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「じゃあヤヨイ、手筈通りに」

「はい、マスターもお気を付けて」

「おう、そっちもな」

俺とヤヨイは二手に別れる。

俺とヤヨイはあの後少し話をして、これからの行動を決めた。

ヤヨイはこの避難所にフィオレさんが居るかの確認、そしてフィオレさんが居たならこの避難所からブラットさんの元に連れて行く事。

俺は隠密行動を取りつつ避難所の捜査だ。

この空間を拡張している魔法が発動している場所を特定し、俺が考えた様な方法で魔法を維持しているなら魔法を消して、犠牲を最小限に留める。

大量の人を生贄にしているなら犠牲を少なく。

それ以外の方法でこの魔法が起動しているなら原因を調べ、何らかの不利益が無さそうだと判断したらそのまんま放置する。

後の方の可能性は凄く低いが、希望を捨ててはいけない。

少しでも良い方向になる様に頑張らなければ。

俺はヤヨイと別れた後、気配遮断に光魔法で気配と姿を消し、魔力視を発動させた状態で避難所の探索を開始する。

これ位の魔法だと、発動している場所を特定するのは容易いだろう。

その理由は、この魔法を維持する為には大量の魔力が必要になるからだ。

大量の魔力を使っているという事は魔法が発動している場所の近くは必然的に魔力濃度が高くなる。

だから魔力視で魔力を見ながら探索すれば、明らかに他と比べて魔力の量が異常に多い場所が見つかる筈だ。

まぁ簡単に言うとここら辺で一番魔力が集まっている場所にこの魔法を起動させているものが有るから、そこを目指して進めば良いという訳だ。

という訳で現在俺は、魔力視によって見えるようになっている魔力の量が多い場所を目指して避難所を進んでいる。

途中、何人もの人とすれ違ったが、俺に気付くことは無かった。

そうして探索していると、人が全く居ない場所に着いた。

先程までは少ないにしても何人かは人が居たのだが、少し前からぱったりと誰も見かける事がなかった。

空気中の魔力濃度も入り口の方と比べると明らかに多い。

体感で大体2倍~2.5倍位に感じる。

だが、これ程まで魔力濃度が高くなっているにも関わらずまだ魔法の媒体が見つからない。

だが、魔力濃度が高くなっているという事は俺がその魔法に近づいているという事だ。

今俺がいる所は一本道だから、このまま進んでいけば時期に着くだろう。

因みに、何故魔力濃度が高くなっているかを説明すると、魔法を発動する時、魔力を消費する。

だが、消費した魔力が全て魔法に変換される訳ではないのだ。

魔法を発動させたとき、個人差はあれど多少の魔力は魔法に変換されず、周囲に放出されるのだ。

この放出される量は魔力操作が上手い人ほど少なく、逆に魔力の扱いに慣れていない人ほど多くなる。

例えば、初心者と熟練者が同じ魔力量で同じ魔法を発動させたとき、熟練者の魔法の方が威力の高い魔法を放つことができるという訳だ。

熟練者の方が高い威力の魔法を放てたのは、魔力操作に慣れていて、魔法の発動による魔力のロスが初心者より少ないから、ロスしなかった魔力の分、魔法の威力が上がったという事だ。

この魔力のロスとは、効果の高い魔法…つまり、発動させるのが難しい魔法になればなるほど多くなっていく訳だ。

この世界の魔法使いがどれほどまでの魔法を扱えるかは分からないが、今回の様に空間に干渉する様な高難易度の魔法を発動した場合、当然その魔法の発動に必要な魔力量は多くなるし、その分魔力のロスも多くなる。

そしてそのロスした分の魔力が空気中に放出されるから、魔法が発動している付近の魔力濃度が高くなるという訳だ。

魔力濃度が高いってことはそれだけ魔力をロスしているという事。

この魔法は個人で発動させられる様な魔法じゃないから魔方陣等を使ってるのだろうが魔方陣は完成度によってロスする魔力量が変化する。

ここでこれだけの魔力濃度になるんだ、この魔法を維持する為に犠牲になった人は多い筈…少し急いだ方が良いかも知れないな。

これ以上の犠牲を出さないため、俺は走りだす。
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