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1話 幸せなクリスマス
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郁実と父親のカフェに、颯真の魔法が掛かってから一か月後。
今日は、いよいよ12月25日。
クリスマスが、やって来た。
その日には約束通り、颯真は郁実の元へと現れた。
「メリークリスマス、郁実くん!」
「五条さん、本当に来てくれたんですね!」
弾んだ声を上げた郁実の隣で、父親は息子の頭をグリグリした。
「すみません。郁実が、無理を言ったんじゃないですか?」
「いいえ。むしろ俺の方が、強引なんですよ」
郁実くんは、誰か好きな人と約束があったんじゃないの?
そう、颯真は笑った。
冗談半分に、年頃の少年をからかった。
しかし、後の半分は本気なのだ。
この子に、想い人がいたらどうしよう。
そんな、かすかな不安が胸をよぎっていた。
颯真の問いに、いいえ、と柔らかく微笑む郁実だ。
「僕、恋人とか、いませんから」
友達とは、昨日のイブにゲーセンで少し遊んだ、と言った。
彼の言葉に心が晴れた颯真は、明るい声を張った。
「じゃあ、今からがクリスマス本番だ!」
そして颯真は、郁実の背中を、ぽんと叩いた。
今日は、いよいよ12月25日。
クリスマスが、やって来た。
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「メリークリスマス、郁実くん!」
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