140 / 280
140
しおりを挟む
「おいおい!落ち着け」
俺は今も俺の手を掴んで外に連れ出そうとしているヤヨイに落ち着く様に言う。
避難所の兵士の対応がアレだったのは分かるが、落ち着いて貰わないと…
「マスターは行ってはいけないと?」
俺の言葉に反応したヤヨイはピタリとその場に止まってそう聞いてくる。
ヤヨイの事だ、俺が行ってはいけないと言えば行きはしないだろう。
だが、今の問題はそこでは無い。
「そういう訳じゃ無いが…まずは勘定をしてからだ」
そう、俺たちはまだ会計をしていない。
「あっ…」
どうやらヤヨイも俺の言葉を聞いて理解したのか顔を赤くしている。
「すみません…マスター」
「いやいや、気にしなくても良いさ、ヤヨイの気持ちは分かるからは」
あの後、テーブルに料理の料金を置いて店から出た俺とヤヨイは少し離れた場所に有ったベンチに座りながら話をしている。
どうやらヤヨイも先ほどのやりとりで冷静になったのか避難所に直行する事にはならなかった。
「それで?どうする?」
俺はヤヨイに避難所に行きたいかを聞く。
「私は行きたいです…ですが」
そうヤヨイの表情は少し暗い気がする。
まぁヤヨイの事だ、本来の目的である邪神の力をどうにかするっていう前に自分のやりたい事をやるなんて…とか、俺に迷惑が掛かるんじゃないかとか考えているのだろう。
別に俺の迷惑なんて考えなくても良いのだが、ヤヨイは基本的に自分より俺を優先する。
それはユグドラシルオンラインでの役職がプレイヤーをサポートするサポートAIだったというのも有るのだろう。
サポートAIの仕事はマスターであるプレイヤーをサポートし、快適にゲームをプレイさせる事。
このサポートというのが幅広く、例えばヤヨイはゲーム時代に異空間で食材を作って、料理を作ったり、一緒に狩りに行ったりしていたが、他のプレイヤーの話ではフィールドに行かせてアイテムを採取させたり、鉱山に行かせて発掘させたりも出来るらしい。
まぁ俺の場合は発掘場のゴーレム達が自動的に発掘してくれるし、採取の方は自分でやるのが好きだから頼んだりはしなかったけど
まぁ簡単に言うと、サポートAIはプレイヤーのサポートをするという意識が組み込まれている為、プレイヤーの迷惑になる様な行動は取らない。
ヤヨイは正確的にも人に尽くすタイプだからサポートAIの特性も相まって余計に俺に迷惑を掛けたくないという思いが大きいのだと思う。
ていうかヤヨイや修羅もだが、皆もっとワガママを言っても良いのに
ゲームではフェルが一番ワガママを言っていたが、それでも一緒にモンスターを倒しに行こう、だったり全然迷惑が掛からなかったからな。
だから今回、ヤヨイが俺の手を掴んで避難所に行こうと言ってきたのは少し嬉しい。
それに、この件は俺も思うところがあるから、俺自身も行きたい。
「じゃあ行こうか」
俺はベンチから立ってヤヨイに向けてそう言う。
「マスター?」
「ほら、避難所に行くんだろ?まずは一旦屋敷に戻ろうか」
俺はそう言ってヤヨイの手を掴んで転移魔法を発動させる。
「マスター!?」
ヤヨイはいきなり転移魔法を発動させたからか驚きの声を上げている。
「じゃあヤヨイ、着替えてくるから少し待っていてくれ」
俺はヤヨイにそう言って屋敷の中に入っていく…
「ちょっ、マスター!」
先程から思考停止していたヤヨイだが、起動したのか俺を追いかけてくる。
「ん?どうしたんだ?」
「どうしたんだ?じゃないです、いきなりなんなんですか?」
どうやらヤヨイはいきなりここに転移させた理由がわからないらしい。
「何って、避難所に行くんだ、武装していたら中に入れないだろう?」
ブラットさんの話だと武装している人や冒険者は中に入れてもらえないらしいからな。
一般人のふりをする為に装備を外して普通の格好をしなければならない。
俺は服装を変える為、屋敷の中に入っていく。
俺は今も俺の手を掴んで外に連れ出そうとしているヤヨイに落ち着く様に言う。
避難所の兵士の対応がアレだったのは分かるが、落ち着いて貰わないと…
「マスターは行ってはいけないと?」
俺の言葉に反応したヤヨイはピタリとその場に止まってそう聞いてくる。
ヤヨイの事だ、俺が行ってはいけないと言えば行きはしないだろう。
だが、今の問題はそこでは無い。
