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しおりを挟む大沢さんには、気になる人がいる。
気になる、ということは、好意を持っているのだろう。
「ど、どんな感じの方なんですか?」
やっとの思いで、伊予は訊ねた。
「サラサラの長い黒髪でね。華奢で色白なんだ」
「……」
「膝上のスカートを履いてることが、多いかな」
「……」
「黒のストッキングが、色っぽくてね」
どきん、と伊予の胸が打った。
「その方、どの駅で降りますか? もしかして、白石で降りたりしませんか?」
「あ、その通り。よく解ったね」
え、あ、いや、と伊予は言葉を濁した。
「ぼ、僕も、その人見たことあるかもな~、って」
そうか、と英治は良い笑顔だ。
「綺麗な人だもんね。目立つよね」
「はい……」
コーヒーを飲み終え、英治は立ち上がった。
「じゃあ、行こうか。今夜はありがとう」
「いえ! 僕の方こそ、すっかりご馳走になってしまって!」
英治は遅くなったから、とタクシー代まで払ってくれた。
できる男の、心憎い気配りだ。
車の後部座席で一人になった伊予は、溜息をついていた。
「はぁ……大沢さん……」
好きだ。
好き、好き、こんなに好き。
だのに、大沢さんは!
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