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ブラットと別れた俺とヤヨイは何故公国が教国と戦争を起こそうとしているのかを探るべく、住民に話を聞こうとしていた。

「可笑しいな」

俺たちは情報収集をしようとしたのだが、街の中には一般人が居ない。

確かに人は居るが、皆冒険者の様に武装をしているし、商人は居ても、普通に買い物をしたりしている人が居ないのだ。

「マスター、一先ずそこら辺のお店で話を聞いてみましょう、商品を買えば店主も喜んで情報を提供してくれる筈です」

「そうだな、そうしよう」

ヤヨイの提案によって、俺たちは近くに有った武器屋に入る事にした。

ドアを開けるとカランカランと音が鳴り、店主がこちらを見る。

「…いらっしゃい」

店主は俺たちに向けて小さく言うと、すぐに視線を手元にある新聞の様なものに落とした。

「これは…アレか?」

日本では珍しくなった職人気質の親父という奴じゃないだろうか?

漫画だと、良い物を作るが、売る相手を選んだりする奴だ。

日本だと、機械化が進んで職人がやらなくても良い性能の物が作れる様になっていったからな。

最高の1を時間をかけて作るのではなく、同じ時間で、高性能の3やら5やらを作った方が良いという風潮になってたしな。

日本では多少残っていると言う話を聞いていたが、実際に会うのはこれが初めてになるかもしれない。

俺は少しワクワクしてくる気持ちを抑え、店主に話しかける事にした。

「すいません、少し聞きたい事が有るんですけど」

「…」

声を掛けたが反応が無い。

聞こえてないのか?ともう一度声を掛けようとした時、いきなり大きな音をたてて店のドアが開いた。

「おい爺さん!今日こそ武器を売ってもらうぜ!」

そう言って中に入ってきたのは全身に鎧を着込んだ男たちだった。

男たちは店内をズカズカと進んでいき…店主の前に行く。

「アルバレス卿からの正式な書状だ、断ることは出来んぞ」

集団の中で一番偉そうな奴が店主に書状を見せる。

アルバレス卿という人がこの国でどれ程偉いのかは分からないが正式な書状を出して武器を集めているとなると戦争が始まるのにはそこまで時間が無いと言うことか?

それに、書状を出してくると言うことは、ここの店主の売っている武器が高性能なのだろう。

「ワシは言った筈だ、ワシの武器は戦争に使う為に作っている訳では無い、もう一度言うぞ、諦めて帰れ」

店主の親父さんはそう言うとまた新聞を読み始めた。

「アルバレス卿に逆らうのか!」

兵士の1人が店主を叫ぶが、店主は兵士無視をする。

もう対応する気は無いのだろう。

「貴様ぁ!」

兵士の1人が店主の態度に激昂して怒鳴りながら腰の剣を抜いて振りかぶった。

「おい!止めろ!」

兵士が店主を切ろうとしたのに気づいた兵士が止めようと声を出すが、頭に血が登って聞こえないのか兵士は剣を振り下ろす。

「おい、流石にそれは見過ごせないぞ」

俺は剣が店主を切る前に兵士の腕を掴んで止める。

「っ!?」

俺に腕を掴まれた兵士は怒りの表情で俺の方を勢いよく振り向く。

「少し落ち着いた方が良い」

俺は手加減を発動させた状態で首に手刀を打って兵士の意識を落とす。

手加減を発動させておけばどんな攻撃を当てても死なない。

「グッ!」

意識を失った兵士はその場に崩れ落ちる。

周りに居た兵士達は、いきなり乱入してきて、1人の兵士を無力化したという事で警戒しながらもこちらを見ている。

どうやら抜剣をする奴は居ないようなので、一応は状況判断が出来ているのだろう。

まぁ攻撃をされても平気とは言え、店に迷惑を掛ける訳にはいかないからな。

「気絶させただけだ、このままでは本当に切り掛かって行きそうだったからな」

俺はそう言って敵意は無いとアピールをする。

すると店主に書状を見せていた兵士…隊長だろうか?が後ろにいる兵士になんらかの合図をした。

合図をみた兵士は剣の柄から手を離す。

「店主、私の部下が失礼をした、そしてそこの御人、部下を止めてくれた事、感謝する」

隊長らしき人は店主に謝罪をして、俺に礼を言ってきた。
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