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しおりを挟む優雅で美味しい朝食を終え、食後のコーヒーを飲みながら、了は遥に向き直った。
「これから、どうする? 夜までまだ時間がある。どこか、行きたいところはあるか?」
「ありがとうございます。では、松山町のコンビニまで送ってくださると助かります」
「コンビニ? 何か買うのか」
「僕、そこでバイトしてるんです」
了は再び、自分を恥じた。
(弟の医療費のために、昼も夜も働いているのか。この子は)
気分転換に、海にでも連れて行こうかと考えていた自分が、甘かった。
「解った。コーヒーを飲んだら、出かけよう」
「ありがとうございます」
それから、と了は革の長財布を遥に差し出した。
「チップだ。取っておけ」
「え? でもこれは、お財布……」
「チップ用の財布だ。捨てても構わない」
捨てるだなんて、そんな。
どこから見ても、高価そうな財布だ。
そして、その中には。
「さ、札束……!?」
帯封も切っていない、紙幣の束が入っていた。
こんなに、たくさん。
(こ、これって。受け取っちゃってもいいのかな。多すぎないかな!?)
「治療費の足しにするといい」
了の一言で、遥は頭を下げた。
「ありがとうございます!」
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