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『珈琲喫茶・がらくた』

 夜も更けたカフェに、息を切らせて駆けこんで来た女性が、一人。
 ぽつんぽつんと店内に残っていた男性客たちは、すぐに彼女に見蕩れた。

 サラサラの長い黒髪に、愛らしい整った顔立ち。
 華奢で色白な肢体に、膝上のスカートから伸びる、黒のストッキングを纏った美脚。
 だが、ウエイターの石丸だけは、それらにつまらなさそうな顔をした。

「マスター、鹿久保くんが来ましたよ」
「あれ? こんな遅い時刻に珍しいね」
 カウンター席に腰かけた伊予は、とりあえず落ち着こうと、マンデリンを注文した。
 そして、コーヒーを味わうこともそこそこに、打ち明けた。

「マスター。僕、悩んでるんです」
「よく悩む奴だな」
「この女装癖が原因で、困ったことになっちゃって」
「だから、ほどほどにしとけ、って何度も言ったんだ」

 うるさいなあ、と伊予は石丸にキレた。
「大体、僕が女装を始めるきっかけを作ったのは、君じゃないか!」
「逆ギレするなよ!」

 以前、この喫茶店の開店三周年記念の余興に、石丸は女顔で小柄な伊予にコスプレさせて、マスターにお披露目した。
 大いにウケたが、何ということだろう。
 それ以来、伊予は女装が癖になってしまったのだ。

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