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しおりを挟む『アパートに、独り暮らし?』
『偉いね。自立してるんだなぁ』
茉以は何気なく、そう言ったつもりだった。
だが、その一言は、智樹に思いがけない身の上を語らせた。
「伯父さんが、払ってくれるんだ。学費とか、生活費」
「伯父さん? お父さんじゃないの?」
「父さん、亡くなったから」
「あ……ごめん」
これは、まずいこと言っちゃった。
そう、茉以は失敗を恥じた。
しかし智樹は、続けた。
「母さんも、姉さんも、亡くなった」
「ええっ!?」
智樹の父は、病気で若くして亡くなった。
母と姉は、火事で命を落としたというのだ。
「だから、あの語り部さんの話し聞いてたら、つい涙が出ちゃったんだ。自分と、重なって」
「そうだったのか……」
伯父が智樹を引き取ることになったが、彼の息子が反発した。
家庭内の空気が悪くなり、智樹は結局アパートで暮らすことになったのだ。
「俺、いろんなことあってから、すっかり心が塞がっちゃってて」
「うん……」
「だから、百瀬くんに『好きだ』って言ってもらえた時、すごく嬉しかった」
「うん……」
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