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 ベッドの上の哲哉は、紳士だった。
 優しく玲衣を横たえ、その目を覗き込んだ。
「本当に、いいんだな?」
「はい」
「途中で嫌になったら、ちゃんと伝えるように」
「はい」
 後は、優しくキスをくれた。
 コニャックの残り香のある、大人のキス。
 玲衣は、一気にのぼせ上った。
(こんなキス、初めて)
 父の連れて来た客は皆、貪るように唇を蹂躙してきた。
 しかし哲哉は、ただ柔らかくリップを食む。
 舌も無理やり咥内にねじ込むのではなく、そっと忍ばせてきた。
「ん、ふぅ。はぁ、んん、ん……」

 玲衣は夢中で、哲哉の頭をかき抱いた。
 髪に指を差し入れ、自ら舌で彼を求めた。
 やがて哲哉は玲衣から唇を離し、少し微笑んだ。
「キスが、上手だな」
「ごめんなさい」
 複数の男たちに汚されてきた、この体。
 玲衣は、そこで初めて恐れた。
(哲哉さん、僕のこと嫌いに……)
 だが、哲哉は笑顔のまま言った。
「キスの巧い子は、好きだ」
「ありがとうございます」
 そして、その大きな手のひらで、玲衣の髪を撫でてくれた。
 熱い夜の、始まりだった。







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