おなかが空いた！ ～寡黙で厳しいアルファ×笑顔が素敵なオメガ 山あり谷ありケンカップル！～

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　そして一年後、両家の許しを得て結婚式が挙げられた。
　蒼真が31歳、末緒が24歳の7月だった。
　披露宴や二次会で、会社の人々にも祝ってもらった二人。
　みんな突然の結婚に驚いたが、すぐにうなずき合って納得した。

『鬼の澤さんと対等にケンカできるのは、末緒くんしかいないだろう』

　こんな具合に、腑に落ちた。

　職場での二人は、相変わらずだ。
　たまに仕事の話をし、時には衝突することもある。
　それでも、周囲に誰もいない時には、温かな笑顔を交わし、互いを労わる言葉を掛けた。

　新居は、蒼真の兄が建てた家を、格安で借りることができた。
　せっかく一戸建てを造ったというのに、海外勤務になってしまったのだ。
　家族そろってこの国を出ることに決まり、良かったら住んで欲しい、との嬉しい申し出があった。
　誰かが居た方が家が傷まないから、と兄は笑っていたが、弟への深い思いやりが見える。
　蒼真はありがたく、末緒と二人で住まわせてもらうことにした。

「お義兄さん、優しいね」
「こっちへ帰って来たら、何かお礼をしなきゃな」
　親族との関係も、良好だった。