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「遥、どうした?」
 携帯にかかってきた遥の声は,妙に明るかった。
 だが、その内容は明るさにそぐわないものだった。

『了さん、僕フラれちゃいました』
「……そうか。気を落とすな」
『どうしよう。どうしたらいいんですか、僕』
「遥、落ち着きなさい。今、どこにいる?」

 電車に乗って帰る途中、と遥は答えた。

「実家に一泊するんじゃなかったのか」
『僕、辛くて。ホントにもう、辛くて……』
「よしよし。駅まで迎えに来てやるから。だから、しっかりしろ」
『僕、もうダメです……』
「ダメじゃないから。だから、電車で眠れ。眠っているうちに、到着する」
『はい……』

 通話を終えた了は、額に指を当てた。
「可哀想にな、遥」
 彼には、幸せになって欲しかったのに。
 仕事は途中で放り出し、了は車に飛び乗った。
 遥を迎えに、駅へ走らせた。

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