「そういう訳じゃ無いが…まずは勘定をしてからだ」
そう、俺たちはまだ会計をしていない。
「あっ…」
どうやらヤヨイも俺の言葉を聞いて理解したのか顔を赤くしている。
「すみません…マスター」
「いやいや、気にしなくても良いさ、ヤヨイの気持ちは分かるからは」
あの後、テーブルに料理の料金を置いて店から出た俺とヤヨイは少し離れた場所に有ったベンチに座りながら話をしている。
どうやらヤヨイも先ほどのやりとりで冷静になったのか避難所に直行する事にはならなかった。
「それで?どうする?」
俺はヤヨイに避難所に行きたいかを聞く。
「私は行きたいです…ですが」
そうヤヨイの表情は少し暗い気がする。
まぁヤヨイの事だ、本来の目的である邪神の力をどうにかするっていう前に自分のやりたい事をやるなんて…とか、俺に迷惑が掛かるんじゃないかとか考えているのだろう。
別に俺の迷惑なんて考えなくても良いのだが、ヤヨイは基本的に自分より俺を優先する。
それはユグドラシルオンラインでの役職がプレイヤーをサポートするサポートAIだったというのも有るのだろう。
サポートAIの仕事はマスターであるプレイヤーをサポートし、快適にゲームをプレイさせる事。
このサポートというのが幅広く、例えばヤヨイはゲーム時代に異空間で食材を作って、料理を作ったり、一緒に狩りに行ったりしていたが、他のプレイヤーの話ではフィールドに行かせてアイテムを採取させたり、鉱山に行かせて発掘させたりも出来るらしい。
まぁ俺の場合は発掘場のゴーレム達が自動的に発掘してくれるし、採取の方は自分でやるのが好きだから頼んだりはしなかったけど
まぁ簡単に言うと、サポートAIはプレイヤーのサポートをするという意識が組み込まれている為、プレイヤーの迷惑になる様な行動は取らない。
ヤヨイは正確的にも人に尽くすタイプだからサポートAIの特性も相まって余計に俺に迷惑を掛けたくないという思いが大きいのだと思う。
ていうかヤヨイや修羅もだが、皆もっとワガママを言っても良いのに
ゲームではフェルが一番ワガママを言っていたが、それでも一緒にモンスターを倒しに行こう、だったり全然迷惑が掛からなかったからな。
だから今回、ヤヨイが俺の手を掴んで避難所に行こうと言ってきたのは少し嬉しい。
それに、この件は俺も思うところがあるから、俺自身も行きたい。
「じゃあ行こうか」
俺はベンチから立ってヤヨイに向けてそう言う。
「マスター?」
「ほら、避難所に行くんだろ?まずは一旦屋敷に戻ろうか」
俺はそう言ってヤヨイの手を掴んで転移魔法を発動させる。
「マスター!?」
ヤヨイはいきなり転移魔法を発動させたからか驚きの声を上げている。
「じゃあヤヨイ、着替えてくるから少し待っていてくれ」
俺はヤヨイにそう言って屋敷の中に入っていく…
「ちょっ、マスター!」
先程から思考停止していたヤヨイだが、起動したのか俺を追いかけてくる。
「ん?どうしたんだ?」
「どうしたんだ?じゃないです、いきなりなんなんですか?」
どうやらヤヨイはいきなりここに転移させた理由がわからないらしい。
「何って、避難所に行くんだ、武装していたら中に入れないだろう?」
ブラットさんの話だと武装している人や冒険者は中に入れてもらえないらしいからな。
一般人のふりをする為に装備を外して普通の格好をしなければならない。
俺は服装を変える為、屋敷の中に入っていく。
0
お気に入りに追加
373
あなたにおすすめの小説
残滓と呼ばれたウィザード、絶望の底で大覚醒! 僕を虐げてくれたみんなのおかげだよ(ニヤリ)
SHO
ファンタジー
15歳になり、女神からの神託の儀で魔法使い(ウィザード)のジョブを授かった少年ショーンは、幼馴染で剣闘士(ソードファイター)のジョブを授かったデライラと共に、冒険者になるべく街に出た。
しかし、着々と実績を上げていくデライラとは正反対に、ショーンはまともに魔法を発動する事すら出来ない。
相棒のデライラからは愛想を尽かされ、他の冒険者たちからも孤立していくショーンのたった一つの心の拠り所は、森で助けた黒ウサギのノワールだった。
そんなある日、ショーンに悲劇が襲い掛かる。しかしその悲劇が、彼の人生を一変させた。
無双あり、ザマァあり、復讐あり、もふもふありの大冒険、いざ開幕!
