両片思いのI LOVE YOU

大波小波

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 翌朝、瑠衣が眼を覚ますと隣に寿士の姿はなかった。
「あれ……?」
 顔を洗い、歯を磨き。
 服を着て、リビングに行ってみると、キッチンの方から良い匂いが漂ってくる。
 覗いてみると、寿士が卵を焼いていた。
 振り向いて瑠衣を見ると、開口一番減らず口を叩いた。
「昨日と同じ服とか、ありえない」
「し、仕方ないでしょう!? 手持ちがないんだから!」
「ま、座ってよ。ちょうど、起こしに行こうと思ってたし」
 テーブルには、美味しそうな朝食が準備されていた。
 かぼちゃの胡麻サラダに、コンソメスープ。
 クロワッサンに、フルーツヨーグルトに、カフェオレ。
 そして、きれいな黄色の、オムレツ。
「これ、寿士さんが?」
「うん。料理とか、結構好きなんだよね」
 意外、と椅子に掛けると、寿士はふわふわのオムレツを瑠衣の目の前に出してくれた。
「ありがとう」
「いいよ、別に。趣味だから」
(素直じゃないッ!)
「何、ムッとしてんの。食べなよ、熱いうちに」
「いただきます……」
 寿士は素直ではなかったが、オムレツは素直に美味しかった。
 二人で、一つの食卓を挟んでの食事。
(僕、ホントに寿士さんの愛人になったんだ)
 それはオムレツの味と共に、実感となって湧いた。

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