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しおりを挟む約束の時刻に、山岡は小走りで現れた。
瑠衣はその姿を見つけると、片手を上げて合図を送った。
すぐに目が合い、山岡は瑠衣の元へと近づいた。
「来てくれたんだ。よかった」
「待ってたよ、ずっと」
瑠衣の言葉に、山岡は嬉しそうに微笑んだ。
「ありがとう。何か食べる?」
「うん、何がいいかな~」
マフィンを頬張りながら、甘いカフェオレを飲みながら、瑠衣と山岡はいろんな話をした。
「それで。相沢は今、どこに勤めてるの?」
う、と瑠衣は返事に詰まった。
しかし、嘘をついてもすぐにばれそうだ。
一つの嘘が、雪だるまのように次から次へと嘘で大きくなっていくことを、瑠衣は知っていた。
そこで、もうこの際バラしてしまうことにした。
「ん? うん。愛人してる」
「愛人!?」
瑠衣のノルマケーキを全部買ってくれた寿士と愛人契約をかわし、共に同じマンションで暮らしている話を、山岡は複雑な表情で聞いていた。
「でもね、そのパトロンには恋人ができちゃったから、僕はもうすぐクビになるかもしれないな」
「そんな身勝手な」
山岡は、寿士に良い印象を抱かなかったようだ。
ぶつぶつと、瑠衣が可哀想だとこぼし始めた。
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