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 夢の中、玲衣は楽しかった。
 心地よい空間にいるのは、哲哉。
 笑っている。
 優しく。
 木立がざわめき、玲衣はその胸に飛び込んだ。
「好きです。哲哉さま」
「私も君が好きだ、玲衣」
 抱き合い、風を受けた。
 心が、いっぱいになった、その時。

「あ、れ……?」
「お目覚めか? 寝坊助くん」
「何だ、夢か……」
「いい夢を、見ていたようだな」
 え?
 あ?
「な、なぜ、哲哉さまが僕の隣に!?」
「昨夜のことは忘れたか? 薄情だな」
 昨夜。
 ああ。昨夜、僕は。
(哲哉さまに、愛してもらったんだ)
 初めての、感覚だった。
 愛の行為を、生まれて初めて素敵だと思えたのだ。

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