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しおりを挟む「柔道部、思ったより楽しくて良かったね」
「僕、もっと厳しくて怖い部だと思ってたよ」
入部して一週間が過ぎ、瑞樹は同じ新入生と、そんな言葉を交わしていた。
先輩は親切で優しく、基礎の体力作りも無理のない程度で終わる。
帰り道に、お好み焼きをご馳走してくれることもあった。
そんな風に、瑞樹が警戒を緩めた時に、事件は起きた。
1年生たちが部活最後の掃除を終え、道着を着替えようとロッカールームへ移動を始めた時、2年生が声を上げた。
「今から1年生の歓迎稽古を始める! 集まれ!」
何だろう。
瑞樹たち1年生は、顔を見合わせた。
「もう、6時なのにね」
「でも、歓迎って言うんだから、すぐに終わるんじゃないかな?」
ざわめきながら、1年生が挌技場の中心に集まると、2年生が突然腕を振り上げた。
「行動が遅い!」
そして、一番近くにいた1年生を平手で殴ったのだ。
場内は、一気に静まり返った。
(何、これ。先輩の空気が、今までと全然違う!)
瑞樹の心臓は、ばくばくと激しく打っていた。
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