ロマンス ～草食アルファと肉食オメガの間に、夢より素敵なリアルが始まりました！～

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「トマトって、すぐに鮮度が落ちるんだよね。だから、青い実を摘んで出荷することが多いんだけど」
　でも章さんのミニトマトは、完熟の朝摘みだから、すごく美味しかった！
　そう、志乃は夢中で話す。
「僕が小さい頃に比べれば、流通も発達してるから、いいトマトがスーパーに並ぶようになったよ」
　完熟トマトも、安く買える時があるし！
　語る志乃を、章は新鮮に感じていた。
「志乃くん、詳しいんだね」
「え！？　あ、あの……」
　途端に、志乃の笑顔がこわばった。
「あの、その。僕……」
　どうしよう。
　つい、喋り過ぎた。
（本当の僕を。章さんになら、僕の過去を。これまでの境遇を話しても……）
　だが、志乃は踏みとどまった。
「僕、お野菜とかフルーツとか、好きなんだ。だから」
「そう」
　まだ2回しか会っていない章に、深い話は避けた志乃だ。
　何より、彼に嫌われたくない、との思いが強かった。