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「よし、じゃあ小さい魔力を感知出来るように特訓するぞ」

「はい!」

俺がニックの為に考えた方法は簡単、ニックに目隠しをさせた状態で小さく、威力の無い魔法をランダムでニックに放つというものだ。

「特訓の方法は目隠しをして俺が放つ魔法を避けるだけだ」

俺がニックにそう伝えるとニックが驚いて俺に質問をしてきた。

「えっ?魔法を人に撃つのって危険じゃ無いのか?」

「威力は出ないように調整するし、危険性は無い、それに目隠しをするのは視覚的情報を遮断する事で他の感覚器官を使わせるという目的があるからな」

「おし、バッチコーイ!」

本人の了承も得られたのでアイテムボックスから布を取り出してニックの目に巻きつける。

「じゃあ始めるぞ」

俺はニックに一言声を掛けてからニックの後ろにほんの少し、ゲームでのMP1位の魔力を込めた魔法を展開する。

発動させる魔法は風属性、風の塊を生み出して射出するだけの魔法だ。

魔法によって産み出された 風の塊はユラユラと遅いスピードで進んでいき…そしてニックに当たる。

「うわっ!」

ボフンッと風の塊はニックの背中に当たり、ニックを前に押し出す。

視界が塞がれているニックはバランスを崩して前に転ぶ。

とっさに地面に受け身を取ったみたいで、怪我をしているようすは無さそうだ。

「ほら、ちゃんと魔力を感知できるように集中しろ!」

立ち上がったニックに声を掛けて再度魔法を展開、そして空中に固定する。

「じゃあもう一回いくぞ」

そう言って今回は前後から一発ずつ時間差で魔法を放つ。

前方から飛んで来る魔法には威力は無いがニックが魔力を感じられる様に5MP程度の魔力を込めた。

この世界の一般人の魔力保有量が100~200位、魔法使いが300~700位だ。

5MPは、だいたい日々の生活で使う魔法ぐらいの魔力量だな。

まぁこの魔力を感じることが出来るなら戦闘でも十分使える位にはなるだろう。

それから俺は工夫をしつつ、ニックに3~5程度の魔力を込めた魔法を発動させ続けた。

最初の頃は全ての魔法に当たっていたニックだが、時間が経つにつれて魔法を避ける事が出来るようになっていった。

最初は1発、次は2発、ニックが避ける事が出来る様になっていった。

俺はニックが避けられる魔法の数が増える毎にニックに撃つ魔法の数を増やしていった。

そうして途中に休憩を挟んだが、3時間程たった位でニックは魔力感知を完璧にマスターした。

ニックが魔力感知を覚えて少し休憩を挟んだ所でメイドさんがこっちに走ってきた。

話を聞くとどうやらニックにはこれから違う習い事が有るらしい。

まぁ貴族の嫡男だし、当主になるのが決定している様なもんだから色々と学ばなければいけないことがあるのだろう。

「じゃあニック君に回復魔法を掛けて終了にしますね」

俺はメイドさんにそう伝える。

俺の言葉を聞いたメイドさんは綺麗にお辞儀をして屋敷の方に戻っていった。

「ニック」

「はい、何ですか?」

俺はニックに声を掛ける。

「この後習い事が有るらしいから今回はこれでおしまいにするぞ」

「ええ~もっとやりたかったのに」

ニックは終了させると言うと不満の声を上げる。

「じゃあ回復魔法を掛けるから、ニック、習い事頑張れよ」

「分かった、ユウヤさんは明日も魔法を教えに来るの?」

そう言えばいつニックに魔法の練習をさせれば良いのかを聞いていなかったな。

「それはバーナム男爵と相談して決めるからまだ決まってないぞ…というより今日はお試しの様な物だから正式に俺が教えるとは限らないしな」

俺はそう言って屋敷の中に入っていき、メイドさんにバーナム男爵の居場所を聞く。

「旦那様は現在執務室の方にいらっしゃると思われます…ご案内いたしましょうか?」

俺はメイドさんにお願いしてバーナム男爵の執務室に案内してもらった。
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