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「準備完了だ、お兄ちゃん。いや、お姉ちゃん、って呼んだほうが嬉しいのか?」
「何ですか。もう、済んだでしょう!」
 仕上げがまだだ、と痴漢は伊予のストッキングとショーツを一気に下げた。
 大きな手のひらで、ヒップを無理に押し広げられる。
 これまでの行為で興奮し、紅く染まった蕾があらわになった。

「思った通り、物欲しそうにしてやがる」
「ま、まさか!?」
 男の硬い先端が、伊予の柔らかな後膣にあてがわれた。
「イくぜぇ!」
「や、ちょっと、待ッ! や、やめ……ッ!」

 ぐちり、と先端が挿入った。
 伊予はもう、その場に倒れそうだった。
 これから始まる狂乱への、期待。
 相反する、拒否のわななき。
(あぁ、僕……。どうなるんだろ。このまま、痴漢なんか受け入れ……)
 そこに浮かんだのは、やはり英治の姿だった。

「ヤだ、嫌だ! 絶対、イヤ! 大沢さぁん!」
「こ、こら。騒ぐな、暴れるな!」
 伊予が可能な限りもがいていると、突然に漂っていたタバコの臭いが、勢いよく去った。
「あんた、止めないか!」
 凛とした、男性の声が響く。
 伊予に、ようやく救いの手が差し伸べられたのだ。

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