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「じゃあヤヨイさん、少しあっちで話をしましょう」

「ええ、そうしましょうか」

ブラットさんとフィオレさんからお礼の言葉を受け取ったヤヨイはフィオレさんにそう言われ、カウンター席に戻って話をし始めた。

「2人とも行っちゃいましたけど、良いんですか?」

俺はブラットさんに話しかける。

ブラットさんはさっきフィオレさんにプロポーズをしたばっかりだし、フィオレさんと再会したばっかりだから話したい事はいっぱい有るはずだ。

「なに、俺はこれからいつでも話すことが出来るからな、夜にでもゆっくりと話すさ」

俺の質問にブラットさんはそう答えてくれた。

そしてブラットさんの回答を聞いた俺は納得する。

「じゃあこっちはこっちでブラットさんのプロポーズの成功を祝いましょうか、自分が奢りますよ」

「おっ、良いねぇ、じゃあ頂こうかな」

と言うわけで俺とブラットさんはカウンター席に戻ってお祝いをする事にした。

「ガンテツさん…でしたっけ?この店で一番良い酒をブラットさんに」

俺は店主であるガンテツさんにお酒を注文する。

「おいおい…良いのか?」

俺が注文をするとブラットさんは俺を心配する様にそう聞いてきた。

「お金の事なら心配ありませんよ、俺にドンと任せてください」

実際に俺の所持金は国家予算を遥かに上回る程有るっていうか本当に使いきれない程あるからな。

こういう時にこそ使わないと本当に宝の持ち腐れになりそうだ。

「そうか?」

「ええ、実はこう見えて金持ちなんですよ、俺」

俺は笑いながらブラットさんにそう言う…するとブラットさんは大きな声で笑う。

「そうか!それなら遠慮なく飲ませて貰う」

「ええ…じゃあお願いします」

俺がガンテツさんにそういうとガンテツさんは1度頷いてから後ろにある棚から1つのお酒を取り出した。

「これがこの店で一番上等な酒だ…ブラット、こんな酒を飲める機会なんてそうねぇぞ、しっかりと味わった飲めよ」

ガンテツさんはそう言うと棚から取り出した酒をブラットさんの前に出した。

「ガンテツさんこれって…」

ブラットさんはガンテツさんに渡されたお酒を見ると驚いていた。

なんだろう?あのお酒がそんなに珍しいのか?

どんなお酒なのか気になった俺はブラットさんの持っているお酒を見てみる事にする。

お酒のラベルの所には我が親愛なる息子へと書いてあった。

ラベルに書いてある文字を読んだ俺は1つの考えが浮かんだ。

「正真正銘、アイツが作った最後の一本だ、オメェが立派になった時に出してやってくれと頼まれてた」

ガンテツさんは驚いているブラットさんにそう伝えた。

やはりこのお酒の製作者はブラットさんのお父さんらしい。

「親父が?…なんで…」

そしてその言葉を聞いて納得できていない様子のブラットさんにガンテツさんが話しかける。

「ブラットよ…オメェは勘違いしてるかも知れねぇがアイツはお前の事を嫌ってる訳じゃねぇ」

「嘘だ!…親父は俺が冒険者になるって言った時、お前には絶対に無理だから諦めて家業を継げって言ってきたんだ、親父は所詮俺のことなんて家業を継がせるための道具としか思ってねぇよ」

ガンテツさんが言った言葉をブラットさんは即座に否定する。

「馬鹿野郎!自分の息子を命の危険がある仕事に就かせたいと思う親が居るか!」

ブラットさんの言葉を聞いたガンテツさんがブラットさんを怒鳴りつける。

「アイツはなぁ、オメェが冒険者になるって家を飛び出した後にわざわざ俺の所に来て息子が死なないように鍛えてくれって言いに来たんだぞ」

「そうか…だからあの時ガンテツさんが俺に…」

ガンテツさんの話を聞いたブラットさんは当時の事を思い出しているのかそう呟く。

「だからよ…コレが終わったら一回帰ってやれ…アイツも喜ぶだろうし、積もる話もあるだろう」

ガンテツさんはそういうと厨房の方に入って行った
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