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 口づけをやめ、芳樹がまるで余裕のない表情を向け、早口で訴えてきた。
「悪ぃ、青葉。出る。も、一回。もう一回だけ、内に出していいか?」
 一体、どうしてしまったんだ。私は。
 まるで覚えたての少年みたいに夢中になって。
 セックスなど、ただの遊びのはずだ。
 溺れるのは、スマートじゃない。
 そう思いながら、あまたの人間と寝てきたはずなのに。
 ただ自然のままで、愛し合う。
 だが、それを無意味だとは思わない。
 今、私は幸せなんだ。
 それだけは、確か。
 それは、青葉も同じだった。
 胸に渦巻いていた憤りや不安、迷いや恐れが消えてゆく。
 彼の熱にすっかり溶かされ、流されてゆく。
 ぐぃいッ、と芳樹の腰が深く強く捻じ込まれてきた。
「あ! ッあ! あッ、はぁ、はぁッ、あぁああ!」
 彼の腰が叩きつけられるに併せて、声をあげた。
 応えるように、一つになれるように。
 逞しい芳樹の腕が、しっかりと青葉を抱きしめた。
 一分の隙もないくらい強く強く抱きしめるとともに、命のかぎりを吐き出した。
 自分の体温とは違う熱さが、一気に体内に注がれる感覚。
 青葉は、もう今夜何度目になるか解からないその感覚を、歓びをもって受け止めた。
 この身体が、熱い。
 外からも内からも、芳樹さんの熱でいっぱい。
 そして心も、魂までも熱く熱く溶けてゆく。
「あ、はぁッ! あぁあ!」
 ひくひくと痙攣する青葉の下肢を、芳樹は感じていた。

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