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扉の向こうは、ちょっとした広間になっていた。
中央には魔法陣が描かれている。
その更に奥には、おそらく創世邪神らしき石像が佇んでいる。
「おおお! すっげぇ!」
興奮しすぎ?
別にいいじゃないか、ずっと憧れてた場所にやっと立てたんだから。
さて、そんな俺に対してクレイ兄ちゃんとフィリップ兄ちゃんは淡々と部屋の中を見て回る。
「これ、召喚の魔法陣か?」
クレイ兄ちゃんが、部屋の中央に描かれている魔法陣を見て言った。
フィリップ兄ちゃんも、魔法陣を調べる。
「だね。まぁ、よくあるアレじゃない?
処女を生贄にして、悪魔とか邪神呼び出すやつ」
「血でも良いんじゃないか?」
試しにやってみるか、とクレイ兄ちゃんがナイフを取り出して自分の指を切りつけて数滴血を垂らしてみる。
反応はなかった。
「ありゃ」
次にフィリップ兄ちゃんも試してみた。
なんの反応もない。
「男だとやっぱりダメなんかな?」
と、そこへウカノ兄ちゃんがやってきた。
「なに痛そうなことしてんだ、お前ら」
嫌そうな顔をするウカノ兄ちゃんに、二人が魔法陣について説明する。
俺はせっかくなので、邪神の像へ頭を下げてこの部屋を探索する許可を一方的にもらう。
エリィさんも、魔法陣の方へ気を取られていたのでこれをしたのは俺だけだ。
「痛そうって、物理耐性あるから痛くないし。
すぐこんな傷なんて治るし」
とは、フィリップ兄ちゃんの言葉だ。
「ま、それもそうか。
俺もやってみるかな」
ウカノ兄ちゃんが納得しつつ、同じことをするがやはり反応はなかった。
「ウカノ兄ちゃんはダメさ」
「そうそう、もう綺麗な体じゃないんだし」
そんなふうに茶化すクレイ兄ちゃんとフィリップ兄ちゃんに、ウカノ兄ちゃんがゲンコツを落とした。
次にこういう仕掛けは見慣れているエリィさんも、挑戦してみるが、
「む、私でもダメか」
反応無しだった。
そこで、俺の番が回ってきた。
俺はもう一度、邪神像にあたまを下げて、魔法陣へ向かう。
「これ、シンでもダメな気がする」
クレイ兄ちゃんが言って、フィリップ兄ちゃんが苦笑する。
ウカノ兄ちゃんは、なにか起こるかもしれないと感じているのか、とてもワクワクしている。
しかし、すぐに気づいた。
「あ! 処女ってことは女の子に変身して血を垂らせば良かったのか?」
そのウカノ兄ちゃんの言葉に、クレイ兄ちゃんとフィリップ兄ちゃんも乗っかる。
「それだ!!」
「その手があったか!!」
エリィさんが物凄く冷めた目で、うちの兄ちゃんズを見つめている。
その間に、俺は血を垂らしてみた。
すると、
「え、光っ」
言葉の途中で、俺はエリィさんとウカノ兄ちゃんに首と胴を引っ掴まれ魔法陣から離される。
と、次の瞬間、爆風とともにそれは現れた。
風がやみ、静かになる。
魔法陣の中心で、真っ黒な執事服を着た青年が佇んでいた。
「おや、やっとですか。
さて、ん?
んんん???
なんか、多い?
え、ちょ、マスターどれ???」
あとなんかすっげぇ戸惑ってた。
歳は二十歳か少し上くらい。
俺達兄弟のような黒髪と、瞳は血のように真っ赤である。
と、俺と青年の目が合う。
途端に、昔飼ってた大型犬みたいに顔をパァっと明るくし、突進をかましてきたので、兄ちゃんたちに取り押さえられてしまった。
「え、ちょ、なんなんですか!?
貴方たち!?!?
やっと出してくれたマスターとの蜜時を邪魔しないでください!!」
青年が叫ぶ。
クレイ兄ちゃんが焦った声を出す。
「兄ちゃんヤバい人だ!!
この人ヤバい人だ!!」
一方、フィリップ兄ちゃんは淡々としている。
「いや、なんか弟がとって食われそうだったからつい」
ウカノ兄ちゃんはと言えば、
「弟の貞操の危機を感じたもので」
なんて言いながら、クレイ兄ちゃんとフィリップ兄ちゃんをひっぺがして、青年の首を掴んで持ち上げつつ、
「それで貴方はどこの誰さんですか?」
と訊ねていた。
扉の向こうは、ちょっとした広間になっていた。
中央には魔法陣が描かれている。
その更に奥には、おそらく創世邪神らしき石像が佇んでいる。
「おおお! すっげぇ!」
興奮しすぎ?
別にいいじゃないか、ずっと憧れてた場所にやっと立てたんだから。
さて、そんな俺に対してクレイ兄ちゃんとフィリップ兄ちゃんは淡々と部屋の中を見て回る。
「これ、召喚の魔法陣か?」
クレイ兄ちゃんが、部屋の中央に描かれている魔法陣を見て言った。
フィリップ兄ちゃんも、魔法陣を調べる。
「だね。まぁ、よくあるアレじゃない?
処女を生贄にして、悪魔とか邪神呼び出すやつ」
「血でも良いんじゃないか?」
試しにやってみるか、とクレイ兄ちゃんがナイフを取り出して自分の指を切りつけて数滴血を垂らしてみる。
反応はなかった。
「ありゃ」
次にフィリップ兄ちゃんも試してみた。
なんの反応もない。
「男だとやっぱりダメなんかな?」
と、そこへウカノ兄ちゃんがやってきた。
「なに痛そうなことしてんだ、お前ら」
嫌そうな顔をするウカノ兄ちゃんに、二人が魔法陣について説明する。
俺はせっかくなので、邪神の像へ頭を下げてこの部屋を探索する許可を一方的にもらう。
エリィさんも、魔法陣の方へ気を取られていたのでこれをしたのは俺だけだ。
「痛そうって、物理耐性あるから痛くないし。
すぐこんな傷なんて治るし」
とは、フィリップ兄ちゃんの言葉だ。
「ま、それもそうか。
俺もやってみるかな」
ウカノ兄ちゃんが納得しつつ、同じことをするがやはり反応はなかった。
「ウカノ兄ちゃんはダメさ」
「そうそう、もう綺麗な体じゃないんだし」
そんなふうに茶化すクレイ兄ちゃんとフィリップ兄ちゃんに、ウカノ兄ちゃんがゲンコツを落とした。
次にこういう仕掛けは見慣れているエリィさんも、挑戦してみるが、
「む、私でもダメか」
反応無しだった。
そこで、俺の番が回ってきた。
俺はもう一度、邪神像にあたまを下げて、魔法陣へ向かう。
「これ、シンでもダメな気がする」
クレイ兄ちゃんが言って、フィリップ兄ちゃんが苦笑する。
ウカノ兄ちゃんは、なにか起こるかもしれないと感じているのか、とてもワクワクしている。
しかし、すぐに気づいた。
「あ! 処女ってことは女の子に変身して血を垂らせば良かったのか?」
そのウカノ兄ちゃんの言葉に、クレイ兄ちゃんとフィリップ兄ちゃんも乗っかる。
「それだ!!」
「その手があったか!!」
エリィさんが物凄く冷めた目で、うちの兄ちゃんズを見つめている。
その間に、俺は血を垂らしてみた。
すると、
「え、光っ」
言葉の途中で、俺はエリィさんとウカノ兄ちゃんに首と胴を引っ掴まれ魔法陣から離される。
と、次の瞬間、爆風とともにそれは現れた。
風がやみ、静かになる。
魔法陣の中心で、真っ黒な執事服を着た青年が佇んでいた。
「おや、やっとですか。
さて、ん?
んんん???
なんか、多い?
え、ちょ、マスターどれ???」
あとなんかすっげぇ戸惑ってた。
歳は二十歳か少し上くらい。
俺達兄弟のような黒髪と、瞳は血のように真っ赤である。
と、俺と青年の目が合う。
途端に、昔飼ってた大型犬みたいに顔をパァっと明るくし、突進をかましてきたので、兄ちゃんたちに取り押さえられてしまった。
「え、ちょ、なんなんですか!?
貴方たち!?!?
やっと出してくれたマスターとの蜜時を邪魔しないでください!!」
青年が叫ぶ。
クレイ兄ちゃんが焦った声を出す。
「兄ちゃんヤバい人だ!!
この人ヤバい人だ!!」
一方、フィリップ兄ちゃんは淡々としている。
「いや、なんか弟がとって食われそうだったからつい」
ウカノ兄ちゃんはと言えば、
「弟の貞操の危機を感じたもので」
なんて言いながら、クレイ兄ちゃんとフィリップ兄ちゃんをひっぺがして、青年の首を掴んで持ち上げつつ、
「それで貴方はどこの誰さんですか?」
と訊ねていた。
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