色々と問題が起きそうな世界だったようだ。 それでも俺は楽しくこの新しい生を歩んで行くのだ! 小説家になろうでも投稿しています。 メインはあちらですが、こちらも同じように投稿していきます。 宜しくお願いします。

処理中です...