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大波小波

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 改めて抱きしめようとすると、重ねて不満げな声がよこされた。
「全部。全部、脱いでください」
「いや、それはちょっと」
 普段から、芳樹は全裸で誰かと寝る事はない。
 気恥ずかしさがあった。
 生まれたままの姿を、他人に見せる。
 身も心も、すべてさらけ出すかのような行為に、抵抗があった。
「僕だけ裸だなんて、ずるいです」
 それ以上引き延ばすと青葉が意地を張ってしまいそうな流れだったので、芳樹は思いきってパジャマの下も脱いでしまった。
 後は、青葉がまた何か言い出す前に、その素肌で、二本の腕で。
 そして脚まで絡ませて、彼を抱き寄せた。
 しっかりと、抱きしめた。
 あたたかい。
 人の体温は、こんなにも温かく心地よいものだったのか。
 青葉の頬に、耳に、髪に首筋に頬ずりした。
 そんな芳樹に応えるように、青葉もまた肌を摺り寄せて来る。
 そして、小さく言った。
「もう少し、このままでいてください」
「あぁ」
 何もせず、互いに抱き合った。

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