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「ん? 千尋、足をどうした!?」
「ごめんなさい、先輩。さっき出た障害物競走で、くじいちゃったんです」
「何と」
 足を引きずるようにしか歩けない、千尋だ。
 陸上部の今川が、サッカー部の小林が、ラグビー部の加藤が、弦を追い抜いていく。
 ぐずぐずしては、いられない。

「これでどうだ!」
「ちょっと、先輩!?」
 がばり、と弦は千尋を横抱きにして、鬼のように走り始めた。
 今川を抜き、小林を抜き、加藤を抜いた。
 そして、立ちはだかる審判。
 彼がうんと言わなければ、先へ進めないのだ。
 弦に突き付けられたカードと千尋とを、審判は交互に見た。
「有効ッ!」
「よし!」
 後はゴールを目指すのみ! 

 全校の腐男子腐女子が、弦と千尋の姫だっこにキャアキャア叫ぶ中、見事一位でテープを切った。
 そして、この弦が一位で獲得した3点が効き、僅差ではあったが白組は見事に勝利を収めたのだ。

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