土下座で女神に頼まれて仕方なく転生してみた。
モンド
ファンタジー
ドジな女神が失敗を繰り返し、管理している世界がえらい事になって困っていた。
ここに来て女神は「ここまできたら最後の手段を使うしかないわ。」と言いながら、あるカードを切った。
そう、困ったら「日本人の異世界転生」と言うのが先輩女神から聞いていた、最後の手段なのだ。
しかし、どんな日本人を転生させれば良いかわからない女神は、クラスごと転生を先ず考えたが。
上司である神に許可をもらえなかった。
異世界転生は、上司である神の許可がなければ使えない手段なのだ。
そこで慌てた女神は、過去の転生記録を調べて自分の世界の環境が似ている世界の事案を探した。
「有ったこれだわ!・・何々・「引きこもりかオタクが狙い目」と言うことは・・30歳代か・・それから、・・「純粋な男か免疫のない男」・・どういうのかわからなくなったわ。」
と呟きながら最後は、
「フィーリングよね、やっぱり。」
と言い切ってカードを切ってしまった、上司の許可を得ずに。
強いのか弱いのかよく分からないその男は、女神も知らない過去があった。
そんな女神に呼ばれた男が、異世界で起こす珍道中。
妻を寝取ったパーティーメンバーに刺殺された俺はもう死にたくない。〜二度目の俺。最悪から最高の人生へ〜
橋本 悠
ファンタジー
両親の死、いじめ、NTRなどありとあらゆる`最悪`を経験し、終いにはパーティーメンバーに刺殺された俺は、異世界転生に成功した……と思いきや。
もしかして……また俺かよ!!
人生の最悪を賭けた二周目の俺が始まる……ってもうあんな最悪見たくない!!!
さいっっっっこうの人生送ってやるよ!!
──────
こちらの作品はカクヨム様でも連載させていただいております。
先取り更新はカクヨム様でございます。是非こちらもよろしくお願いします!
異世界のんびり冒険日記
リリィ903
ファンタジー
牧野伸晃(マキノ ノブアキ)は30歳童貞のサラリーマン。
精神を病んでしまい、会社を休職して病院に通いながら日々を過ごしていた。
とある晴れた日、気分転換にと外に出て自宅近くのコンビニに寄った帰りに雷に撃たれて…
================================
初投稿です!
最近、異世界転生モノにはまってるので自分で書いてみようと思いました。
皆さん、どうか暖かく見守ってくださいm(._.)m
感想もお待ちしております!
うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョンを探索する 配信中にレッドドラゴンを手懐けたら大バズりしました!
海夏世もみじ
ファンタジー
旧題:動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョン配信中にレッドドラゴン手懐けたら大バズりしました
動物に好かれまくる体質を持つ主人公、藍堂咲太《あいどう・さくた》は、友人にダンジョンカメラというものをもらった。
そのカメラで暇つぶしにダンジョン配信をしようということでダンジョンに向かったのだが、イレギュラーのレッドドラゴンが現れてしまう。
しかし主人公に攻撃は一切せず、喉を鳴らして好意的な様子。その様子が全て配信されており、拡散され、大バズりしてしまった!
戦闘力ミジンコ主人公が魔物や幻獣を手懐けながらダンジョンを進む配信のスタート!
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる