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しおりを挟む黒の開襟シャツに、黒のスラックス。
黒のキャンバスシューズに、黒のボディバッグ。
「やっぱり、真っ黒なんですね」
混雑した大学のカフェテリアでも、幸樹は簡単に玄馬を見つけることができた。
「これだと、解りやすいと思ってな」
しかし、と玄馬は顎を撫でる。
「30過ぎの男が、大学生のふりをするのも大変だ」
「教授ファッションにすると、良かったのに」
確かに、と二人で笑った。
「何を食べる? 御馳走するぞ」
「いえ。先日お世話になったので、今日は僕が払います」
「年上には、奢らせてくれ」
「そういうわけには」
いいからいいから、と押されて、玄馬は幸樹とともにトレイをもって列に並んだ。
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